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悪役令嬢は記憶を失くす  作者: 鈴本 梨加
6/8

第5話

ゆっくり投稿です。

「お嬢様、くつろいでいる途中失礼ですが、明日は隣国の皇太子の受け入れです。何か準備をしなくても大丈夫ですか?」


側仕えのララが教えてくれたことで思い出したが、確かに明日は隣国の皇太子の受け入れがあった。

元々は戦争をしない約束に交互に一年ずつ王位継承権の低い皇族が嫁がされるというものだった。

それが現在では交換留学のようになっており、一年間ほど留学する、というルールに代わっていた。

こっちからは王位継承権の低い、フィルア様の妹のグリーナ様が行くことになっていたはずだ。


「ああ、そうだったわね。うーん、でも別に準備は済んでいるはずじゃない?

 パーティーのダンスもどうせリズベルトさんとするでしょ。」

「え、お嬢様いいのですか?前まであんなにもフィルア様の隣を死守していたのに…」

「今日の間で何回も聞いたわ…全く、あんな男を好きになるなんてどうにかしてるわよね」


冗談めかして言うと困ったような顔でそれを言ったら前まで睨みつけられていました。と言われた。

大変だったんだな。。過去の私。


かと言い別にすることもなかったのでこのままくつろぐことにした。

無知よりはいいもんね。


グリーナ様は去年の冬に隣国に行ったと聞いた。

今年は一季節ずれての受け入れになる。


「ねえー?ララ。私ってパーティー出なきゃダメ?」

「何を言ってるんですか、お嬢様。もちろんダメに決まってますよ」

「どうせ私とは一曲踊って終わりよ、憂鬱で仕方ないわ」

「お嬢様…」


婚約者をエスコートするのは最低限のマナーだ。

エスコートした相手とは最低一曲踊らないといけない。

踊った後惨めに一人でいることが確定されているパーティーなど憂鬱でしかない。

そんな気持ちを察したのか同情するようにララがため息をついた。

だからと言って時間は待ってくれないのを知っている。

ここまでくれば潔く腹を括るしかない。


今日はもう寝ることにした。

その夜は今迄の疲れを取り除くようにぐっすり眠れた。


朝が来るといやでも今日の予定を知らされた。


「お嬢様今日は皇太子受け入れの式、終わり次第国王主催の歓迎パーティーにラティーア様エスコートのもと、参加することになっております。」

「わかったわ。ありがとう。」


気持ちは浮かなかったがしょうがない。

私は皇太子受け入れの式に出る為、式の会場の大広間に行くことになった。


大広間の前の方に椅子が2つあり、国王と国王の本妻が並んでいた。私達はその横に並んでいる椅子に座ることになっている。


「ティートバル様のご到着です。」


従者の声が聞こえると中央に座っている二人以外が一斉に立った。歓迎の意を示すためだ。


「アスメニア王国から来ました。フルメニア・ティートバルと申します。お目にかかれて光栄です。以後御見知りおきを。」

「こちらこそ。フルメニア君は勉学が優秀と聞いているから期待しているよ。短い間だと思うがよろしく頼むよ。」

「ありがとうございます。」


皇太子が私たちへ一礼してから中央の二人の前に跪いた。国王と二人であいさつを交わすと皇太子はすぐ戻り、従者からの説明をうけすぐに儀式は終わった。

昼前に儀式は終わったので昼食をとってからの開始になる。

私は自室に戻り昼食をとることにした。


昼食を食べ終わりそのままパーティーに行くには消化時間が足りないと思い私は庭園を散策することにした。庭園は競技場へとつながっており、おもに騎士団の練習場として使われていた。

