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魔法少女になれたなら  作者: M・A・J・O
第一章 少女たちの願い(前編)

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第16話 図書館は素晴らしい

 一週間ほど経ち、結衣は近所の図書館に癒しを求めに来ていた。


「あー、生き返るぅ……」


 そこは――天国(パラダイス)だった。


 もう一度言おう。天国(パラダイス)だった。

 広くて落ち着いた館内、様々な本、朝早いからかガランとしているいい静けさ。


 ここはさしずめ楽園(エデン)か、はたまた理想郷(ユートピア)か――

 結衣は内心テンションが上がっていた。

 暑さで頭がやられたのか、いつもの結衣の面影はない。

 だが、ここで大声を出すほどイカれてはいない。


 常識をわきまえ、節度ある行動を心がける。

 それがゆ――


「アホか」


 ――“い”と紡ごうとした口は何者かに遮られ、何かを投げつけられた。


「えー? いいじゃないですかぁ。結衣様の気持ちを代弁しただけだと言うのにぃ〜」

「……私別に頭良くないけどさ、そこまでアホじゃないから……」


 ――そう、これまで喋っていたのはガーネット。魔法のステッキだ。

 そのガーネットに、結衣は半ば強引に魔法少女にされてしまい、そこから付き纏われている。


 ……心底鬱陶しいと結衣は思っている。

 高らかな笑い声も、語尾を伸ばす口調も、何もかも一言で片付いてしまう。

 そう――“ウザイ”のだ。


 ため息を吐きながら現実逃避しかけた結衣の目に、一冊の本が入る。


「これは――」


 と、手に取った本は魔法使いの話が書かれているような題名と表紙だった。


「『魔法使いの願い事』?」

「あー、その本は私の一部ですよぉ」

「は? え? どういうこと??」


 確かにこのアホステッキは最初は本の姿をしていた。

 だが、一部とは――?

 そう問う結衣の視線に、アホステッキは諦めたように零した。


「いつか、結衣様にはお話しなくてはと思っていたのですよ……」


 いつになく真剣な様子で、前置きを語ったステッキ。


 だが――突如轟音が鳴り響き、その続きは聞けなかった。

 図書館――いや、図書館の周辺をも震わせる轟音に、思わず結衣は耳を塞ぐ。

 耳を劈くような不快な音。

 何が起こっているのかさえ掴めないこれは――


「な、なに……これ、敵襲――!?」

「そう……みたい、ですねっ…………嗚呼、うるさいっ……!」


 ガーネットの耳――……まあ、耳などないが余程ダメージを受けたのか、机の上に倒れ込んでしまった。


「ガ、ガーネットっ!」

「あらあらぁ、こんなので倒れてしまったの? うふふ、だらしないわねぇ」


 ガーネットの元へ慌てて駆け寄ろうとすると――

 眼前から何の脈絡もなく現れた人影から、薄気味悪い笑い声が響いた。


 その笑い声の主を、なんとも言えない表情で見やる。

 結衣と同じ瞳の色を持つ髪に、黄色に光る瞳を揺らす――結衣と同い歳ぐらいの少女の姿があった。


「まー、それも当然よね。“強い魔力を持つもの”ほどこの音は何処までも響くんだから」


 ――な、何を言って……

 そう声を出したいのに声が出てこない。

 膝が笑っているのが分かる。足に力が入らない。


 これは――恐怖?

 ……ダメだ。そんな事悠長に考えている場合ではない。

 結衣は首を振り、再度敵に向き直った。

 敵は、そんな結衣の様子に驚いたように目を見開く。


「……恐怖感や威圧感を煽って行動不能にしたいと思っていたのだけど……あなたは案外しぶといのね」


 真菜の時とは違った敵意がおくられる。このままでは危険かもしれない。

 即座にそう判断した結衣は、未だに突っ伏しているガーネットを手に取り変身した。

 だが――


「遅いわね」


 敵のいる方角から――ではなく、結衣の背後から飛んできた“ソレ”は――


 ――結衣の身体を、易々と貫通した。


 何が起きたのか理解できなかった結衣は、そのまま意識を手放してしまった。


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