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改革への第1歩

 おはようございます。今日もいい天気です。私がクリーンの魔法を使っているので洗濯の必要がありませんが、偶には洗濯機で洗って屋外に干したいです。次の休日に時間があれば実行してみようかな。



 今朝の朝食はご飯とじゃが芋、オニルの入ったオムレツ。ダイクン(大根)、キューリ(きゅうり)、キャロルのサラダ。1角ボア、ダイクン、キャロルの豚汁でなくボア汁。大きな寸胴鍋で作ったのでボア汁はおかわり自由です。



 今日の午前中は座学の時間です。食堂に集まってもらいました。

 1番年長のナージちゃんは文字は読めるけれど書く事は出来なくて、簡単な計算は出来ます。行商人の子どもだったジョシュ君は簡単な計算は出来るけれど文字の読み書きは出来ません。他の6人は読み書き計算全滅です。


 今日はノートに1文字ずつ書き取って読み方を覚えてもらいましょう。ノートとボールペンを全員に配ると、とても静かになりました。ノートもボールペンも初めて見る物でしょうね。でも、羊皮紙に羽根ペンはまだ私が使いこなせないし、使いにくい道具は練習のペースが落ちます。しっかり覚えたあとで、この世界の道具に慣れてもらう様にします。時間は有限ですからね。



「今日はここまでにしましょう。」


 もうすぐ昼1の鐘が鳴る時間です。途中休憩をはさみながら午前中たっぷりと勉強しました。午後は冒険者ギルドヘ移動するので今から昼食にしましょう。


 昼食メニューは、昨日の夕食のかつ丼のボアかつを使ったカツサンドとポタージュスープです。食後はそれぞれの武器防具を身に着けたら出発します。



 冒険者ギルドに着きました。昼なので空いていますね。食堂スペースに小さな子どもが2人います。誰かを待っているのでしょうか。


「昨日予約したサーヤです。」


「第2訓練場のご予約ですね。承っております。今から使われますか?」


「はい。空いているのなら今から使いたいです。それと依頼の方はどうなりましたか?」


「4人の方が訓練場でお待ちしております。お呼びしましょうか?」


「いえ、このまま行きます。ありがとうございます。」



 ギルドの訓練場は誰でも無料で使える第1訓練場と、有料で予約制の第2訓練場があります。私は昨日訓練場の予約と依頼の為にギルドに来ました。


 開けっ放しになっているドアから中に入ると4人の冒険者らしき人達が待っていました。


「お久しぶりです。マリッサさん、サンクさん、クリムさん。」


「サーヤちゃん!」


 マリッサさんが抱きついて来ました。


「もうこの街にはいないんだと思ってたわ。」


「宿屋を出る時会えなかったので今日会えて良かったです。今は南西地区に住んでます。時間がある時に来てください。私の手料理を食べてほしいです。」


「もちろん、行かせてもらうわ。それで今日ここにいるって事は依頼主はサーヤちゃんかしら?」


「はい、そうです。」


 先ずは全員で自己紹介です。名前と使用武器を言います。


「クウガです。剣を使います。」


「ユリクです。槍を使います。」


「スザナ。弓と魔法。」


「ガイス。槍を使います。」


「ジョシュ。弓と短剣です。」


「レオンです。剣を使いたいです。」


「ナージです。弓と短剣希望です。」


「カルアです。見学です。」


「改めて、サーヤです。魔法と短剣と弓を使います。」



「紅蓮の風のマリッサよ。得意武器は剣と弓ね。」


「紅蓮の風のサンクだ。俺は盾役で武器は槍を使う。」


「同じく紅蓮の風のクリムです。私は魔法と短剣を使います。」


「俺は、スタン。今はソロの剣士だ。」


「今日はマリッサさんは弓でクリムさんは魔法をお願いします。」


「分かったわ。」


「はい。」



 それぞれの武器に別れての訓練開始です。私はまだ訓練に参加出来ないカルアちゃんと見学です。



 訓練場のドア付近のセーフティゾーンにテーブルと椅子を出してカルアちゃんと座ります。


 さて、ただ座ってるだけでは退屈でしょうね。アイテムボックスから毛糸を出します。


「カルアちゃん、指編みをしませんか?」


「指編み?何かわからないけどしてみたいです。」


「毛糸で全員分のマフラーを作ろうと思っています。」


「マフラーって何ですか?」


「ストールやスカーフの様に首に巻くものですよ。」


「私も作りたいです。サーヤお姉ちゃん教えてください。」


「はい、一緒に作りましょう。」


 この世界にも毛糸はありますがラグに使われています。編み物でなく織物ですね。


 オレンジ、イエロー、ブラウンの3色を用意しました。1色で3人分ずつ合計9人分です。カルアちゃんと2人で作れば寒くなるまでには完成するでしょう。



 昼2の鐘が鳴って30分ぐらい過ぎたでしょうか。


「カルアちゃん、おやつの時間にしましょう。テーブルの上を片付けていいですか?」


「はい、いいです。」


 毛糸をアイテムボックスに入れて昨日作ったホットケーキと飲み物を出します。どら焼きを真似て2枚を重ねて内側にバターを塗ったものと、ジャムを塗ったものと、何も塗っていないものの3種類作りました。小さめサイズにしたので私とカルアちゃんでも2個は食べれるでしょう。他の人達は私達の倍は食べれそうですね。


