第17話 敵襲のはずが……
「――様、結衣様!」
ガーネットの声が結衣の耳に響く。
結衣が目を開けると、そこには先程の図書館の天井とガーネットが映った。
「えっ!? ガーネット!?」
「よかったぁ……! 目を覚ましたんですねぇ!」
「あ、うん……じゃなくて! なんで??」
そう、相手はガーネットの願いを叶える力を欲しているはずだ。
だからこそ奇襲してきたのだろうと、結衣は思っていたのだが……
現にガーネットは結衣の眼前にいる。声も姿も違わない。
ということは、つまり――
「それが……あの方、私に結衣様への伝言を託された後すぐに消えてしまって……」
結衣の思考を肯定するように響いた声に、結衣は納得した。
そして、気になった部分を訊く。
「伝言って?」
「ええ……『あの子が起きたらこう伝えておいてね。――あなたに魔法少女は荷が重すぎると思うわよ』と。言い捨てられた後、私が反論しようとしたら既に消えた後でして……」
そうやって、心底悔しそうに語るガーネットを見て結衣は悟った。
これは、一筋縄ではいかなさそうだ。と。
「分かった……つまりあの人――何故お前が選ばれたのか――って文句を言いに来たってことだね……」
「まあ……そんな感じはしましたねぇ……」
俯いてそう零した結衣を見て、何を感じたのか。ガーネットはいつもになく弱々しい声を零した。
だが、結衣は内心嗤っていた。
“魔法少女は荷が重い”? ああ、まさしくその通りだ。
その上なりたくてなったわけでもないし、結衣の“願い”なんてちっぽけなもの。
だが、それでも。この力を、ガーネットを手放すわけにはいかないのだ。
私欲のためじゃない……と言えば嘘になるが、それだけではないから。
「は――ははっ。あははははっ」
無邪気とは程遠く、魔法少女らしからぬ獰猛な笑みを浮かべる。
ガーネットは、そんな結衣の様子に酷く困惑した様子で立ち尽くした。
「あー、うん。やってやろーじゃん。私をナメた罰だよ。償ってもらおうか――」
そう言い捨てると、魔法少女に変身してその場をあとにした。




