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魔法少女になれたなら  作者: M・A・J・O
第二章 似すぎている敵
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第168話 天使VS魔王

 この待ち時間が、たまらなく嫌だ。

 はやく決着をつけたいと思えば思うほど、時間の進みが遅いように感じるから。


 はやく、絶望に染まった顔が見たい。

 はやく、殺してスッキリしたい。

 早く、速く、疾く――ッ!!


「……お待たせ」


 その声で、少女はバッと振り返る。

 優しく全てを包み込むような声。

 そんな大嫌いな声をもう聴かずに済むと思うと、胸から溢れる情動が抑えられない。

 興奮して、歓喜して、今にも空を飛べそうだ。


「――来たか。じゃあ、始めようぜ」

「……うん、それであなたの気が済むのなら」

「ふんっ、偽善者が。お前の本性さらけ出させてやる」


 そして、天使と魔王の戦いが、幕を開けようとしていた――……


 ――天使。

 それは地上に幸福をもたらす、神の使者。

 紅く染まった髪は堂々と燃え、太陽のように輝いている。

 翠色に光る瞳は、地上の全てを包み込むように優しい。

 大きく伸びた四つ羽は、まるで大天使のような威厳があった。


 ――魔王。

 それは地上に災厄をもたらす、圧倒的強者。

 紅く染まった髪は不気味に燃え、炎のような危険さがある。

 琥珀色に光る瞳は、地上の全てを見張るように鋭い。

 風にはためく蝙蝠のようなマントは、まるで魔王の偉大さを表しているようだった。


 そして、お互い一蹴り。

 それだけの動作で、空間が爆ぜ、地が割れた。

 魔法で構成されたものとは思えず、まるで()()がそこにいるようだ。

 二人の衝突に耐えきれず、木々が何本か消し飛ぶ。


「――幻想展開、光刃(ライトスペアー)!」

「――幻想展開、黒・(ブラック・)光刃(ライトスペアー)!」


 詠唱を紡ぐと、二人の両手に槍が出現した。

 白く光る結衣の槍に対し、黒く光る少女の槍。


 それが、衝突し合う。

 爆風を巻き起こし、砂埃が激しく舞う。

 二人は魔法でできた槍を剣のように扱い、相手を斬らんとする。


 それを、少し遠くから見ているガーネットとお母さん。

 ただただ絶句するしかなく、二人のスピードに目が追いつかない。


「……すごいわね。結衣はこんなことやってたのね……」

「……ええ、そうです。結衣様はお強いので心配しなくても大丈夫ですよぉ」

「ありがとう。そこは気にしてないから大丈夫よ」


 そうやって話している間にも、ガーネットとお母さんは二人の戦闘を見ている。

 鏡合わせのようにそっくりな二人が、互角に戦っている。

 それを眺めながら、お母さんは手を強く握った。


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