第26話 何度だって救ってみせる!
「――……結衣! 結衣っ!」
せーちゃんの震え声が聴こえ、せーちゃんの涙の粒が結衣の顔に当たる。
結衣はその感触で目を覚まし、重い身体を無理矢理起こした。
「あ……そっか。負けた……んだ……」
そばにいるはずの――いなくてはならないものの姿が見当たらない。
変身は解除され、結衣の身体は普段着を纏っている。
――そこから何となく、状況判断が出来た。
したくないのに、無理矢理現実を思い知らされる。
「……とりあえず、ここから移動しましょう。ここじゃ――危険よ」
「うん、ごめんね……」
せーちゃんが涙を流しながら必死で、自分に言い聞かせるように言う。
結衣はそんなせーちゃんに、「大丈夫だよ」と言える余裕はない。
ガーネットが――奪われてしまった。
そんな現実から逃げるように、結衣たちは真菜の住んでいる森を後にした。
☆ ☆ ☆
――そこから会話はなく、二人で俯きながら歩いていた。
ガーネットを失った喪失感は大きく、地面が遠く感じる。
あのうるさくてうざったらしいステッキも。
いざ居なくなると寂しいような、寂しくないような……
わけのわからない感情が一気に押し寄せてくる。
「ねぇ、あの……」
せーちゃんがおもむろに口を開く。
せーちゃんも何だか疲れ切っていて、もう休みたいだろうに、結衣を元気づけようとしているのが伝わってきた。
なので、無下にもできない。
「……なに?」
「実は、真菜のことなんだけど、あの子……結衣を仕留めた時、泣いてたのよね……『ごめんね、本当に……ごめんね……』って。だからあたしも身動き出来ずにいて……そしたら、突然ガーネットを奪ってどっかに消えちゃって……」
「そ、そう……なんだ……そっか……」
結衣は、その言葉を聴いて――安堵した。
薄く笑った結衣をどう思ったのか、せーちゃんは一層不安そうな顔を浮かべる。
「大丈夫、大丈夫だよ。せーちゃん。あの子は……多分――」
今度は、ちゃんと「大丈夫」だと伝えられた。
これなら問題は無い。
結衣は一層笑みを浮かべ。
「待ってろ。ガーネット、真菜ちゃん。絶対――二人とも救ってみせる!」
そう、強い意志を宿す瞳で――断言した。