「皆さん。休憩にしませんか。」


 私の声でみんなの動きが止まり一斉に集まってきました。


「サーヤちゃん。私達ももらっていいの?」


「はい、もちろんです。たくさんありますので、遠慮しないで食べてください。」


 全員にクリーンをかけて飲み物を配ります。


「こちらは中にバターを塗っています。こちらは、ジャムです。甘い物が苦手な人用に何も塗っていないものもありますよ。」


「大丈夫ですよ。甘い物を食べる機会を逃す事はしません。出来れば全種類制覇したいぐらいです。」


 そう言いながら良い笑顔を浮かべたクリムさんがバター塗りのを美味しそうに食べています。サンクさんもウンウンと頷きながらジャム入りのを頬張っています。マリッサさんは既に2個目に突入です。ただ1人、スタンさんだけは1口食べただけで飲み物を飲んでいます。


「スタンさん。お口に合いませんでしたか?苦手な様でしたら他の物を出しますので遠慮なく言ってください。」


 私がそう言うと、スタンさんの顔がバツが悪そうな表情になりました。


「いや、違うんだ。1口食べただけでとても美味しい事がわかった。俺だけが食べるのがもったいなくて、子ども達に食べさせてやりたいと思ったんだ。」


 スタンさんは自分が食べるのを我慢して、子ども達のお土産にしようとしたのですね。優しいお父さんです。


「たくさんありますので、お土産は別に用意しますよ。今は、スタンさんが食べてください。お家はここから近いですか?近くなら1度家に帰っておやつを渡して来てもいいですよ。」


「いや、家でなく子ども達は今上にいる。」


「上ってギルドの中ですか?」


「ああ、流行病で嫁を亡くした。子ども達はまだ3歳と2歳だから子ども達だけで留守番させるのが心配で連れてきた。」


 そういえば、ギルドの食堂スペースに小さな子どもがいましたね。


「スタンさん。今すぐお子さん達をここに連れてきてください。」


 ニッコリ笑って言えばスタンさんはそのまま子ども達を迎えに行きました。



 使命は無いけど、発展に少しでいいから貢献してほしいでしたか。少しの範疇がわかりませんね。アル君への伝言でなく直接お話したかったです。女神様。



 スタンさんが子ども達を連れて戻って来ました。3歳のジャン君と2歳のジョン君です。挨拶もそこそこにおやつタイムの再開です。


「父さん、美味しいね。」


「甘くて美味しいね。」


「そうだな。良かったな。」



 おやつタイムが終了して、訓練開始です。ジャン君とジョン君にも一緒に見学していてもらいます。指編みはお休みしてカルアちゃんに2人の相手をお願いしました。カルアちゃんは今まで1番年下だったのでお姉ちゃんと呼ばれてかなり張り切っています。私は少しの間、席を外して紙とクレヨンを印刷・コピーしてきました。3人共初めて見る物に興味津々です。




「ほいくしょ?」


「はい、保育所です。」


 今私がいるのは冒険者ギルドのギルドマスターの部屋です。あの後すぐに受付でギルドマスターへの面会を申し込みました。流行病で多くの冒険者や商人が街を出て行った事は聞きましたが、街に残っている人達も色々な問題で困っている様です。


 私は、父子・母子家庭の為に保育所を作る事を提案しました。


「最初はギルドの空き部屋を使って少人数でいいので早急に始めてほしいです。子ども達を安心して預ける場所があれば、冒険者に復帰出来る人がいます。夫を亡くして仕事に出たくても中々出られない人がいます。保育所が出来れば冒険者の確保が出来るだけでなく新しい雇用も生まれます。大人だけでなく子ども達を救う為にもやってみませんか。」


「ギルマス、やってみる価値はありますよ。」


 アントンさんが賛同してくれました。実はアントンさんはサブマスターでした。納得がいきます。ギルドマスターはジェダムさんと言います。とっても筋肉ムキムキのマッチョなおじさまです。


「わかった。サーヤだったか?」


「はい。」


「お前とアントンにすべて任せる。部屋は2階の会議室を1室使うといい。アントン後は任せた。」


「…。」


 アントンさんは無言です。任せたではなく押し付けたのでは…。


「はぁ〜っ。わかりました。勝手にやらせて頂きます。サーヤさん、よろしくお願いします。」


「は、はい。よろしくお願いします。」













長くなったのでここで切りました。

ありがとうございました。

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