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5、その後と記憶

家族4人集まり、デバール辺境伯家でどんな話をしたか聞かせた。

「アルベル…」

兄2人は大好きなアルベルを思って涙を流した。


「まだアルベルが回復するには時間がかかりそうだ」

「また一緒に遊べますか?」

「分からない。今は何とも言えない。ウォルターの家族である我々を許すかは分からないのだ」

「アルベルは痩せ細り…、あの頃の面影がなくなってしまって…、うぅぅ 可哀想に」

「アルベルにお手紙を書いてもいいですか?」


「受け取ってくれるかは分からないが、好きにしなさい。

ここに集まって貰ったのは、ウォルターのこれからをどうするかについて話すためだ。

デバール辺境伯は、私たちにお任せくださると言ってくださった。ただ、ウォルターとは今後一切関わりを持たない事が条件だ」

「本当ですか? ウォルターは明確な殺意を持っていた事をお話しになったのですか?」

「そうです! 言いたくはありませんが、ウォルターは今後もアルベルを狙うと思います。アルベルは自分のために頑張っているだけなのに妙な対抗意識を持っていて危険です」

「私も同じ意見です。ウォルターと話してみて、この環境ではあの子のためにもアルベルのためにもなりません」

「うむ、私も同じ意見だ。最初は王都の屋敷で見張りをつけようと思っていたが、それだけでは足りないと感じる、教育の必要を感じた。それにあの2人を切り離す必要性も感じた。そこで、……修道院に入れようと思う」

全員が頷いている。


結果、ウォルターは修道院で更生させる事にした。貴族にとっては修道院に入れることも醜聞ではあるが、デバール辺境伯との関係以前に、放置しては今後もっと大きな事を仕出かすのではと不安になり治さなければ、普通の子に戻る事を信じて修道院へ送る。

翌日から修道院探しを始めた。そして見つけたのは『チュラマン修道院』、そこには著名な修道士がいた。そこで修道士として暮らしながら教え導いて貰う。



ディビットとクラウスはせっせと手紙を書き送った。

アルベルからも徐々に返信が来るようになった。

以前と変わらない様子で返してくれた。2人はホッとして文通を続けた。

そうしてかなり経ってからデバール辺境伯家へ来訪を許された。

久しぶりに会ったアルベルは母が言っていた通り、ガリガリに痩せてしまって、筋肉だけではなく肉という肉が落ちてしまっていた。ディビットとクラウスはアルベルを挟んで抱き合った。

