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ハードボイルド(笑)に生きよう  作者: 最小
イロモノ銃剣使いと盾戦士
23/45

その22 3人目の『異界種』

難産! セイジはマイペースだし、だらしないエピソードが自分を参考にできて書きやすいんだけどな。

レンはいつも誰かと行動するタイプなので、ぼっちの私には非常に書きにくい。

 セイジが倒れてから2日経過していた。セイジはまだ目を覚ましていないらしく、レンは診療所から出た。カーラは宿の手伝いがあるので、今はレン1人だ。

 レンはいつも通り『銀乙女の酒場』に行こうとした。別に酒目当てではない、セイジとは違うのだ。セイジや顔見知りの狩人たちはここに屯しているため、待ち合わせ場所のようなものとなっていた。


(どうしよう、行き辛いかも)


 レンは足を止めた。ゲームの時は、同じ学校の友人とパーティを組んでいた。この世界でレンが知り合ったのはセイジや、セイジ経由で知り合った狩人たち。カーラ以外の周りは大人なのだ。

 セイジがいない今、狩人たちと会ってもどうすればよいのだろうかと思ったのだ。


「あれ、レン君じゃん」


 レンが振り向くと、セイジと特に仲が良い狩人がいた。診療所の隣には狩人ギルド用の独身寮がある。違う町から来た流れ者や農業区から来た者が狩人ギルドの人員の大半が占めており、自宅を持たない者が多かったため用意することになったそうだ。

 レンは狩人を見る。レンは男性の名前を覚える気はあまりないので大体『オッサン』で通している。彼の特徴は無精髭で、酔っぱらって顎髭と無精髭のどちらが男として魅力があるか、とかいうどうでもいい言い合いをセイジとしてた印象があった。


「セイジいなくて暇だろ、とりあえず『銀乙女の酒場』行こう」


「あ、うん」


 どうやらやや遠慮のあるレンとは違い、狩人にとってレンはすでに『いつもの面子』に入っているようだ。レンは少しほっとした表情で狩人と一緒に酒場へ向かった。





「おお、丁度良かった。こいつがレン。アンタの同郷ってやつだ」


 『銀乙女の酒場』で出迎えたのは、冒険者ギルドにいることの方が少ないギルド職員と一人の少年だった。黒髪黒目で、顔だちは整ってはいるがレンやセイジの生まれ育った国ではよくある童顔気味であった。レンよりも年下だと思われる。

 少年はまるで子犬のようにレンに駆け寄った。


「初めまして、(しゅう)って言います」


「レンだ、よろしく。こう見えても本当は男だから口説いたりすんなよ」


 ペコペコと頭を下げる修と名乗った少年に笑ってレンは答えた。レンが男であることを早々に伝えるようになったのは、初対面でレンを口説く狩人や冒険者が非常に多かったせいである。修はすぐに事情が呑み込めたのか、わかりましたとだけ答えた。


「『異界種』同士でなんか色々話たいこととかあるだろうし、レン君……とそっちの子も後で!」


 ひらひらと手を振り酒飲み仲間の元へ行った狩人にレンは苦笑し肩をすくめ、修を空いた席に誘導した。

 2人がまず話したことは、いつ来たのかだった。『いつ』と言っても『いつ』生まれ育った世界から来たのかと、『いつ』この世界でに来たのかの両方だ。レンとセイジの会話の中で、この2つの『いつ』に差があることがわかったのだ。レンの方がセイジよりも、早く生まれ育った世界を後にした。しかし、この世界に来たタイミングはセイジの方が早かった。何か法則性があるのか気になったのだ。


ゲーム(あっち)でやってた突発のイベントあったろ。もう1人の『異界種』のオッサンはイベントの2日後にこの世界に来たって話だったんだけど、俺はその日健康診断で出られなくてさ。まあ、その日にこっちの世界来ちゃったんだけど」


「僕も健康診断中に気付いたらこの世界にいました。イベント名は『一周年カウントダウン記念。ミュルグナー討伐』であってますか?」


 ミュルグナーとは『邪徒』の一種でレア敵というやつだ。レアであるためか、公式が名前公開している数少ない敵である。『ブルーサイクロプス』と同じくらいの大きさで、2足歩行の猿のような姿をしている。


「そう、それ! それの中級エリアの『金ミュルグナー』がレア防具ドロップすんだよ、参加したのか?」


「はい、初級の『青ミュルグナー』を倒しに行きました。その3日後の健康診断に行ったのは覚えているんですけど……」


「オッサンも健康診断の時って言ってたから、日にちに関係なく健康診断に行った時ってのは確定かなぁ」


「そうですね。この世界に来たのは2週間前で……僕よく人見知りしちゃうので、ほとんど外に出なかったです」


「そっか、今のところオッサンが一番早くこの世界に来てる感じだなぁ。健康診断とのタイミングは関係ないかもな」


 レンはそこまで言って、水を飲んだ。それを見て修も潰した芋を小さく丸めて揚げたつまみに手を伸ばした。小難しい話はセイジに任せた方がいいのではないかと考えたレンは、修にゲームでの話を振ることにした。2人の共通点なので話題にしやすいからだ。


「実は……始めてからまだ1週間くらいであまり知らないんです」


 この世界にいた時間の方がゲームのプレイ時間よりも長かったようだ。だから修という名前なのかとレンは気付いた。直近のアップデートで、平仮名・片仮名・アルファベット以外の文字を名前として入れられるようになったのだ。

 修がイベントに参加したのはゲーム開始してから5日目だ。新人と呼べる修に対してレンは少し興味が出てきた。あの日から初心に帰って修行しようと思っていたのだ。その初心というのを思い出すいい機会になりそうだ。レンが修にその1週間どうプレイしたのか聞かせてほしいとせがんだのだった。

あと1~2話くらい『セイジ』不在で進む予定。

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