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ハードボイルド(笑)に生きよう  作者: 最小
ハードボイルド(笑)な銃使いと白い竜
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その36 安らかなひと時

前半部分からうまくつながらなかった、もういいやと場面を分けた。

 ミュランクラディオ……、セイジと『白竜』とトゥールニャータの3人が知る人物の名。


「ミュランクラディオが女神?」


「そう、この姿に覚えはないかな? ワタシの姿はミュランクラディオそっくりなんだよ?」


 わずかに首を傾げるセイジに、『白竜』は顔をギリギリまで近づけた。セイジの知るミュランクラディオは男性であったこと、見た目の年齢が大分離れていたことから『白竜』の姿とミュランクラディオが同一の姿であるとは、セイジには納得できなかった。


「そういえば、なんでねぇさまと同じ姿なのですか!」


 先ほどまでの話で思考が停止していたトゥールニャータが再起動した。


「元々の姿だと大きすぎて邪魔って言われちゃってねー、目の前にいたちっちゃいの参考にしようとしただけだよー。セイジはわかんないと思うからいうけど、この世界を作ったのってミュランクラディオなんだよね。しかも命狙われたからってさ、死んだふりして最近雲隠れしちゃったんだよね」


 うんざりとした表情をワザとらしく作りながら、『白竜』は愚痴を言い始めた。最近と言いながら300年よりも前にいなくなったというのだから、人ならざるものの時間の認識は違うようだ。傍観を決め込むセイジをよそに、トゥールニャータも『白竜』の話に混ざるかのようにミュランクラディオに対する文句を言い始めた。


「しかも、なんですか。わたしの作った世界にいて何やってたんですか! わたしがなんで世界作って、異界種作ってたのか! 死んだと思ったから頑張ったのに全部意味ないじゃないですか!」


「そうそう、どーせ頑張るトゥールニャータ可愛いとか思って覗いてたんじゃない? 世界の維持とか、無駄に祭り上げられる役とか押し付けて遊ぶんじゃなーいって!」


 素面でこれなのだから、もしこの人外どもが酒に酔うような存在ならどうなってただろうかと、セイジは他人事のように眺めていたのだった。残念ながらこの場に、まともな流れに戻そうと考える真面目な人物は存在しない。

 参加者2名の愚痴大会が終わるのを見計らって、セイジは声を掛けた。


「結局、ミュランクラディオについてはどうする? 『白竜』、女神トゥールニャータ」


「セイジの言ってた酒場の店主でいいんじゃない?」


「でも初老の男性はやめてください。わたしのねぇさまで通します。わたしも|リュエンドクライムの住人《NPC》ってことにしますからそのつもりで」


 だから他言無用ですよと、念を押すように詰め寄るトゥールニャータを安心させるように、セイジは強く頷いておいた。3人は酒場に戻りレン達にトゥールニャータとの関係を説明した。どうやら、酒場の方は大体の準備が終わっていたようで、すでに打ち上げが始まっていた。




「で、ニャータは元の世界に戻るのか」


「はい、『白竜』様にリュエンドクライムへ戻してもらえることになったんですよ」


「そっか、てっきり俺らと同じかと思ったんだけどなー」


 『白竜』の歓迎、ついでに『邪徒』討伐完了を名目としたバカ騒ぎの中、レンとトゥールニャータは話していた。トゥールニャータが何者なのかを『白竜』から聞いたのだ。彼女がリュエンドクライムへ帰るということになったのをレンは残念そうに聞いていた。その理由が見た目が好みだったというのだから、中身はやはり男のままなのだろう。

 修は黙ってレンとトゥールニャータと同じ席にいた。どうやら話に入りそびれたようだ。


「セイジさん、飲み過ぎです。これ以上はダメです」


「おー幼妻に言われてんぞ、セイジ」


「違います! そんなんじゃありません」


 一方では、ここ数日分を取り戻さんとばかりに飲み続けるセイジをカーラが(いさ)め、周りに揶揄(からか)われ顔を真っ赤にしていた。元々、酒場に入り浸ろうとするセイジに対し文句を言いながら宿に連れ戻すことが頻繁にあったため、狩人たちの中ではカーラの扱いはもう決まってしまっているのだ。


「それにしても、本当にこの町は居心地が良いな」


 ぽつりと、セイジが独り言ちた。ほとんど無意識に出た言葉であった。


「だったら、ずっといたらいいと思いますよ」


「だなぁ、冒険者はランクが橙になると他所に行っちまうからなぁ」


 リーウィの町は白竜の加護が行き届いた東の森林地帯のおかげで、冒険者になりたての者が場数を踏むのには丁度良い地ではある。しかし、それが冒険者を居着かせない理由にもなっていた。


「居ても仕事がほぼないのだから、仕方がないだろう。私たちもほとんど狩人ギルドの仕事を手伝わさせてもらっているしな」


「そうだな、いっそのこと狩人ギルドにも所属すりゃいいんじゃねぇか、3人とも。掛け持ちってやつか」


「それも、いいかもしれないな…ずっとは、居られないだろうがな」


 いつか来る終わりのことを誰かに話すこともなく、ただセイジは再び酒を煽ったのだった。

こっから先がこの章で一番書きたかった部分になりそう。

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