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魔法少女になれたなら  作者: M・A・J・O
第一章 少女たちの願い(後編)
114/261

第114話 龍と天使の戦い

「結衣様っ!」


 結衣の()()()()()()を思い出させるような大雨。

 胸が締め付けられる。

 もういっそのこと、自分を殺してほし――


「結衣様!!」


 大雨と竜巻の轟音さえも破るガーネットの声に、結衣は思わず目を剥く。

 心なしか、ガーネットが怒っているように見える。

 結衣が何も言えずにいると、ガーネットが大声で責め立てる。


「何やってんですか結衣様! 諦めちゃダメじゃないですか! どうせ“勝てない”とか思ってるんでしょお。まったく……」

「で、でも……っ!」

「でもじゃないですよ! 結衣様はこれまでも様々な困難を乗り越えてきたじゃないですか!」


「だから――」と付け加えて、


()()()()()で負けちゃダメです」


 と言い放った。


 そうだ。これぐらいで、負けていられない。

 結衣はガーネットの言葉を受けて、立ち上がる。


 すぐそばまで竜巻が迫ってきているが、結衣とガーネットはそんなことを気にしていない。

 完全に二人の世界に入り浸っているからだ。


「……ガーネット」

「……はい、結衣様」


 二人は強大な力を前にして、ただ覚悟を決める。


「少しだけ、別行動しよう。……アレを、見つけてきて」

「……わかりました、結衣様。ご武運を」


 結衣は変身を解除して、ガーネットは一目散にある場所へ向かった。


 ☆ ☆ ☆


「……どうしはったん? まさか勝負を降りたんやないやろね?」

「……まさか。ガーネットがいない方がいいだけだよ」


 変身を解除した結衣を見て、明葉が鋭く言う。


 もう、破壊の嵐は目と鼻の先にある。

 だけど、そんなものっ!


「――幻想展開、光刃(ライトスペアー)!」


 結衣はすぐさま変身し、光でできた刃を振りかざす。

 すると、竜巻が消え、雲が晴れる。


 先程まで降り注いでいた大雨も、今となっては面影すらない。

 明葉が目を見開いて、それを見つめる。


 髪を紅く焦がし、四つ羽を広げる――天使。

 服装は普段の魔法少女衣装だが、明らかに違うものがある。


 それは、そう、威厳だ。

 もはや結衣は人類ではなく、文字通りの神の使者。


 龍もたしかに威厳はある。

 だが、所詮高次元の生命体でしかない。


「ちっ……なかなかやるやないの……」


 だが、龍だって。


「けどなぁ……うちかて負けられへんのよ」


 人々からの“信仰”を受け継いでいるのだ。

 人々から崇め奉られれば、それはもう“神”なのだ。


「“龍神”と“天使”――どちらが上かなんて、今更言うまでもないやろ?」


 明葉は――いや、“龍神”は不敵に嗤う。

 もはやここにいるのは、転校生の明葉ではない。


「さぁ、存分に殺り合おうや!」


 刹那。明葉の手のひらから、炎がビームのように繰り出される。

 結衣はそれを、すんでのところで躱す。


 空に羽ばたけば、天使の独壇場だと思っていた。

 だが、違うらしい。


 それもそうだろう。龍だって飛べるのだ。

 龍神は、天使と対峙するように空を飛ぶ。


 これは、今までより厄介な相手になりそうだ。

 結衣は一層気を引き締めて、相手に向き合う。


 妖しい天使と、神に等しい龍。

 その二人が、本気でぶつかり合おうとしていた。


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