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魔法少女になれたなら  作者: M・A・J・O
第一章 少女たちの願い(後編)

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第79話 願えばなんだって出来るんだ!

「夏音ちゃんは、あの美波っていう人と知り合いなんですか?」


 場所は変わり、夏音たちは遊具が全くない簡素な公園に来ていた。

 歴史が染み付いた椅子に座り、夏音は色々考えている。


 あの後、黒髪の少女は帰り、嫌な予感だけが残った。

 そんな場所に居られるわけがなく、余計なことを考えなくてもいいような所で話すことにしたのだ。


「あー……知り合いっていうか、学校が同じなんですにゃ」

「へぇ……そう……いえば、夏音ちゃん……何年……生?」

「三年生ですにゃ」

「二個……下か……緋依、さん……は……?」

「六年ですけど……って、今更すぎませんか?」


 何とも緊張感のないメンツだが、それが却って夏音を安心させた。

 あのピエロのような少女は、正直本心が分からなくて気味が悪いからだ。


 あの眼には熱も本心も宿っていない。

 機械的で無機質で、何事にも興味がないと語っているあの眼が……怖いのだ。


 いつかあの人の気まぐれ一つで、この世界が滅ぼされてしまうような錯覚に陥る。

 けど、あの人ならやりかねない。

 だってあの人は――


「必……殺! ほっぺ……ぷにぷにっ……!」

「ぎゃはー!? 何するんですにゃ!」


 ドシリアスに引きこもっていた夏音は、ほっぺに当たった謎の感触によって、現実に引き戻された。

 驚きのあまり、椅子から転げ落ちそうになる。

 そして――


「あ……また出ちゃったにゃああ……」


 頭には狐耳、腰からは尻尾が現れている。

 こちらが意図していないにも関わらず、平気で顔を出す夏音の力。


 せーちゃんに言われてからというもの、夏音は自分なりに特訓をして頑張ってきたのだが。


「ううぅ……」


 夏音は呻いた。そして、その場に崩れ落ちる。


「え……? 私、何か……変なこと……した……?」

「もー、夏音ちゃん泣いてるじゃないですか〜」


 ――泣いてなんかないですにゃ!

 とツッコミを入れたいところだが、今の夏音にはそれが出来そうになかった。


「えっと……なんか、ごめん……ね?」


 真菜の謝る声が聞こえ、夏音はむくりと起き上がる。


「大丈夫ですにゃ……」


 光のない瞳で夏音が答えた。

 そうしたら、真菜は一層オロオロしている。

 だが、緋依が何かを考え込むような顔をして。


「ねぇ、夏音ちゃんが悩んでいるのって……その力のことですか?」


 夏音の狐耳を指さして訊いた。


「……そうですにゃ。自分が使いたくない時にまで出てきて……正直、嫌ですにゃ……」

「そっか……」


 夏音は涙目で濡れた声を出し、忌々しい力を拒むように言う。

 だが、緋依は思いもよらないことを言い放った。


「なら、“願えば”いいんじゃないでしょうか?」

「……ふぇ?」

「だから、願えばいいんですよ! “願い”を糧に力が強くなるんだから、願えばいいんです!」


 ――そうでしょ? と、確認するように緋依が言うと、真菜もこくりと頷く。


「そう……だよ! 夏音……ちゃんが、したいって……願えば……なんだって、出来る……よ……!」


 夏音を元気づけるようにぐっと力を入れて力強く言い放つ。

 二人の言葉を聞いて、夏音は眼を丸くした。


 ――そういう考え方も、あったのか。

 と、夏音は薄く笑った。


「願えばそれでいい……ですかにゃ。なるほど」


 確かにそれなら、出来そうな気がする。


 いつの間にか引っ込んでいた夏音の力に、夏音だけが気付かずに笑った。

 なんという灯台もと暗しなのだろう。


 なんという間抜けなのだろう。


「にゃははっ! 夏音は間抜けですにゃ」


 願えばなんだって出来る。


「そうでしょう……? ――結衣おねーさん」


 夏音はそうやって、誰にも聞こえないようにポツリと零した。


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