庭園の中央にある東屋に入ることにした。


「はぁ…これからパーティーか……」


エスコートの相手にも迷惑かけないように時間に遅れることは許されない。

ここで時間を何時間も潰すことなど出来ないから、時間に遅れないようにのんびりと帰ることにした。


予定通り少しの余裕をもって自室に到着した。


「どこに行ってたんですか、お嬢様。はやく準備しないと遅れますよ。」

「まあまあ、そんなに急かさないでよ。時間に余裕はあるはずでしょ?」


帰ってきた途端に急かしてくるララにうんざりしながら私は問いかけた。


「お嬢様はいつもパーティー前には何時間もかけて準備をするじゃないですか」

「ああ、そういうこと。必要最低限でいいわ。時期国王とやらの隣に立つには恥じないくらいのね」

「はぁ…お嬢様がそういうなら。それにしても本当に変わりましたね。」

「そう?まああんなのに付き合うなんて人生の無駄遣いだしね。」

「本当に前とは大違いですね。」


呆れたように笑いながらもララはちゃんと私の準備を行ってくれている。

その手際のよさについ見とれてしまう程だ。


「本当に手際がいいわね。」

「これでも時期王妃の専属メイドですからね!結構メイド長からもしごかれたんですよ?」

「ふふ、すごいのね。私の専属になってくれてありがとう。」


ララは感謝されるとは思わなかったのか、照れくさそうに目線をそらせた。


「き、急にどうしたんですか。感謝されることなんて…」

「いいの、いいの。素直に受け取ってくれればいいのよ」

「ありがとうございます。」

「準備も終わったしパーティーに行こうかしら。嫌なものも終わらせないとね」


私が微笑んで冗談めかしたように言うとララも笑ってくれた。

丁度フィリア様も準備が終わったようだ。

私は自室から出てフィリア様のもとに向かった。


「ああ、もう終わったのか。わかってはいるだろうが下手な真似はしないように。」

「ええ、フィリア様のお隣に置いて頂いていますから。心配なさらなくても大丈夫ですわ」


嫌味に嫌味で応戦するとぼそっと何かをつぶやいた。

どうせ可愛げがないとか、リズベルトさんのほうが良かったとかそういう類いだろう。

いちいちそれを聞き返す気にもなれず私は黙り込んだ。

時間が来たらしく足早に歩きだした。

どうかしたのかと問いだす気にもなれず、追うようにしてついていった。


「歩くのが遅いな。また考えもせずに高いヒールを履いてきたのか?」

「いえ、前よりは低いと思いますが、」


淑女としてどうかと思うが面倒くさくなったので、履いているヒールを直接見せようと思い足が見えるくらいにドレスの裾をあげた。

貴族は足の裏を見せてはいけないが、このまま見せても足の裏は見えないので大丈夫だろう。


「ほら、低いでしょう?」

「そ、其方誰にでもそんなに足を見せているのか?」


慌てたように目線をそらしてフィルア様は聞いた。

いつも澄ました顔をしている人が顔を照れ慌てているのを見ると何かぐっとくるものがある。

私そんなにSだったけ?


「一応時期王妃なのだぞ?相応な淑やかさは必要だと思うが」

「大勢の前ではさすがにしませんよ。一応、相応の態度はできると思います。小さい頃からそんな教育をされてきたものですしね。」


小さい頃から両親がフィリア様の隣にふさわしいようにと沢山の教育をされてきた。

すぐに誰かさんに抜かされちゃったけどね。


「それならいい。もう時間だ。恥の無いようにな」

「ええ、ご安心を。」


大広間に中央から入ると沢山の視線が一斉にこちらへ向く。

ああ、とても憂鬱だ。


フィルア様が私のほうを向き手をこちらに差し出してくる。

ダンスのパートナーの申し込みをしているのだ。

別に向こうが好んでこちらに申し込んできているのではない。

守らなければいけない必要最低限のマナーだ。

ここで断ることも出来ず私は手を重ね合わせ申し込みに応える。


曲が流れ始め各々エスコート相手と踊り始めた。

私たちもその中に紛れるように踊り始める。

ダンスも王妃教育に盛り込まれていたので沢山踊らされた。


そのうち曲が止まり段々と人がいなくなっていく。

私達も踊るのを辞めてお礼を伝える会釈を交わす。

途端にフィルア様はリズベルトさんの元へ急いだ。

これで私は行く当てのない哀れな令嬢に変身する。

お友達でもいればよかったんだけど、生憎取り巻きというか、子分というか、私にはそんな存在しかいない。


やることもなかったので私は用意されている飲み物を片手にバルコニーでゆっくりすることにした。

昔から、綺麗な状態なのに人気がない。私だけの秘密の場所だ。

小さい頃も王妃教育が嫌な時とかここに来たっけ。


そんな物思いに更けていると、人影が見えた。

誰かここに来るのかな…、ゆっくりしたかったのに。


人影を凝視していると、やがて人影はこちらに来た。

自己満足なので途中で止めるかもしれません。

その際は短編に編集します。


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