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ハードボイルド(笑)に生きよう  作者: 最小
酒好きの銃使いと宿屋の少女
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その5 セイジ視点、ここはゲームではないのだから

ストックないからそろそろ2日に1回とかになりそう。

 ――夢を見た。


 白い空間、空が白かった。


 私は無造作に積み上げられた何かの一角に倒れていた。

 人形……いや、マネキンの廃棄の場面をテレビで見たことがあるが、そんな光景だ。下のほうならば悲惨なことになっていたかもしれないが幸いにも2、3人くらい上に乗っかっているだけのようだ。


 ふと、誰かが話をしていることに気づいた。女の声だ。その声色は不機嫌といわんばかりの荒々しいものだった。


 ……何を言っているのだろう。


 私には理解できない言語だった。


(おかしい、知っている言葉のはずなのに……)


 私は満足に動かせない眼球を声のした方へ向かうよう意識する。

 2人、女がいた。1人は見たことのある顔だ、しかし思い出せない。


 視界を動かせるならばと辺りを見渡す。積み上げられたヒトガタのものは知っているものを身に付けていた。


(これは、ゲームの……)




 ――木目調の天井がある。少し薄汚れているようだ。


 手を見た。筋張っていて、皺の目立つ大きな手。

 ああ、私はセイジなのだ。


 深呼吸をして、日課を始める。顔を洗い、髭を剃り……。


(なぜ、違和感の1つも感じないのだろうか)


 下品ではあるが排泄の際問題なく行うことができた。私は女だった。上手くいくわけがないはずなのだがまるで始めからそうであったかのように行うことができたのだ。


 他にもおかしな点があった。

 カーラと町を目指していたときに、この世界の原生生物と幾度か戦う機会があった。

 ゲームとは違い動作補助はないのだから上手く動けるのか心配だったのだが……。『元の世界(げんじつ)』と違って思い通りに動くこの体。まるで始めからこの体であったかのようにしっくり来ることに違和感を感じていた。

 今行っている銃の手入れだって現実では一切行ったことがなく、ゲームでは体が自動で動いていたのだからプレイヤーの私が完璧にこなせるのはおかしいのだ。


 試してみたいとこもあり私は宿の外に出ることにした。


「おお、随分とお早いお目覚めだな」


「亭主か、お早う。少し体を動かしたいのだが、どこかよい場所はないだろうか?」


「ほう、それならうちの庭を使いな。こっちにある」


 この宿に泊まるのは大体が冒険者だそうで、庭という名目の空き地には鍛練目的のボロボロになった木の杭がいくつか地に刺さっていた。

 宿もそうだが町の建物の印象は西部劇だろうか。宿場町と聞いていたが見渡す限り全て木造だ。


 宿へ戻っていく亭主に礼を言い、太陽もまだ出来っていない空間を見渡す。今はいいがもう少ししたら人も出歩き始めるだろう。

 塀なんてものはなく丸見えの状態だが気にしないことにして、私は武器を取り出した。


 『魔槍:碧鷹』というレア武器で装備制限が緩い変わりに使えるようになる魔法が戦闘向きではないという理由で投げ売りされていた。

 見た目が派手なのでそういう投げ売りされているレア武器は色々と買い込んでいるのだが、今回この槍を出したのはあることを確かめるためだ。


 ガンナーは銃以外装備不可、私は銃と格闘の武器であるナックルしか装備出来ないはずだった。だというのに私は槍を持っている。装備しているのだ。何がおかしいか語るためにはゲーム、いやこの世界の武器について説明が必要か。

 まず武器には2つの形態がある。1つは今出している銃や槍のような実物だ。もう1つは『タグ』と呼ばれる金属の細長い長方形のレリーフのようなものだ。ベルトに『タグホルダー』と呼ばれる金具に4つ取り付けることができ、私は腰のベルトの左右に1つづつ、左太股のベルトに1つと計3つつけており12個武器を装備できる。装備はアカウントで共通なので、タグをはめることは出来るようになっている。

 ゲームでは装備可能な武器しかタグから形態変更出来なかった。本当にジョブという概念がなくなっていることを私は理解出来たのだ。


「――フッ」


 息を吐くのと同時に槍を振るい、仮想敵をイメージする。どのように振るえば受け流せるか、一撃を与えられるか。私はそれだけを考え素振りを続ける。

 私は考えながら動くのは得意ではない。だからゲームのときもひたすら反復した。


 1アカウントで作成できるキャラクターは5つだ。

 その代わり決めたジョブを自由に変更することが出来ないので、私はキャラを作っては慣れるまで使い、消してを繰り返し下級職はほとんど体験した。

 槍を使ったのは大分前だった筈だ。


 思い通りに槍を操れているという事に強烈な違和感を感じる。それを押し込むように槍を振るい続ける。

 ここはゲームではない、この町に着くまでにセイジなら生きることが出来るのを知った。だから私はセイジでなければならない。

 生きるために有益であるこの感覚を不快に感じていてはいけないのだ。


(なぜここで生きようと私は考えているのだろうか)


 考えてはいけないことを考えてしまっているからか、だんだんと動きは鈍くなっていく。

 亭主に朝食が出来たと呼ばれるまで私は鍛練を続けた。


予想以上にセイジ余裕なさすぎた、書き始めるとキャラが勝手に動くからなぁ。

セイジの見た目年齢のせいか話相手がオッサンになってしまう不思議。

次はカーラメイン書きたい。

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