第87話 不意打ち
「ねぇ、本当に来るの……?」
「間違いないですにゃ! 信じてくださいですにゃ!」
「いいですねぇ〜! なんともオツな感じじゃないですかぁ!」
今、結衣たちは夜の公園にいる。
現在の時刻は七時半。
辺りはもうすっかり暗くなっている。
秋の涼しい風は、少し肌寒い。
ここは、少し前に夏音と真菜と緋依が訪れた場所らしい。
みんな住んでいる家とか通っている学校とか、バラバラなはずなのに……
「あー、まあ……力があれば空飛んだり、速く走ったり出来るよね……」
「ん? 何か言ったですにゃ?」
というか、夏音と最初に戦った場所と、四つ目の七不思議探検をした場所が結衣の通っている学校であるし。
夏音の家と結衣の家は、片道車で一時間くらい離れているような感じであるし。
まあ、今更と言えば今更だけども。
「んー、よしっ! やってやろーじゃん!」
そう意気込むと、結衣はガーネットを掴んで変身する。
もう、ある程度の見当はついている。
バッと振り返り、ガーネットを虚空に向けて言う。
「――防壁!」
そう紡ぐと――結衣と夏音を魔法のドームが包んだ。
その外側に、何か手のひらサイズのものが突き刺さる。
「え、えっ!? 何が起こってるんですにゃ!?」
夏音が、わけがわからないという様子で叫ぶ。
まあ、無理もないだろう。
結衣もさっき、変身した時に気づいたばかりなのだから。
「うーん……やっぱり不意打ちは出来ないか〜……」
虚空から、闇に紛れるように静かに出てきたそれは。
「こうなったら……んー、やっぱりまともに殺り合うしかないかなぁ……」
なんだか、とても――
「んー、よぉし! かかってこい!」
顔と声のテンションが、合っていないように見えた……