無事を喜びあったが、マイヤー伯爵家には暫く行けないと言う。

やはり信用できないのだろうか? ウォルターのせいか? 敢えて言わなかったが、

「ウォルターは今は家にいないよ、だから昔のように遊びにおいでよ!」

ディビットとクラウスは今まで以上にアルベルを溺愛したくて仕方なかった。


「あのね兄さま、えっと…その…、馬車に乗れないの」

2人はハッとした顔をした。それを見て困ったような顔をすると、

「狭い空間とか馬車の中とか、怖くなっちゃって…パニックになっちゃうの」

2人はまたアルベルをギューギュー抱き締める。

「そっかー、1人だから? それとも誰と乗っても同じ?」

「んー、色々試してみたけど、同じだったわ」

「そっか、ごめんね…本当にごめんね。慌てなくて大丈夫だよ、僕たちが会いに来ればいいのだから」

「そうだよ、それに女の子だもんね!僕たちが大好きなアルベルに会いに来る!」

「有難う…それでね、乗馬の練習をしているの。乗れるようになったら遊びに行くからね!」

「「駄目だよ! 危ないよ!!」」

「今は全然1人で跨げないから無理だけど、ポニーには少しだけ乗せてもらったの。ふふ、でも筋力が落ちちゃって、何するにも疲れてだめね、一からやり直ししてるの」

アルベルは胸元のネックレスを触る。


「そっか、じゃあ僕たちも一緒に練習しようかな?」

「本当? 嬉しい!」

それから一緒にポニーの練習もするようになった。

そして2人とも馬車に乗れないアルベルの為に、今後は乗馬の訓練をもっとする事を誓った。



アルベルは部屋に戻ると、今日ディビットとクラウスから聞いた情報をノートに書き込んでいった。


意識を失っていた時に前世の記憶の中で気になったものがあった。

『乙女ゲーム』に関することだ。

友人同士でたわいもない話をしているだけのシーンを思い出しただけ、ただの前世の記憶、そう思っていた。

ムカつく奴と同じの名前があったので何となく気になっただけだと思いたかった、その前世の記憶で見た乙女ゲームの中にウォルターの名前が攻略者として出てきていた。

そこでなんとなく覚えている事を書き出して行った。


記憶の中の乙女ゲームのおさらい


タイトル『恋するフォーチュンリース』


ヒロイン:ソフィア・マルティナ男爵令嬢

言わずと知れた、男爵の落胤


攻略対象

1、ラティウス・ヴァルフォーク 第1王子

2、ギルバート・ケンウォーク  宰相の息子

3、ウィリアム・ヴェルドゥナ  魔術師団長の息子

4、ウォルター・マイヤー    騎士団長の息子


悪役令嬢:キャメロン・バリー  公爵令嬢


因みに婚約者は

ラティウス →キャメロン・バリー公爵令嬢

ギルバート →リアーナ・アデレイド公爵令嬢

ウィリアム →シェネル・オスカリア伯爵令嬢

ウォルター →アルベル・デバール辺境伯令嬢


私の名前がある、同姓同名の他人であって欲しい。そして何より私と思われる人物の婚約者がウォルター・マイヤーだと言うこと。あり得ない。

シンジ ラレナイヨー!!

思い出して書いたものを一度破り捨てたのは仕方ないことだろう。

しかも、ゲームのウォルターは攻略者の中で1番のチョロ男さん枠、ちょっと話聞いてやっただけで『私を真に理解してくれるのはソフィアだけだ』とか言ってその後はヒロインを守る騎士になったつもりでう◯こみたいにくっついて歩く。


そしてなりたかないが、私と言う婚約者がいながらソフィアにくっついていて、ソフィアの本命 ラティウス殿下と2人きりになりたい時も空気が読めず出没していい雰囲気を壊すお邪魔虫。ウォルターは自分こそがソフィアの本命だと思っているから、余計邪魔して、そのうち疎まれるようになる。流石思い込み男!

私はと言うと、舞踏会に婚約者が誘いに来ず、屋敷の玄関ホールでポツン。仕方なく1人でこっそり舞踏会に行くと悪役令嬢キャメロンやリアーナが身分とは何か、常識とは何か、道理とは何かを王子とヒロインに説く、すると険悪な雰囲気になって王子たちはどこかへ行ってしまう。後日、婚約者たちは『君の思いやりのない行動にはうんざりだ、婚約を破棄する』と通達が来て、他の皆さんは不当だ!と訴え、署名をしないのだが、アルベルだけはすぐに応じて婚約破棄する。それでゲームでの登場は終了。その後については出てこない。流石ヒロインにとっての悪役令嬢その4って感じ。チョロ男さんありきの私の婚約。


俺様チョロ男さんと婚約させられて、破棄されてフェイドアウト、何でやねん!私との婚約 必要あったかな〜? 予定調和がすぎるっちゃろ!

他の皆さんは、一方的に通達されただけで正式な書類が提出されていないから、婚約者として君臨、『婚約者顔するな』って…、婚約者だし。彼女たちだって家からは『男の1人も繋ぎ止められないのか!』と理不尽に責められ奮闘した結果、悪逆非道と罵られ婚約破棄の上国外追放とか、処刑とか処罰とか…やってらんねーっつーの。


本当この世界に生きてみると、悪役令嬢って常識的な努力人間って感じだよねー。

まあそうだよね、小さい頃から王妃教育もされてきっと私以上に自由がない人生を歩んでいたのに、王子や攻略者の『私を真に理解してくれるのはソフィアだけだ』なんて聞いたら、甘えた事言ってんじゃねー、お前だけが大変だったわけじゃねーからな!!とどつきたくもなるよね! 誰か言ってやってやってくれー。

しかも自分のせいじゃなく王子の甘えで、これまでの苦労を無にされるとか許し難いと思っても仕方ないよな、うんうん。


いや、しかし!ヒロインのソフィアがチョロ男を攻略してくれれば円満婚約破棄だなーー。

ムムム、是非ともヒロインには魅力を振りまいて欲しい。

はっ、今はウォルターがいない! 修道院じゃん!! なら私の人生とウォルターの人生は被らない? あああーーー、だったらいいなぁ!! 強制力がないといいな。

それにしても、ゲームの私はサクサク婚約破棄した後どうなったんだろう?

