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魔法少女になれたなら  作者: M・A・J・O
第二章 似すぎている敵
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第138話 いつも通りのガーネット

「野外学習?」

「そうや。来週にあるやろ? 楽しみやわ〜」


 結衣は今学校で、明葉とおしゃべりしている。

 朝のHRが始まるまでの短い時間。

 今までの――魔法少女になる前の結衣は、一人で本を読んでいた。


 だが、今は後ろの席に明葉(ともだち)がいる。

 結衣は幸せを噛み締めながら、明葉の話を聞く。


 野外学習とは、その名の通り野外で学習する学校行事である。

 学校ではない別の場所で、色々なことを学ぶのだ。

 ……まあ、“学ぶ”と言っても、学生にとっては“遊び”がメインだが。


「ええよなぁ……カレーとか自分らで作るんやろ?」

「あー、そうだね。上手く作れるかわかんないけど……楽しみ!」


 野外学習の場所は、『少年少女自然の家』。

 “自然の家”とつくのだから、自然の多いところなのは間違いないだろう。


 咲姫小学校にも裏山のような場所があり、自然に囲まれてはいるが。

『少年少女自然の家』より劣っているのは自明である。


 だから結衣と明葉は、胸を躍らせながらその時を待った。


 ☆ ☆ ☆


「おー、いいですねぇ! 旅行ですか!」

「え、うーん……旅行とはちょっと違う気がするけど……」


 家に帰り、結衣は宿題をしている。

 ガーネットは結衣の話を聞いて、何だか興奮している。

 なぜ興奮しているのかは分からないが。


「私ももちのろん! ついて行きますよぉ!」

「……あ、うん。他の人には見つからないようにしなよ?」


 いくらガーネットに優秀なスキル(にんしきそがい)があっても、当の本人がこんなでは不安になる。

 だが、ガーネットは何を思ったのか……


「おやぁ? 結衣様、私のこと心配してくれてるんですかぁ?」


 そう言い、嬉しそうに結衣の顔面に近づく。

 結衣はそんなガーネットに辟易し、宿題の続きをしようとペンを取った。


「えええ!? 無視ですかぁ!?」


 何だかいつもよりテンションが鬱陶しい。

 そんな()()()()()のガーネットに違和感を覚え、結衣は訊きたかったことを訊いた。


「……ねぇ、カスミちゃんと話した後にどっか行っちゃったじゃん? あれって――」

「――結衣様」


 ――“なんだったの?”と紡ごうとした声を遮られ、結衣は目を剥く。

 結衣の知らない、圧のある声。

 そんな声に硬直し、ペンが床に落ちた。


「――はっ! すみません、結衣様! つい……」

「……え、あ、うん……大丈夫……」


 よほど知られたくなかったのか。

 ガーネットは結衣の問いには答えず、謝るだけだった。

 結衣はそれを察し、それ以上何も訊かないようにした。


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