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貝殻ストーリー  作者: 湯巡亭 風呂美
20/22

第20貝 「スパイラル貝殻エイト7日目」

今日?

また今日なの?

おかしいよ。

また今日が来てるなんて。


すがすがしい朝なんだけど、おかしくない?

間違いないないけど?なんか変。

しかも、同じ朝だよ。


ベランダからは、見えてるのはとてもきれいな朝日?……気持ちいいはずだけど?

何回も見てるよねこれ?ループしてるの?


絶対、今日という日を何度も経験してるよ。私。

だから今日は……今日も?本当に今日かな?

ううん。何度目かの今日だよ。


ほら!もう今日も朝から台所で魚を焼いているし?


すごく香ばしい匂いも、何度も体験してるぢゃん。

間違いないわ!これはループしてる。


だから、私は、いつものようにサザエの貝殻を耳にあててるんだ。


「うわ~!波の音が聞こえる~。」


知ってるよ!何度目かわからないけど、次は汁たらすんだから。


朝の空気と波の音のコラボ。やっぱりすごくステキなんて言ってる場合?


ほら……汁たれてきたじゃない。


そんな私を見ていた布団の中の人は弟?いや……彼氏?そもそも男の人?

が、今日も布団の中から眠そうに目をこすりながら言うのよ。

これから、ほら!言うわよ!


「あのね。今、汁たれてるから。汚ないよ。」


ほら言った。私は軽く咳払いをして、今度は大ぶりのつぶ貝を耳にあてなきゃいけない。

もう!一体何度目よ!

波の音が聞こえないってわかってるのに、汁たらすためだけに、耳にあてるのよ!

わかってるんだから!


「あのさ。つぶ貝は大ぶりでも波の音聞こえないから。汁たれてるぞ。汚いからな。」


知ってるし!

だから、ループしてるんだってば!

どうしたら抜け出せるの?

このループから。


まあいいや。そろそろ学校に行かなきゃ!

チコクしちゃう!


でも、それでいいの?

またループするんじゃないの?


つづく

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