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魔法少女になれたなら  作者: M・A・J・O
第一章 少女たちの願い(後編)
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第104話 ガーネットの言葉

「結衣様!」


 結衣はガーネットの悲痛な叫びにより、目を覚ます。

 どうやら気を失っていたらしい。


 どうもあのりゅうのことを考えると、自分の中の気持ちが抑えられなくなる。


 ごちゃごちゃで、ぐちゃぐちゃで。

 大洪水のような、大嵐のような。そんな感じだ。


「……結衣様……?」

「――あ、ごめん。なんでもないよ」


 とりあえず、あの絵本について考えるのはやめよう。

 それよりも――


「あれ、お母さんは……?」


 結衣が気を失うまでそばにいた者の姿が見当たらない。

 なぜか代わりに、ガーネットがいる。


「お母様なら、結衣様への食事を作っておられますよ? 今頃は試行錯誤しているかと」

「……そっか。ありがとう……」


 結衣が力なく笑顔を浮かべると、ガーネットは申し訳なさそうに口を開く。


「ところで結衣様……最近何かありました?」


 ガーネットはやはり、勘がいい。

 というより、結衣の変化に敏感だ。


「まあ、ちょっとね……」

「なら話してください! 一応これでも私は従者なんですからぁ!」

「あ、あはは……そう、だね……」


 ガーネットの圧に押され、結衣は全てを話した。

 話し終えた後のガーネットは、なんだか複雑そうな様子だった。


「ごめんなさい、結衣様……そういうことに気付けず……」

「え? いや、いいけど……どうしたの? いつもならもっとこう……うんざりするほど元気な感じなのに」


 結衣は少しオブラートに包んでみた。

 ガーネットの様子がおかしくて、刺々しい言葉を使うのを躊躇ったから。


 そうこうしているうちに、足音が聞こえてきた。

 多分、結衣のお母さんの足音だろう。

 案の定、そうだった。


「結衣ー? もう大丈夫? 開けるわよ……」

「あ、うん! どうぞ!」


 ガーネットのことは、ひとまず頭の片隅に置いておくことにする。

 お昼に食べたおかゆの量が少なかったせいか、少しお腹が切ない気がするから。


 ガーネットの言葉を聞くのが、少しこわいというのもある。

 だから結衣はまた、ガーネットの件を保留にした。


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