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ハードボイルド(笑)に生きよう  作者: 最小
イロモノ銃剣使いと盾戦士
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その29 『邪徒』討伐前の再会

セイジと修の顔合わせのはずが、『邪徒』討伐で盛り上がってんな。なぜだ。

 本人は自覚がないようだが、セイジはわざわざ下級ジョブを全部試した数少ないプレイヤーだ。新しいジョブを試すにはアバターを作成しないといけない。しかし、気軽に転職できないのにも関わらずセイジはやり遂げたのだ。

 なぜ、ジョブの話になるかという話だが、どのジョブでも使用できる武器が2種類存在していることが関係している。

 その1つは『短剣』、包丁よりもやや短く戦闘で使用するプレイヤーは少ない。

 そしてもう1つが『投擲武器』だ。魔法武器しか装備できない『魔法戦士』ですら装備できるそれが、セイジの最も得意な武器になってしまうのは自然の流れだったのかもしれない。

 セイジは逃げるための牽制目的で『物理キラー』の『邪徒』に攻撃したところ、問題なく倒せてしまうのがわかってしまったのだ。と、ゲームという単語を使わないよう気を付けながら話をした。


「この世界でも当てはまるかはわからないが、『邪徒』はそもそも異世界(リュエンドクライム)のモノだからな」


「なるほどな……ところでセイジ、アンタが持ってる魔法武器ってやつ貸すほうが早くないか?」


 ギルド職員の一言に辺りが静寂に包まれた。セイジはその手があったかと言わんばかりに手をポンっと叩いたのだった。


「魔法武器って物凄く重いやつだよな、銃のオッサン」


「魔法の適正……『魔法効率』と呼んでいるが、あれが低いほど重く感じるという話を聞いたことがある」


 セイジが聞いたことがある止まりなのは、セイジの『魔法効率』が基本的に高いからだろう。

 値崩れしたレア武器のほとんどが魔法武器だったため、セイジは初期装備武器以外を装備するときは大体魔法武器になってしまうのだ。『魔法効率』が高いほど魔法武器の威力も上がるため、態々『魔法効率』を低くする必要を感じなかったのだとセイジはレンに話した。ゲームの仕様に対する話題なためか、周囲にいたギルド職員や狩人たちはよく理解できなかったようだ。


「レン君、まだ終わりそうもないかいって、セイジ! もう起きてたのか」


「アイキーか、どうしたんだ?」


 アイキーと呼ばれた無精ひげの狩人は、レンと一緒に狩りに行った全員でギルドに行くのは憚られたのだとセイジに答えた。そんな無精ひげの狩人の後ろからひょっこりと修が顔を出して様子を見る。レンたちが中々戻って来ないから気になったのだろう。修は中をきょろきょろと見て、セイジと目があった途端、驚いたように声を上げた。


テンモク(・・・・)さん……ですよね!」


「ああ、1キャラ目の名はセイジという。確か……修、だったな」


「はい!」


 レンは目をまん丸にする。修から話に聞いていたテンモクとセイジが同一人物だとは思えなかったからだ。そんなレンに気付いていないのかセイジと修は会話を続ける。


「それにしても、髪と目の色は変えたのか? 確か茶髪で碧色の瞳だったろう」


「はい、よく覚えていましたね。僕もこっちに来てから変わっていて驚いたんです」


「なあ、銃のオッサン」


「レン、どうした?」


「オッサンがあのガンブレイダーなのか?」


 このガンブレイダーとは、『魔銃刃:銀豹』を装備できる人物のことだ。『魔銃刃:銀豹』の通称がガンブレド(笑)であり、その使い手もガンブレイダー(笑)と呼ばれていた。そして、Mジョブ:ガンナー、Sジョブ:魔法戦士の組み合わせでレベル25になるまで頑張ったのだから笑うのはどうだろうかと、最終的に(笑)がとれたガンブレイダーで落ち着いたのだそうだ。


「そうなるな」


「今度、『魔銃刃:銀豹』見せてくれよな。そんで話戻すけど銃のオッサンは病み上がりだから不参加がいいと思うんだけど、やっぱ魔法士の1人や2人くらいいないと辛いと思うんだよな」


 レンは目先の脅威のことを思い出したようでセイジとテンモクの話は置くことにしたらしい。

 ギルド職員の方に向き直り話始める。『邪徒』討伐の方針の話となり、内容がよくわかっていないのか修は首を傾げている。ゲームを始めたばかりの初心者なのだから、知らないのも無理はない。それに気づいたセイジが手招きし、修に『物理キラー』がどういうものなのか最初から説明を始めた。

 レンたちとギルド職員の話もトントン拍子に進み、方針が固まったようであった。


「近場に魔法士がいないか冒険者ギルドの方で掛け合うから、くれぐれも先走んなよ。特にレン、アンタはオレらよりも『邪徒』のことを知っているからな、先走るバカどもの防波堤になってくれよ」


「ああ、まかせとけ!」


 レンの元気な返事で場を締めたのだった。





 『物理キラー』の『邪徒』討伐は3日後となった。丁度隣の町に魔法士が見つかり、依頼することが出来たのだ。セイジは念を取り不参加となり、その代わり大量の投擲武器や魔法武器がセイジから手渡されることになった。しかし、結局重すぎて魔法武器の方は使わない方針となった。魔法に対する適正を持つ狩人がいなかったのだ。レンや修も『魔法効率』が低くなるように育成していたので、うまく扱えそうにはなかった。

 前衛がレンと修で2名、中衛の狩人たちが18名、そして魔法士が1名で『邪徒』討伐を行う。今回のリーダーは『邪徒』の知識を持っているレンになった。レンは鼓舞するかごとく声を張り上げた。


「下級『邪徒』に遅れは取んなよ、作戦通り魔法士の兄ぃちゃんの護衛をしっかりだ。行くぞぉ!」


 応と威勢の良い返事と共に戦いは始まった。

次はセイジ不在の『邪徒』討伐。レンと修の活躍書きたいけど『物理キラー』なんだよなぁ。

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