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ハードボイルド(笑)に生きよう  作者: 最小
イロモノ銃剣使いと盾戦士
31/45

その30 チェインエネミー

最後の10行だけで数日悩んだ。レン大活躍にしたかった。

 レンを中心とした一団と『邪徒』との戦いが始まる。四足歩行の獣のような形をした『邪徒』だった。

 レンや狩人たちの持つ武器は使い慣れたものではなくセイジから借り受けた投擲武器とゲームで呼ばれていたものだ。リーチの違いはあれど、『物理キラー』の『邪徒』はゲーム内ではレベル20代――ランク換算だと『橙』だろうか――のため、非常に鈍重であった。以前戦った蜘蛛型の『邪徒』の方が素早く厄介だっただろう。

 投擲武器はセイジの話通り『邪徒』を傷つけることができた。余裕のあるうちにレンや狩人がいつも使っている武器で傷つけることが出来るか試したところ、『物理キラー』であるのは間違いないらしく弾かれてしまった。

 レンは真っ先に切り込んで獲物役を務めることになった。以前セイジが蜘蛛型の『邪徒』相手にしたことだ、この『邪徒』も一番最初に同族を壊した相手を追いかける性質があるようだ。

 戦い慣れをしていない修は、魔法士の護衛役という一番安全な位置を担当することになった。レンや狩人はこの世界で『邪徒』を相手にするのも大分慣れてきたらしく、修や魔法士まで敵が行くことがない。数が多い以外、この殲滅戦に問題ごとは感じられなかった。


「この調子だと、ボクは必要なかったんじゃないかなぁ」


 詠唱の合間に魔法士が修に話しかけた。レンが追従する『邪徒』を避ける助けをするため、範囲の控えめな魔法を優先して使っているので詠唱に時間はかからないためだ。


「投擲武器が効かなかった場合は、ミュラーさんが1人で壊滅させることになってましたよ」


「それはぞっとしないねぃ、楽出来てよかったなぁ」


 楽とは、『異界種』から冒険者ギルドへ伝えられた『闇の上陽:崩邪』を使わずに済んだことであろう。広範囲の『邪徒』だけを滅ぼすことのできるその呪文は、詠唱にかかる時間が非常に長く、また魔力の消費も激しかった。範囲を広げれば広げるほど詠唱にかかる時間が上がるため、あの敵の数を一層するとなればかなりの時間を要しただろう。

 修が剣を振るうこともなく『邪徒』はほぼ壊滅していた。


「これで……最後だっ」


 レンが最後の一体を倒し、『邪徒』は全て倒し終えた。しんと静寂が覆い、敵がいないことを確認できたからか勝利の雄たけびが辺りに響いた。

 ――しかしそれが悲鳴に変わるまでに1分もかからなかった。

 新たに『邪徒』と思われる化け物が2体、地から這い出てきたのだ。レンがさっと顔色を変え叫んだ。


「獲物になる条件は『最初に一撃を与える』だ、何もせずに下がれよ。俺が引き付ける」


「レンちゃん、どんなことを知ってるんだ?」


「髭モジャのオッサン、こいつは通称『双子』って言って『物理キラー』のチェインエネミーだ」


「チェインエネミー?」


 レンはセイジがいたら説明が楽なのにと舌打ちをした。『邪徒』についてなのだが、序盤エリアでは基本的に1種類しか出現しない。蜘蛛型なら蜘蛛型のみ、サイクロプス型ならサイクロプス型のようにだ。中盤以降のエリアでは、弱い『邪徒』が出現していた場合、同種の上位種が討伐直後に出現することがある。そういった連鎖的に出現する敵をゲーム内では『チェインエネミー』と称していた。

 レンは『双子』の片割れに攻撃を加え、襲い掛かる『双子』の攻撃をいなし始めた。『双子』は先ほどの獣型の『邪徒』の上位種であるため、やはり動きが遅いのだ。


「修、前話をしてた投げる盾を持ってるか?」


「はい、今装備してます」


「俺が合図したら投げろ。『双子』の特徴なんだけど同時に撃破しないと復活するんだ」


「えっでもセイジさんのですよ、使ったら壊れちゃいます」


 あわあわと擬音をつけたくなるような慌てぶりな修をレンは一喝した。


「しゃあねぇだろ! 俺や狩人のオッサンじゃ多分力不足なんだ、普通の投擲武器は初期装備よりも攻撃力低かったしな、手応えもそんな感じだった。それに銃のオッサンなら許してくれるさ、今使ってる斧だって3本目だしな! そんで魔法士の兄ぃちゃん、もう1体は頼んだ」


 レンは修と魔法士に『邪徒』の核の位置を教えた。


「君の合図で攻撃すればいいんだよね?」


「うん、できるか?」


「できるよ。準備が出来たら合図する」


 そう魔法士は答え、詠唱し始めた。修も攻撃を避けているレンに巻き込まれないよう気をつけながら『双子』の片割れに近づいていく。周囲に『邪徒』が現れたときのために、魔法士の近くで狩人たちが警戒している。

 魔法士が片手をあげ、詠唱を完成させた合図をレンに送った。レンは修の位置を確認して叫んだ。


「今だ!」


 修が投げた盾が光となり『双子』の片割れの核を貫く、それに合わせて魔法士の放った氷の槍がもう片方の核を壊した。

 今度こそ『邪徒』が現れないことを確認して、レンは勝利を宣言したのだった。

今週は仕事が忙しくてほとんど書けなかった。明日、明日さえ超えれば!

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