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貝殻ストーリー  作者: 湯巡亭 風呂美
2/22

第2貝 「刑事ニコラスと刑事小林」

「ニコラス!いいか!犯人は、あの倉庫の中だ!」

「ハイ!ワカリマシタ!トツニュウですね!」

海外のFBIから警視庁に配属されたニコラスは、ひょんなことから叩き上げ勤務の小林とコンビを組むことになった。

そんな最中、サザエの貝殻を持って汁を垂らそうとしている犯人の捕獲に乗り出したのだ。

「く、来るんじゃねえ!こ、このサザエで・・・波の音聞いちまうぞ!」

半狂乱に叫ぶ犯人に向かい、ニコラスはFBI仕込みの交渉術で近寄ろうとしていた。

と、その時、ニコラスの足にゴミ箱があたり、中身がぶちまけられてしまった。

中から出てきたのは、大ぶりのつぶ貝だった。

「ぐはっ!」

つぶ貝を見た衝撃に、ニコラスは吹き飛んでしまった。

「に、二コラ~ス!」

慌てて駆け寄る小林だったが、ニコラスは息も絶え絶えだった。

「コ、コバヤシさん・・・。」

「もういい!しゃべるな!ニコラス!」

涙をこらえ、小林は大ぶりのつぶ貝をニコラスの耳にあてた。

「こ、コバヤシさん・・・。つぶ貝デハ、ナミのオトキコエマセン…。」

「二コラ~ス!汁垂れてるぞ!汚いぞ!ううっ。」

ポカンとした顔で立っている犯人。

恐る恐るサザエの貝殻を耳にあてた。

「な、波の音が聞こえる…。」

涙をぬぐい、小林は犯人の前に立った。

「犯人よ…。汁垂れてるからな。汚いからな。」

がっくりと膝をつく犯人を、小林はただじっと見つめていた。


「あの…。どうでもいいですが、ちゃんと片づけてくださいね。煮詰まった醤油って、意外と匂い残るんですから。」

婦警の言葉に、こそこそと部屋を出る3人の姿があったそうな。



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