表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女になれたなら  作者: M・A・J・O
第一章 少女たちの願い(後編)
118/261

第118話 遊園地にも現れるのかな……

「へー、遊園地ねぇ……うちも行ってみたかったんどす」

「ホント!? やっぱり遊園地って楽しいもんね〜!」


 給食の時間。

 それは、多くの学生にとっては至福の時間だ。

 今日の献立はカレーのようで、いい匂いが教室中を漂っている。


 カレーの匂いと楽しい話題。

 その二つが組み合わさると、すごくテンションが上がる。


「遊園地かぁ……あ、そうだ! 明葉ちゃんはどういうアトラクションが好き?」

「ん? うーん、せやなぁ……やっぱ大きな観覧車やろか。あそこで見る景色がすごく好きやわぁ……」


 観覧車。あそこから見る景色は格別である。

 結衣も明葉と同じで、その魅力に取り憑かれたもののひとりである。


「わかる……! 私もなぜかすごく惹かれるんだよね〜」


 結衣は顔を上気させながら言う。

 楽しいことを考えていると、こんなに胸が躍るのはどうしてだろう。

 高鳴る胸を抑えきれず、結衣は変なことを考え始める。


「うふふふ……いいですねぇ〜。小学生の子どもがキャッキャしている姿……たまりませぇん!」


 ……ガーネットも、別の意味でいつもよりテンションが高い。

 そんなガーネットの、変態しゅ……事案臭漂う怪しげな言葉は。


 結衣のランドセルの中にいるからか――幸いなことに――誰にも訊かれることはなかった。


 ☆ ☆ ☆


 そして夜になり、子どもが就寝しなくてはならない時間になる。

 結衣は興奮しすぎて、とても寝られそうにない。


 明日は休日。しかも、遊園地に行くのだ。

 目が冴えてしまうのも、無理はないだろう。


「最近色々あったし……気分転換になるかもね……」

「あっははぁ。最近の色々なんて、遊園地に行けば記憶にも残ってないかもですよぉ?」

「うーん……それはさすがにないと思うけど……」


 さすがにそんなことになったら、もはや記憶喪失と呼ぶべきものだ。

 普通に生きていたら、そうそう記憶喪失になんてならない。……と思う。


「……はぁ、遊園地では何もないといいな……」


 憂鬱そうに零した結衣の言葉に、ガーネットが空気を読まずに食いつく。


「結衣様ぁ……遊園地には夢があるんですよぉ? 大人も子どもも関係なくはしゃぐ。まさに滑稽な……おっと、愉快な場所なんですからぁ!」

「わざわざ言い直したのに何も変わってないね!?」


 というか、遊園地そのもののことで、こうして呟いたわけではないのだ。

 結衣は賢い。ゆえに、ある程度、次の展開が予測できてしまう。


「私は……遊園地っていう楽しい場所に、敵が現れないのかなって思ったんだよね……」

「あー……なるほどぉ。そうですねぇ……“現れない”とは、限りませんしぃ……」

「……うん……」


 だが、もし。もしそんなことになったとしても、結衣はきっとその子を助けるのだろう。

 きっと、助けられるのだろう。


 ガーネットはそう思い、静かに窓の外を眺める。

 星が懸命に輝く姿を見て、期待と不安を紛らわせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