第98話 仲良くしようね!
「おー……! 家の中もすごい……!」
「ふふっ。結衣さんはほんまにおもろい人やねぇ」
「ふぇ!?」
広々とした、奥に続く長い廊下。その両隣には、たくさんの扉が設置されている。
結衣が静かにはしゃいでいると、明葉が静かに笑う。
結衣は明葉の笑顔を、思わず見つめてしまう。
魅了スキルでもあるのだろうか。
そう疑ってしまうほど、明葉の笑顔は無意識に、無自覚に見とれてしまう“力”がある。
「結衣さん? どうしはったん?」
「ううん!? なんでもないよ!?」
明葉の問いかけに、結衣は明らかに動揺した様子で答える。
そんな結衣が面白かったのか、明葉は今度は声を上げて笑う。
「はぁ……結衣さんとはもっと仲良うしたいわぁ……」
笑いすぎて涙が出たのか、明葉は目元を拭いながら言う。
そんな明葉の言葉に、結衣は。
「もちろん! 仲良くしよう!」
二つ返事で、承諾した。
こんなに素敵な人と、仲良くしたくない人なんていないだろう。
結衣がとてもいい笑顔で言うと――
「ど、どうしたの……?」
明葉は石のように固まる。
その頬が少し紅く染まっていたような気がしたが……
急にいつも通りの、魅力ある笑顔を浮かべる。
だから結衣は、詳細を知ることができなかった。




