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ハードボイルド(笑)に生きよう  作者: 最小
歌う女剣士と同郷の女斧戦士
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その14 『ランク:青』の斧戦士

相変わらずセイジがまず話す相手はオッサン。

 翌朝いつもの日課が終わった後、セイジと冒険者の男2人は酒場に来ていた。レンと呼ばれた『異界種』の女性はまだ寝ているそうだ。冒険者の彼らがレンと出会ったのは一昨日らしいが、昨日もなかなか起きなかったらしく朝に弱いようだ。

 セイジが冒険者を伴って酒場に入って来たのを先客たちは特に反応しなかった。セイジがこの町に来てからよくある光景だったからだ。

 最初は町の狩人に対して、最近は商隊の護衛として来る冒険者に対して『1杯おごるかわりに自慢話を聞かせてほしい』とセイジが頼むのだ。どんなにくだらない話でも新鮮なのかセイジが楽しそうに聞くため話す側も悪い気はしないようだ。

 冒険者というのは時に商売敵、時に協力しあう同士となる同業者に対してのつながりというものがある。

 そのため、『リーウィの町に行くなら、セイジという『ランク:赤(ルーキー)』に自慢話しに行くといい。酒をおごって貰えるぞ』と伝わっていると、冒険者の1人に笑い話にされるほどだ。


「……豊穣祭というものがあるのか」


「そうそう、晩夏から秋の半ばにかけて南から王都や白竜神殿に色々なものが運ばれるんですよ。商人たちも稼ぎ時ですからね、酒や薬など長く持つものから珍味や工芸品など……ほとんどこの時期に運び込んでいますね」


「そういうチャンスを逃さないのが出来る冒険者ってもんだ。この時期だけは辺境の討伐依頼よりも稼げるからな。おめぇさんも稼ぎたいならこの時期のためにお得意さん作っとくんだな」


「私はリーウィでこのままのんびりしていたいがな」


「自称『万年赤』だもんなぁ!」


 隣の席にいる狩人がセイジをそう呼び笑い飛ばす。それに対してセイジはうんうんと頷いているので、本当に自称しているらしい。この赤とは、セイジの『ランク:赤』のことだ。

 このランクというもの、ギルドマスターのいる町でしか次のランクになるための試験を受けることは出来ない。試験を受けるには貢献度というものを上げる必要がある。貢献度を上げるには依頼の完遂と討伐対象を倒すことによってギルド証に登録される討伐履歴――異世界(リュエンドクライム)からやってきた『邪徒』は情報がないため対象外だ――を一定数稼ぐ必要がある。セイジは現時点で『ランク:橙』の試験を受けることが可能になるくらいは貢献度を稼いでいるのだが、他所のギルドに行くのは面倒だと手続きを踏まないでいるのだ。

 ちなみに、1キャラ目(セイジ)だけではなく、ランクがセイジよりも高い2キャラ目(カオリン)3キャラ目(セイジ2)で倒した獣も討伐履歴に登録されていたので、純粋なセイジの実力はまだ『ランク:赤』と言ってよいだろう。


「ところで、彼女との出会いはどうだったんだ?」


 セイジは、自分がこの世界に来たときの話を軽くしてからレンとの出会いを冒険者たちに尋ねた。細身のほうがそれに対して答えた。


「ぼくらがレンに出会ったのは、最近よく出現するという奇妙な化け物にぼくらが襲われてたときです」


 男はそう切り出した。『邪徒』に苦戦していたところレンが大斧の一薙ぎで倒したのだという。レンは冒険者2人にここはどこなのか聞いてきた。

 気付いたら街道の真ん中に立っている状態だったというレンに対し警戒を抱かなかったわけではないが、顔に感情が出やすい表裏のない人物であることに気付き、本当に困っていることがわかったので一緒にこの町に行くことにしたのだそうだ。


「リーウィの町について、ギルドに行ったら種族が『異界種』でまずビックリ、そして『ランク:青』でさらにビックリですよ!」


「どうりで腕が立つわけだって思ったさ!」


 ランクは低いものから赤・橙・黄・緑・青・藍・紫と続くので、中の上から上の下の実力といったところだろうか。セイジの3つのキャラとランクの関係から1~20までが赤、21~40までが橙、40~60が黄と続いている可能性があるため、単純に考えればレンのレベルはおおよそ100~120の間だろうか。セイジが遊んでいた時点でのゲームの最大レベルが200のため、おそらく中堅冒険者だろう。


「普段2人はどういったことをしているのか? やはり辺境の討伐だろうか」


「そもそも町近くの討伐がダメってなんでなんだ?」


「あ、レン。起きたんですね」


「もう昼近いぜ」


 レンとカーラが酒場に来た。カーラの仏頂面を見るに、朝の仕事を邪魔されて案内を頼まれたのだろう。あるいは、また(・・)酒場に来ているセイジに小言でも言いに来たのかもしれない。

 セイジが朝や昼などに酒場に行くときは、カーラが文句を言いに来るのだ。だからか最近、よく『セイジの幼な妻』と周りにいる狩人たちに揶揄われるため、その度に傍目から見てもわかるくらいカーラの機嫌が下降するのだった。


「レン……だったな、丁度いい。あの世界(リュエンドクライム)とこの世界との違いを私が知る限り話しておきたいと思っていた」


「おう、教えてくれ!」


 レンは席に座り、元気よく答えたのだった。


次回はレンの話、レンのステータスとかそのへんやりたいね。

レンのイメージは『熱血系主人公』だから早く活躍させたいもんだ!

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