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ハードボイルド(笑)に生きよう  作者: 最小
酒好きの銃使いと宿屋の少女
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その3 世界の違いを探して

ゲームからの転移で迷うことはゲームシステムが反映されてる世界にするかと、プレイヤーのレベルがどこに位置するのか。

オッサン2人の会話でカーラが空気に。

「ここがわたしが住んでいる町、リーウィです」


 特に危険な目にあうこともなく到着したその町は、小綺麗さのない荒くれものが集いそうな場所だった。わりと活気はあるようであちこちに出店がある。


「セイジさんはギルドに寄りますか、ついてきてくださると説明がし易いのですが」


「私も用があるからな、行こう」




 ギルドは町の入り口からあまり離れていない位置にあり、それなりに大きな建物だった。

カーラは入り口近くのカウンターにいた男に事情を説明し、その間セイジはギルドの内部を物珍しそうに見渡していた。


「随分早く帰って来たと思えば……まあ、奴が前所属してた町のギルドには言っておくよ。

それと……おいアンタ、証がついてるっつぅことは冒険者なんだろ、ちょいとこっちに来い」


 控えめにいっても人を2、3人は殺していそうな顔立ちの男に手招きされ、カウンターに置いてある台座のようなものに案内される。それはセイジにとってそれは見覚えのあるものだった。

 そのギルド職員の男に促されセイジは右手中指にはめてある指輪を台座に翳す。この指輪はゲーム内では『ギルド証』と呼ばれるアイテムで、アイテムボックスを兼ねたものだった。

 セイジの知るゲームの通りならばステータスを確認できる筈だ。


――――――――

セイジ

種族:異界種

ランク:赤

――――――――

直近討伐履歴:

ウィトシア熊×2

ウィトシア中兎×3

ココナ狼×12

――――――――


 ゲームと大分表記が違って随分とさっぱりしているとセイジは感じた。


――――――――

セイジ

種族:異界種

Mジョブ:ガンナー

Sジョブ:格闘家

レベル:17

体力  :★☆☆☆☆

魔力  :★★☆☆☆

腕力  :★★☆☆☆

器用さ :★★★★☆

素早さ :★★★★★

守備  :★☆☆☆☆

魔力効率:★★★★☆

――――――――


 これがセイジが覚えているゲームでのステータスだ。ゲームでの能力はレベルに対する相対評価しかされず、具体的な数値はマスクデータとなっていた。RPGでよくあるHP、MPは体力、魔力なのだが、それすらも数値は隠されている。

 具体的な話はここがゲーム内ではないので割愛するが、『魔力効率』は魔法攻撃力の高さと魔法防御力の低さを表し、これが高いほど魔法によるダメージを食らいやすいという点だけ特筆しておく。簡単に言うとセイジは物理的な防御だけではなく魔法に対する抵抗力が低いということだ。


「オイオイ、アンタ本当に『異界種』なのか?」


「ああ、そうだが……異界種を知っているのか?」


「異界種と言えば30年前に突然現れて、数ヶ月しないうちに消えちまった奴らのことだ」


 ギルド職員の『30年』という単語に、セイジは何か心揺さぶるものがあった。しかし、なぜ気になったのかがわからず、一旦保留にすることに決めた。今はゲームとの類似点があったこの世界に対してどうするかだ。


「少し、確認したいとこがある。私は『異界種』……この世界の住人ではない。私の常識、考え方や認識がどこまであっているか確認がしたい」


 珍しい客人の情報はギルドとしても欲しいのであろう。続きを促す職員と好奇心に駆られたかなぜか同席しているカーラに対して、セイジはゲーム内での設定を話し始めた。


「まず、私たちはリュエンドクライムなる世界に女神によって召喚された、リュエンドクライムの原住民から『異界種』と呼ばれている」


「リュエンドクライムっつう場所は知らねぇな、アンタはこのリーウィの町やウィトシア森林の名に覚えはあるか?」


「全くないな」


 他にも地名や国名、大陸名など互いに出してみたが一致するものはなかった。


「次にリュエンドクライムの原住民についてだ。4つの種族が存在する。『人種』『夜種』『魔種』『竜種』だ」


「……こっちと一緒だな。『夜種』の特徴は?」


「月の満ち欠けに能力が左右され、子をなせない種だ。その代わりに『人種』を同族に変える力を持つ」


 人狼、吸血鬼があげられる。意外にも彼らはヒト以外を食糧に出来るため、共存出来ている地は多いらしい。


「合っているな。『魔種』は?」


「寿命が長く1つの属性の魔力の扱いに長けた種だ。エルフ、ドワーフ、妖精、人魚などがいた筈だ。住む地が『人種』には厳しい地が多いからか、交流は少ないと聞いている」


「そいつも合ってる。じゃあ……『竜種』は?」


 思っていた以上にゲームとの類似点が見つかったことにより、この後の話の流れを考えたのだろう、セイジは少し躊躇いながらも答えた。


「寿命が長い種としか。『竜種』と『異界種』は敵対していたため詳しい情報はわからない。私たちを召喚した女神の目的は『竜種』の神である『白竜』の討伐だったからな」


「なっ!? オイ……」


「リュエンドクライムでの話だ。この世界にいる『竜種』とは違うと私は考えている」


 セイジはギルド職員の言葉を遮るように、はっきりと答えた。ギルド職員の反応から今動かねばこの町との敵対も起こり得ると判断したのだ。

 少し顔が強ばり、極悪人面の増したギルド職員を見据え、さらに言葉を重ねた。


「私はそう考えているが、全ての『異界種』がそうだとは限らない。『異界種』を判別できるギルドや、『竜種』……いや、『白竜』に情報を流し認識のすり合わせが必要だろう」


「……わかった。『異界種』について、必ず情報を共有するようにしよう」


 セイジは世界観の設定はこれ以上語らず、武具や道具、飲食についてなどのギルドに所属するために必要な知識についての確認を始めた。


 そこで分かったことは、ゲームに存在していた『スキル』と呼ばれるものはないこと、『魔法』は自動詠唱はないがゲームと詠唱は同じであること、武器の装備手段は同じであるが銃はこの世界に存在していないこと、『ジョブ』の概念が存在しておらず装備制限もない筈であること……。


「武器が同じならば……、通貨はどうだろうか?」


「どれどれ……、こりゃ30年前の通貨じゃねぇか! ……や、冗談だ冗談だ。カーラはそんな顔すんじゃねぇ。正直不思議で仕方ねぇが同じもんだな、偽造でもねぇや」


 先程の種族の話以降の辛気臭い雰囲気を払うためのジョークだが滑ったようだ。ギルド職員はセイジから受け取った硬貨を自動販売機の硬貨投入口に似たものがついている箱に1つ2つと入れながら答えた。


「ほれ、少なくとも今入れた分は本物だ、今日はこいつ使って宿にでも止まって行きな」


 行くあては無いんだろう? と肩を叩く職員に対し肯定してセイジはカーラの方へ向いた。ありがたいことに宿屋の娘がいるのだ、セイジはカーラの宿屋に案内して貰えないか尋ねたのだった。

まだギルドのターンは終わっていない。

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