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狂気に歪んだ愛のなかで  作者: 紫乃
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奴隷との出会い

「オリビア様、こちらが例の奴隷達です」


そう言って豚のような体をしている奴隷商売の店主は、幼いながらも美しい顔立ちをしている少女、オリビアに向かって手を揉んでいる。

奴隷達は5人ほどいて、皆無表情で生気が感じられないがどれも美しかった。

皆足枷をしており、首にチョーカーを巻いている。ようするに首輪だ。


貴族は皆、奴隷を買うのが主流だ。その奴隷が美しければ美しいほどに値段は高く、その値段で自分の地位の象徴を表している。そして、そのオリビアも貴族であり、公爵という地位にいる。12歳の誕生日として奴隷を買い与えられるのだ。


「つまらない、次」


オリビアはその奴隷達を見ても気に入る様子はなく、次の奴隷を店主に指示した。だがオリビアの要望に店主は焦った。


「で、ですがもうこの奴隷で"最後"です」


オリビアは店主の"最後"という単語に片眉を上げて店主を睨み付けた。


「あら、まだいるでしょう?知っているのよ、ユラレイシア国の王子がここの奴隷になったと風の噂で聞いたわ」


「そ、それは…」


ユラレイシア国は、今オリビアがいるこの国、レシャパール国が不正の戦争でユラレイシア国を討ち取った国。

普通は戦争を始めるとき、互いの戦争が平等にするために手紙を送るのだが、レシャパール国はそれをせず、何も知らないユラレイシア国を襲ったのだ。


「ですがあれは…もう予約が入っているのですよ」


「いくら?」


「はい?」


オリビアの質問に店主は首をかしげた。聞こえなかったようだ。


「いくらかと聞いているの」


「い、いや…それは」


店主はようやくその言葉に理解したのか、どもりだした。

店主は言葉に出来ないのか、紙を取り出してその金額を綴った。

その金額は城を1つ簡単に建てれるほどの多額の金額だった。

だが大してオリビアは驚かなかった。


「その3倍出すわ」


そのオリビアの一言に店主は開いた口が塞がらない。

しばらく呆けていたがその金額に目が眩んだのか歪に歪んだ笑みを浮かべ、その要望に答えた。


店主は「少々お待ち下さい」と言い、奥の部屋へと入っていく。

そして数分後オリビアより少し背の高い少年を連れてきた。

髪はオリビアと同じ灰色、炎を宿したような瞳がオリビアを睨み付けている。

その少年が逃げないようにか厳重に鎖を腕に巻き付け、足枷も嵌めている。暴れまわったのか所々に傷がついていて、口には布が埋め込まれていた。その少年は殺さんばかりの殺気を放ち、ギラギラと生気に満ちている。


そんな少年を見てオリビアはゾクッとした。

オリビアの陶器のような白い肌にほんのりと赤みを帯びる。


(__あの子を痛みに顔を歪ませたい、手に入れたい)


そんなオリビアの歪んだ狂気は誰にも分からない。


「……オリビア様?」


オリビアの様子を変に思ったのか、顔を伺う。


「…何でもないわ。その奴隷、買いましょう」


「ありがとうございます!」


「お金は後で家に請求してちょうたい」


「は、はい!」


店主は嬉しそうだった。きっとその金で何に使うか考えているのだろう。醜い笑みを浮かべている。


オリビアはアホ面をしている店主に鎖と足枷を解くように指示する。そしてオリビアの奴隷となるために儀式を行った。

少年は店主によって体を押さえつけられる。少年は何が起こっているのか分からないようだ。


オリビアはその白魚のような手の人差し指に針をぷつ、と刺す。

少しチクリと痛みが走り、オリビアの顔が一瞬歪む。

少年は何をしているのか段々と理解できたのだろう。これから起こるであろう出来事を拒否するかのように頭を振り回し、暴れだした。それを店主が押さえつける。少年の華奢で痩せ細った体と店主の丸々太った体型では明らかに力の差があるため、その抵抗は虚しく終わる。

少年は声が出ないため、呻き声を出すことしか出来ない。


「ん"ーっ!ん"ーっ!」


オリビアは少年がしているチョーカーの丁度喉の真上にある文様の上に針で指した指を当てる。店主がオリビアに問う。


「さて、オリビア様。一体何処に鎖を?」


鎖とは、主人に歯向かったり、一定以上の距離を離れたりするとチョーカーが反応し、主人が付けた見えない鎖でその主人の力加減によってその奴隷を苦しめるという、いわば呪いのようなものだ。


「ふふ、そうね。では心臓を」


「し、心臓!?」


「大丈夫よ、死なないように努力するわ」


普段の貴族なら目や、足、首等に付けるが、オリビアは心臓を選んだ。下手したら死んでしまうかもしれないと焦った店主は鎖を止めようとしたが、時すでに遅し。

チョーカーが光だし、ジャラジャラと鎖の音が響く。

少年は心臓に軽く巻き付かれているような感覚に、その瞳は殺されるかもしれないという絶望でいっぱいで怯えていた。


その様子を見たオリビアは歓喜の表情を浮かべる。

やがて光りも消え、少年は崩れ落ちた。


「貴方、名前は?」


「………」


「言葉、喋れないの?」


少年は答えなかった。少年は喋れない訳ではなかった。決して言うもんかと言わんばかりにオリビアを睨み付ける。さっきまでの絶望に打ちひしがれる様子は何処かへ行き、絶望よりも怒りが勝ったようだ。

その少年の様子にオリビアは満足気に微笑んだ。


「いいわ、私が名付けてあげる。貴方の名はウィル。意味は勇敢な守護者よ。ふふ、もし犬を飼ったらこの名前にするつもりだったの。どう?貴方にとてもお似合いだわ」


ウィルと名付けられた少年はオリビアの声は聞こえなかった。まだ消えない心臓に鎖が巻き付いている不快感でふー、ふー、と興奮していた。


「ふふ、喜んでくれて嬉しいわ」


オリビアはウィルが喜んでいないことは見て分かっていたが、わざと嬉しそうに声を弾ませ、両手を自分の胸の前で合わせてそう言った。


「貴方は一生私の奴隷よ、ウィル」


幼いながらも狂気に歪めたその顔は近くにいた店主もゾッとするほどだった。

その言葉を聞いた後、ウィルは気を失ってしまった。そんなウィルを愛おしげに見つめた。


「帰りましょう、私達の家に」





初めまして、紫乃です。

ユラレイシア国は何かに似てると思いませんか?

ユーラシア大陸にレイを入れただけなのですw


ハッピーエンドを書きたいと思いますが、何分亀更新なため、ご了承下さい。


こんな歪んだ小説で申し訳ない。

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