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魔法少女になれたなら  作者: M・A・J・O
第一章 少女たちの願い(後編)

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第99話 転校生と友だちに

「へぇー、明葉ちゃんの両親共働きなんだね」

「まあ、今どき珍しくもないやろ。……ちょっとは寂しゅうなる時もあるけど、そういうもんやしなぁ……」


 結衣たちは今、客間にいる。

 床が畳で――慣れていないせいか――少し落ち着かない。


 現代っ子の結衣は、正座するだけでなかなか堪える。

 だが、さすがと言うべきか、明葉は優雅に正座している。


 すごく絵になる光景である。

 ここに芸術家がいたら、何もせずにはいられないだろう。


 画家なら、明葉をモデルに絵を描き。

 小説家なら、明葉をモデルに物語を紡ぐだろう。


 結衣がまた魅了スキルにやられて、変なことを考えていると。


「どうしはったん?」


 もはや結衣が惚けている時の常套句になりつつある言葉を、明葉は放つ。

 その言葉に、結衣が我に返る。


「へあっ!? ご、ごめん……! ボーッとしちゃって……」

「畳張りの部屋やさかい、眠くなりはったん?」

「……え、あー……うん! そんな感じかなぁ……あはは……」


 明葉が鈍感な子で助かった。

 結衣はそう思った。


 そんな結衣の眼に、不意に何かが映る。

 これは、絵本?


「あっ……! 見んといて……っ!」


 結衣の視線の先のものに気付くと、明葉はそれに覆い被さる。

 よほど見られたくないものなのか。明葉はそれを抱えて、一目散に部屋から出ていく。


「あ……行っちゃった……」

「見られたくないものなら客間に置かなきゃいいのに……とか思ってますでしょ」

「いや、私は別に……それより、なんか語尾がおかしいような気がするんだけど!?」


 明葉の姿が完全に見えなくなってから、ガーネットが飛び出した。


 しばらく息を潜めていたせいか、ガーネットのテンションが若干おかしい。

 というより、話し方からしてすでにおかしい。


「いえ、いつもこんな感じじゃなかったです? 少し頭がおかしい方がモテるって言いますしぃ〜」

「……頭おかしいっていう自覚はあるんだね……」


 モテる方のツッコミはしないでおいた。

 なんの根拠もないが、もしかしたら事実かもしれないから。


 結衣はため息をついて、ガーネットを思考の外へ追いやる。

 明葉はなぜ、あんなに慌てていたのだろう。

 絵本というのは、たしかに子供っぽくはあるが。


 それにしてもあの絵本、表紙が龍のような絵が描かれていた気がする。

 たしか、題名は――


「『りゅうのかなしみ』……」

「何か言いました?」


 『りゅうのかなしみ』という絵本なら、結衣も見たことがある。

 内容はうろ覚えだが、たしか――


「……なぁ……」


 と、記憶を探っていたら、声をかけられた。

 声が聞こえた方に目を向けると、明葉が襖から顔だけを覗かせている。


「え……っと……?」


 結衣が困惑していると、明葉がしおらしく口を開く。


「その……さっきは、取り乱して悪かったなぁ……」

「へ……? あ、ううん……別に大丈夫だよ?」


 明葉は謝りたかったらしい。

 結衣は、まだ罪悪感のせいで結衣の顔を見られないらしい様子の明葉を見て。

 また魅了スキルにかかりそうになった。


「ま、まあ……見られたら恥ずかしいものってあるもんね。私もそういうのあるし……誰にも言わないから心配しないで」


 いけない恋に落ちそうになる頭を必死に誤魔化して、結衣は言う。

 すると、明葉は心底安心した様子で、ホッと胸を撫で下ろした。


「うふふ……っ。やっぱ結衣さんともっと仲良うなりたいわぁ。結衣さんと出会えてほんまに嬉しい」


 二つに束ねた髪を揺らし、明葉は笑う。

 その笑顔は、やはり美しい。


「……わ、私だって明葉ちゃんともっと仲良くしたい! 友だちになろうよ!」


 美しい笑顔に魅せられ、結衣は明葉の手を強く握っていた。

 そして、結衣も同じような笑顔を浮かべる。


 そうして、結衣と明葉は今日、友だちになった。


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