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貝殻ストーリー  作者: 湯巡亭 風呂美
5/22

第5貝 「結婚前夜」

「パパ~。わたし、パパと結婚する~!」

なんて、可愛い笑顔を見せてくれていた娘。

いつの間にか成長して、この前誠実そうな男を連れてきたかと思ったら、明日は結婚式。

早いもんだな……。

しみじみと娘の幸せを祈りつつ、どこか悔しい気持ちもある。

それが、娘を嫁に出すというものだ。

「お父さん。長い間お世話になりました。」

「いやいや。そうかしこまらないで飲もうや。」

娘が笑顔で酌をしてくれた。

照れ臭い気もするが、返盃しておこう。

それにしても、今日の刺身は豪華だ。

お母さんも奮発したんだな。

娘も喜んでいる。

「わぁ~!私の大好きなサザエもある~!」

「お前の大好物だからな。」

はしゃいでいる娘の姿は、小さい頃となんら変わらない。

明日、嫁入りだとは思えない無邪気さだ。

「お父さん。覚えてる?」

「ん?なんだ?」

娘は、突然サザエの貝殻を手に取り耳にあてた。

「小さい頃、私が海に行きたいってだだをこねてさ。」

いや……覚えないけど……。

「連れていけないからって、サザエの貝殻を耳にあてなさいってくれたでしょ。」

「知らんぞ!それお母さんとの話だろ?父さんは仕事してたからな。それより汁たれてるからな!汚いからな!」

ツッコミを入れるが、娘は懐かしそうにサザエの貝殻を耳にあてたままだ。

「つぶ貝も大ぶりのものだったら、どうなのかな~って感じでさ。」

娘がつぶ貝の煮付けの中から、大ぶりのものを耳にあてる。

「いやいや!つぶ貝じゃ波の音聞こえないからな!汁たれてるぞ!汚いぞ!」


つづく




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