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魔法少女になれたなら  作者: M・A・J・O
第二章 似すぎている敵
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第155話 魔王、天使を討つ

「肝試し……? お前らそんなくだらないことしてたのかよ……」

「し、しょうがないでしょ……止められなかったんだから……」


 未だ闇が広がる林の中。

 少女の魔法のおかげで、ほのかな灯りが結衣たちの周りを包んでいる。

 だが、その灯りによって逆に怖くなっているような気がしないでもない。


「……つーかさ、この空間嫌な感じしかしねーな……」

「……そ、そうだよね。実は私もそういう感じがするよ……」


 そう言えば、いつの間にか腕の振動が治まっている。

 やっと落ち着いてきたのかとも思ったが、腕を掴まれている感触もない。

 もしかしたら――ッ!!


「っ……! 明葉ちゃん!」


 結衣が意を決して叫ぶも、案の定返事はない。

 というより、近くにもいないのだ。

 そうすると、この人に頼るしか……


「……ねぇ、力を貸してくれない?」


 結衣一人でも、やれば出来るのかもしれない。

 だが、二人でやれば成功率は格段に上がる。

 少女は少し考え込んだ後、ボリボリと頭をかいた。


「チッ……仕方ねぇ。このままじゃ危険なのは俺も同じだしな」

「……ありがとう! じゃあ、やろう――!」

「おうっ!」


 結衣は久々の――ガーネット抜きの変身をし。

 少女は薄汚れたローブを、魔法少女衣装に変えていく。

 そして――


「――幻想展開、光刃(ライトスペアー)!」

「――幻想展開、黒・(ブラック・)光刃(ライトスペアー)!」


 結衣の両手には、二本の白い槍。

 少女の両手には、二本の黒い槍。

 それぞれ右と左に一本ずつの槍を携え、二人は飛んだ。


 天使と魔王。

 相容れぬ二人が今、手を組もうと――!


「……ほぇ?」


 結衣は、間の抜けた声を零した。

 そして迫り来る魔王が、結衣の翠の瞳に映る。

 ニヤリと、獰猛な笑みを浮かべた魔王が――


 ――天使を、討った。


「……ふ、は。ふはははは!! こんなに簡単にいくとはな!」


 天使をしとめた魔王が、堪えきれずに声を上げて嗤う。

 空から地面に墜ちた天使を、文字通りの上から目線で見おろす。


「あのな、俺――お前さえ殺せれば俺自身はどうなってもいいんだよ……」


 どこか悲しそうに呟いた声は、結衣の耳に入ることはなかった。

 なにせ、本物の結衣は――()()()()いないのだから。


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