表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女になれたなら  作者: M・A・J・O
第二章 似すぎている敵
178/261

第172話 おばあちゃん大好き!

「それで、どうしたんだい? ――結衣?」


 改めてそう訊くおばあちゃん。

 結衣と呼ばれた少女は、不機嫌そうに顔をむくれさせている。

 だが、ふにゃふにゃした柔らかい笑みを浮かべたおばあちゃんには勝てなかったのか。


「……じ、実は……」


 と、語りだした。


「俺、その……結衣じゃないんだ……」


 ずっと自分を結衣だと騙って、おばあちゃんの家に居候していた少女。

 そんな少女から突然真実を突きつけられ、おばあちゃんは目を丸くする。


「……え? それは……どういう……?」


 案の定、おばあちゃんは動揺している。

 その視線を感じて、少女は気まづそうに顔を逸らす。

 だが、覚悟を決め、目を閉じて言う。


「俺は、結衣の――()()()()()なんだ」

「――……え?」


 ――それは、誰にも言えなかった事実。

 ――それは、少女にとっての悲劇。

 ――それは、結衣のお母さんが人殺しと呼ばれた理由。


 少女は泣きそうになりながらも、なんとか耐える。

 そして、おばあちゃんの言葉を待つ。


「……そう」

「――っ!」


 いつもより重く響いたおばあちゃんの声。

 それに何を感じたのか、少女はビクッと肩を震わせる。

 涙目を必死に隠し、俯くままの少女。

 だが――


「……そう。ってことは()()()の子だね? よく話してくれたね。偉いよ」


 ポンッと、少女の頭に軽く手を乗せるおばあちゃん。

 そしてそのまま優しく撫で回す。

 少女は何が何だかわからず、狼狽える。


「え……え? あ、あの……おばあちゃん……? 俺の話理解出来たのか??」

「そりゃあねぇ。私はこう見えても不思議なものが大好きでね。趣味でよくUMAを探したりしていたよ」


 ――……なるほど。やはり結衣のおばあちゃんらしい。

 結衣よりもオカルトが好きなようだ。

 それと自分を同一視していることに、微妙な気持ちにさせられるが、今は何も考えないことにしておいた。


「……おばあちゃん。俺……おばあちゃんのこと騙してたのに……いい、のか……?」


 少女が恐る恐る訊く。

 当然のことだが、少女はおばあちゃんを好きで騙していたわけではない。

 ――が、結果的にそうなってしまったから、それに対してずっと罪悪感を感じていたのだ。


 少女は生まれてきた時からずっと、おばあちゃんの家に居座っていたから。

 そんな少女をずっと、おばあちゃんは許してくれたから。

 だから、おばあちゃんに全てを話そうと思った。


「……うん、いいよ。それに、一人で暮らすのも寂しいからこれからも一緒にいてくれたら嬉しいねぇ」


 ――おばあちゃん大好き!

 心の中でそう叫んで、少女はおばあちゃんに抱きついた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