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ハードボイルド(笑)に生きよう  作者: 最小
歌う女剣士と同郷の女斧戦士
16/45

その15 レンと獣の討伐

レンとセイジの会話メイン。書きたかった部分の1つ。

 宿屋の仕事に戻ったカーラを見届け、セイジはレンへ話を始めることにした。酒を飲まないのはカーラに睨まれるからではなく、昼に狩人ギルドの面々と狩りに行く約束をしているからだ。セイジは、仕事をするときは酒を飲まないと決めているのだ。


「まず、ここはあの世界(リュエンドクライム)と違うということを知った方がいい。この世界には『邪徒』も『怪物』もいないんだ」


「え? でも討伐って」


「基本的な討伐対象は、この世界の原生生物……動物と言ったらわかるか?」


 セイジの言葉にレンが首を傾げるのは当然のことだろう、ゲームに例えるならば倒すべき『敵』が全くいない状態である。セイジは『邪徒』が現れたのは『異界種(プレイヤー)』と同時期でこの世界に存在していないことを伝えた。

 そして、セイジは狩人ギルドについての説明を始めた。例として肉食動物が減った場合どうなるのかを放し始めた。外敵となる肉食動物の消えた草食・雑食の動物が増える。増えたらその分食べるものが必要となってくる。食べ物が減れば食べ物のある場所へ移る。その結果、ヒトが育てている農作物に影響が出る。そういった話をセイジはレンにした。


「それで変に狩りすぎたりしないように、地元の狩人さん以外……つまり冒険者は町近くの生き物を狩っちゃいけないってなる、てことか?」


「そうだ。冒険者が毛皮など肉など狩りで生計を立てたいならば、近隣に影響の出ない地域に限定されることになる」


 なんか面倒くさいなぁとレンはうんざりとした表情をしたのだった。その後も、ここ2か月くらいで知ったこの世界に関する知識をレンが飽きてしまわない程度に教える。


「なぁなぁオッサン。ギルド証がすごく簡略的な感じになってるんだけどさ……、『アクティブスキル』とか使えなくなってたりする?」


 そう言い、レンはセイジにこの世界のギルド証の表記と、ゲームでのステータスについて紙にこの世界(・・・・)の文字で書いた。


――――――――

レン

種族:異界種

ランク:青

――――――――

直近討伐履歴:

なし

――――――――


 セイジも自分のステータスをレンに見せようと途中まで書いていたのだが、ふとレンのものを見たときに妙な情報が書かれていることに気付いた。


――――――――

レン

種族:異界種

Mジョブ:上斧戦士(*)

Sジョブ:重剣士

レベル:136

体力  :★★★★★

魔力  :★☆☆☆☆

腕力  :★★★★★

器用さ :★★★☆☆

素早さ :★★☆☆☆

守備  :★★★★☆

魔力効率:★☆☆☆☆

――――――――

スキル:

『アクティブ:天地割り』(必殺技、発動時自動で体が動く)

『アクティブ:威嚇』(敵に対してヘイト上昇、狙われやすくなる)

『パッシブ:ノックバック軽減』

『パッシブ:ノックバック上昇』

――――――――

称号:

『鉄砲玉』『緋炎の女傑』

――――――――


「レン、このスキルと称号というものは? スキルはジョブ決定時に見た覚えはあるが……」


 ちなみに、セイジが知っているスキルというのは『Mジョブ:魔法士』を選んだ時に自動取得される『パッシブ:自動詠唱』のことだ。


「……ハァ? オッサン、SPを振る画面だよ」


「キャラクター作成時に振り分けをしたアレか、確か……どのステータスを上昇させるかとあったな」


「いや、そっちじゃねぇよ」


 レンはセイジにゲームでのギルド証について教えた。ギルド証は表示を横にスライドさせることで、討伐履歴の画面だけではなく、SPというポイントを使用してステータスやスキルを割り振る画面、今まで得た称号を見る画面に遷移させることが出来るのだ。

 そこで、レンはセイジにスキルについて詳しく教えることになった。

 アクティブとパッシブという2つの表記がされているが、アクティブは文字通り能動的に――技名を言うことで――で発動するもので必殺技と呼ばれる分類のものはとても威力が高い攻撃であるかわりに1つだけ所持出来るそうだ。パッシブは常時発動するもののようだ。


「……オッサン。プレイ歴半年……なんだよな。俺より2か月も前からやってんだよな。なんで知らないんだよ」


「困ったことがなかったからな」


 セイジが弱い理由の1つが明らかになった瞬間であった。




 あの後、セイジは元から決まっていた狩人ギルドの者たち――いつもセイジと酒を飲んでいる面々だ―と狩りに出ていた。近隣での狩りがどういうものなのかレンへの説明にもなるだろうと彼女や一緒に町へ来た冒険者2人もついてきている。

 狩りの基本というものは獲物に気付かれ逃げられないように先手を取ることだ。弓やセイジの投げナイフなど遠距離からの奇襲ができるならそうすべきだ。

 レンや冒険者の体格の良い方は前衛であったため後ろでただ様子を見ることになった。ただ、ココナ狼は縄張りに入ったヒトに襲い掛かるため2人にも出番があった……のだが。


「っ……」


 レンは何も出来ずにいた。最初に相手をしたのが『邪徒』であったから、倒したら光の粒子となり消えるモノであったから気付かなかったのだ。ここが現実ではなくゲームと同じものだと思っていたのだ。

 レンやセイジは生き物を……特に動物を殺す機会のない所に生まれた。レンは虫や魚なら殺したことがある。だが、ヒトと同じように血を流す生き物を殺したことがない。

 あのゲームは15歳以上からプレイ可能だったため残虐描写はされず、倒せば光の粒子となって消えるだけだった。レンは狩りが遊びではないことに同行するまで気付かなかったのだ。

 セイジも生き物を殺すことが平気だったわけではない。だが、レンとは状況が違った。何も気づかずに殺してしまった状況が、そしてカーラを守らねばならない状況がセイジに覚悟を決めさせた。

 レンよりも年を取っていたから折り合いがつけられたのかもしれない。


 自覚なく震えるレンが戦わないことに、文句を言う者は誰もいなかった。レン1人くらい守れる者たちがここにいるのだから。

そのジャンルのゲームの常識だからと説明が不十分なことってあるよね。


生き物関連は私としてはレンの反応が普通じゃないかなぁと思ってる。

体感ゲームでグロゲームは触感も臭いも規制入ってそうだと思うし。


セイジは最初にやらかさなかったら、躊躇してたと思ってる。

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