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ログイン

ねぇ、ゲームしないの?

ゲームするのには手間がかかるのだよ…

さっそく家に帰ってログインの準備をする。

買ってきた『GHD』の中身は厚さ10センチの縦横40センチほどの銀色の箱型本体とヘッドギア。さらに付属のコード類である。コードは箱からヘッドギアにつなげるのが8本でそれを対応する場所つないでいき、ヘッドギアの大きさ調整したりと少し面倒である。

とはいえこの『GHD』なんとネット環境整備が不要で本体に電源を繋ぐだけというお手軽さも一つの魅力になっている。なんでも『第四振動』という特殊な方法でネットワークに繋がっているらしく、そのおかげで人の意識なんて凄まじい情報量を、オンラインゲームという形で無数に集まってなを余裕をもって処理しきるらしい。従来の人が集まれば急に動作性が悪くなるネトゲとはこれだけで一線を画する。

さて、トイレよし、栄養補給よし、ベッドよし、ヘッドギアよし、いざログイン。

現時刻は11時、ログインボタンを押すと急に耐え難い眠気に襲われて、ものの1分と持たずに木原鹿々はログインするのであった。


そこはネット小説でよく見かけるような、異世界転移で神と対面するような奇妙なまでに真っ白な空間であり、目の前には18歳ぐらいの黒髪でいかにも平均を取ったと言わんばかりの女性がいた。


「ようこそ、『栄光・英雄・夢』のオンライゲームに略称『GHD』にログインしていただき、真にありがとうございます。私は初回ログイン時のみの説明案内を務めさせて頂く『システムC』と申します。気軽にCとお呼び下さい」


おおうう、これがオープンβでもいたという初回ログイン時の案内人Cさんか。なんでCなの?Aは?Bは?という質問は一切答えてくれないが、案内が丁寧と評判なシステムCさんである。また運営最後の良心とまで言われているシステムCさん。


「まず初めに貴方のお名前は、ゲームショップ〇〇店でご予約いただき、購入されました木原鹿々様でよろしいでしょうか?こちらを認められますと店頭購入特典といたしまして初期所持金が増額されますが、同時に実名にて『GHD』をシステム内で登録されます。ゲームプレイ時にお好きに名乗られるのはご自由ですが、ステータス表記や運営からの通達メールには実名が出てしまいます。如何いたしましょうか?」


おい、なんだよこのゲームのリアルに対するこだわり。ありとあらゆるリアル要素をゲーム持ち込もうとする姿勢はいっそ清々しいわ。序盤はとにかく金が必要というβテスター円城さんの助言を無駄にするわけにもいかないし。


「はい、木原鹿々で間違いないです」

「畏まりました。初期所持金が1万エルに店頭購入特典の5万エルを追加させていただきます。では次に移らさせていただきます、現状開示もしくはステータスオープンと唱えて頂いてよろしいでしょうか?」

「げ、現状開示」


そう唱えると目の前に透明なウィンドウが浮かび上がり、そこには自分の能力値、所持金などの様々な項目が並んでいた。


「其方が木原様の初期ステータスになります、ご確認をお願いします」



名前…木原鹿々(きはらしかじか) レベル…0

種族…人間  職業…なし  状態…異常なし

所持金…グラノア王国通貨6万エル

   能力値

HP…20(4)

MP…30(6)

筋力値…3

耐久値…3

持久力…9

敏捷値…9

器用値…7

感覚値…6

魔力値…4

知力値…4

集中値…1.07

スキル(0/10)

装備

初期の服

その他…無し



「ご確認いただけましたでしょうか?この初期ステータスは現実準拠に決定されていますのでご不満がありましても、『GHD』運営からは一切の特例がみとめられておりません。ご了承下さいませ」


うん、知ってた。このゲームのリアルっぷりは良く知ってますよーだ。

そしてステータスだが上から見ていこう。HPとMPだがこれはステータス1ポイント分の5倍が数値になるようだ。HPは大体予想通りだがMPが案外高くて驚きだな、ネットで見た変な儀式はしていないが、していたら7位いっていたのだろうか?

次は筋力と耐久だが、うん、これは知ってた肉ねーしな。

そして敏捷と持久力の9、ランニングを頑張ったかいがあったってもんだな。

器用と感覚だが、まさか指のわさわさが影響したのか7と6と良い数字を出している。

魔力と知力はお察しだ、現実で魔力を鍛えるなんて無理だし知力もこれが高かったら今頃安月給でこき使われてねーよ。というかMPと魔力って現実のどの性能からはじき出されてんだろうな。さっぱりわからん。

そして最後の集中値、これは極限状態での頭の回転率みたいなものの数値だそうだ。つまり俺の場合は極限状態では1.07倍のスピードで頭が回るらしい。これは1ポイント0.01になる。


「では続きまして、初回の現状開示もしくはステータスオープン特別ボーナスでレベルが0から1に上がりました。これにより職業の取得とレベルアップの3ポイント割り振りが行えます。なおこのチュートリアル中のみ、職業選択とポイントの割り振りは何回でもやり直しが効きますし、職業選択をした後で今回の職業別のレベルアップボーナスが入ります。またこの後に行うスキル選択もこのチュートリアル中のみやり直しが効きますし、スキル選択までいった後でも職業選択をやり直したりポイントの割り振りをやり直したりとこのチュートリアル中のみ出来る事柄ですが、時間をかけて選択してくださいませ」


これは、リアル厨の運営がデレた…ように思えるほど色々と厳しかった『GHD』が甘い。まぁホントにこの初回チュートリアルのみなんだよな。ネットでも書いてあったし、この甘々な初回チュートリアルを行うシステムCさんが運営最後の良心だって。

では、お言葉に甘えてじっくりと決めるとしましょうか。

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