あれ? 辺境伯を継ぐために婿取った? それなら売れ残ることはない。なんか重要な事を忘れている気がするんだよなぁ〜、元が悪役令嬢の後ろでムキーってしているだけだから詳しい情報がないのよね。

私らしく生きたい、それがゲームの強制力で歪められるのは何とか阻止したい。

誰にも迷惑かけないといいなぁ〜。



兎に角、ディビットとクラウスから聞いた情報では、攻略者も婚約者も同じ年齢、まだ婚約している人はいない。


この国には魔法がある、一応。

と言うのは今は『失われし御力』(うしなわれしみちから)と言われていて、ヴェルドゥナ伯爵家がその力を継承している。ヴェルドゥナ家の者が全員魔法が使えるわけではなく、魔力を持たずに生まれることの方が今は多いと言う。だから、後継者は血筋ではなく魔法が使えることに重きを置かれる。その時代に類い稀な才能を持って生まれた者がいたら、その者を養子としてとり後継者指名されるであろう、弱肉強食だ。そしてゲームの中では、魔力を持って生まれたシェネルが婚約者となった

シェネルは同じく魔力を重視する家系、その中で僅かだが魔法の行使ができるシェネルがウィリアムの婚約者となった背景がある。

婚約破棄だー!なんて叫んでいるけどそれが許される家系ではない。許されるとしたらシェネルより優秀な魔法使いであるか、家をねじ伏せるほどの強大な力を示すか…、ないな。

つまり、婚約破棄を騒いでも恐らく、1番そのまま蟠りを抱えたままシェネルと結婚する。2番弟に家を譲って出て行く、しかないかも。ウィリアムはゲーム上魔法が使えるとは出てこない。それどころかソフィアに攻略される時、魔法至上主義の家のプレッシャーに耐えかねてヒロインに癒されるのだ、つまりウィリアムは大した才能はない!? 首をすげ替えられるのはウィリアムの方かも知れないってことだ。


それにギルバートもだ。

宰相の息子とは言え自身は宰相ではない。

ギルバートの家はケンウォーク侯爵家、対する婚約者リアーナはアデレイド公爵家。家格はアデレイド公爵家の方が上で、何やら密約があってアデレイド公爵家とは結婚という名の契約を結ぶのだ。具体的な内容は出てこなかったが利害の一致があったはずだ。

??? 

『私は常に優秀でなければならなかった、失敗は許されない。ソフィア、君といる時だけはただのギルバートでいられる』

これニュアンスが違う気がするんだよなー?

さて、ギルバートの意思の通り婚約破棄可能なのでしょうか?

あはは、切り捨てられるのはどっちだ!?


はぁー、この世界に転生して分かったのは『お前が好きなのは私の肩書きなのだろう!』

政略結婚で親に決められた相手、家のための結婚なのだから当然だろう。

子供に自由意思は認められていない。

婚約者に文句言う前に自分の親説得しろって話だよなー。



そしてソフィアの大本命 ラティウス・ヴァルフォーク第1王子。

まあ抑圧された環境っていうのはよく分かる。

皆 顔色を窺い耳障りのいいことしか言わない。それでいて粗探しばかりされるポジションだ。元平民の屈託ない笑顔でハッキリ本心を伝えてくれるソフィアは新鮮であった事は事実だろう。

だが、ラティウス殿下の婚姻も契約だ。

婚約者のキャメロンの実家、バリー公爵家は王族派の筆頭公爵家だ。貴族派が地固めをしている今、バリー公爵家の力が必要なのだ、王族派をこれ以上流出させない、王族派の結びつきを強固にし繋ぎ留める為組まれた縁組み。それを王子の恋愛感情のためにバリー公爵家に恥をかかせ切り捨てられるだろうか? これは王家の命綱とも言える縁談なのに、バリー公爵家の娘に責任を取らせるだろうか? んんんん、考えれば考えるほど有り得なく感じる。



私とウォルターは何故婚約することになったのだろう?

1番考えられるのは家を継がせる為。

マイヤー伯爵家とは良好な関係を築いていたそこで三男を貰い受けた。今は騎士団長ではないが、マイヤー伯爵は騎士団長に就任する。やはり1つは辺境伯を確かな王族派に引き込む為、そしてもう1つはディビットは父の騎士団長を目指し、クラウスはマイヤー領を守る為余っているウォルターが充てがわれた…と言うことか。

んー、でもなんでお父様が独りよがり王のウォルターと愛する娘アルベルを婚約させたんだろう? そこだけ納得いかんのよねー。


乙女ゲームのストーリー㊙︎ノートに考察を加えながら、現在の情報を書き込んでいく。

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