第一話 ~激動~
皆さん、初めまして。小説家になろう、初投稿者です。
皆さんに読んでいただければ、幸いです。
あらすじにある展開は三話以降を予定しております。
いわゆる複線張りです。御了承お願い申しあげます。
何の変哲もない普通の世界。
いきなり異世界に召喚されたり、空から美少女が降ってきたり・・・・なんてことは無い。
一度は、そういうことがあればと考えたことがある人は多かれ少なかれいると思う。
けれど、普通の世界で普通に生きているというのはそれだけで十分幸せだと思っている。
「一希~」
すると、パタパタ走ってくる幼馴染が自分の名を呼ぶ声がする。
「響、おはよう」
真正面に来た彼女に挨拶を交わす。
「おはよう、今日から二年生だね」
「そうだな、早いものだよ」
俺たちは陽気な空の下、二人歩き出す。
すると、響から声がかかる。
「一希は将来のこととか考えてる?」
「いや、全然。漠然としてる」
俺たちはもう高校二年生。そろそろ進学するか就職するかなどを考えなければならない時期だ。
「そっか。一応言っておくけど、私は大学に進学するつもり」
「俺も、何処に行くかは決めてないが進学するつもりだ」
「それならさ、一緒の大学行こうよ」
「そうだな、そっちの方が一緒にいる時間が増えるし」
「・・・・えっ?」
「えっ?」
少し間が空き、響から素っ頓狂な声が聞こえる。
俺はそれにオウム返しする。
「一希、それ・・・・どういう意味?」
「いや、そのまんまの意味だけど?」
と言うと、響がテンパりだす。
響は思っている事がすぐに顔や動作に出てしまう。
気持ちに純粋でいられる人というのは中々いない。
だから、羨ましかったりする。
「響、立ち止まってないで行こう。遅れる」
「えっ? あっ! うん」
響は学校に着くまで何やら頭を悩ませていた。
幼馴染とはいえ、女の子の考えてることはよく分からない。
けど、こんな何気ない会話が出来るっていうのが幸せな一時だと感じる。
今日は主に始業式。その後はホームルーム、といった日程だ。
俺たちは教室の場所を確認する。
「一希、また一緒のクラスだね」
「そうだな」
俺たちは新しい教室へ向かった。
扉の前に立ち、開ける。
俺に気付いたらしく、友人が挨拶する。
俺は響とアイコンタクトし、響は自分の新しい席を探しに行った。
「一希か、おはよう。久しぶりだな」
「ああ、おはよう。直樹」
「また一緒のクラスだな」
「そのセリフを聞くのは本日二度目だ」
「椎名さんだろ? 羨ましいぜ、まったく」
椎名さんとは響のことである。響を呼び捨てにする男子は俺以外いない。
俺自身は響を名前で呼んでいるので慣れなかったりする。
「何がだよ」
「色々だ」
「色々ってなんだよ」
「あ~、もういいわ。お前には到底理解できんよ」
「そうですか」
バカバカしい会話であっても普段と変わりない日常。
普通でも俺は今のこの日常が好きだ。
するとチャイムが鳴り、先生が入ってくる。
「よ~し、早く席に着け~」
俺は事前に席を確認していなかったので若干迷ったが、すぐ席に着けた。
「出席を取るぞ」
次々に名前を呼ばれ呼ばれた者は返事をしていく。
「遠山」
自分の名前が呼ばれたので、はい、と返事をする。
全員の名前を言い終わると、
「これから体育館に向かうから、出席番号順に廊下に並べ」
言われた通り廊下に全員並び、体育館へ向かう。
体育館に着き、前から着席していく。
三年・二年の全クラスが着席し終えると、司会進行の教員がマイクを持ち、テンプレの挨拶。
そして、校長の長い前話から始まり、気づけば眠っていた。
起きた時には式がほぼ終わっていた。
教室に戻るよう言われ、体育館から出る。
俺は新鮮な空気を吸いながら欠伸をした。
「よく寝た」
「やっぱり、一希寝てたんだ」
後ろから響の声がかかる。
「ああ、どうせどうでもいい話を言ってるだけだからな」
「確かに・・・・そんなに大したことは言ってなかったけどね」
俺と響はそんな会話をしながら教室に向かった。
ホームルームは今後の日程や進学や就職などの話だった。
俺も将来のことを真剣に考えなければならないと思った。
漠然として大学に行くのではなく、何か目標や夢を持って。
この後は身体測定で、保健室に向かう。終わり次第解散らしい。
「なあ、一希」
前にいる直樹が振り返り、俺に声をかける。
「なんだ?」
「夏休み、椎名さんとの予定入れてるか?」
「なんでだよ?」
「全く、駄目な奴だな」
「いっている意味がさっぱり分からんのだが」
「分からなくてもいい。兎に角、椎名さんを海に誘え」
「は?」
「海行くのに誘え、って言ってるんだ」
「それぐらいは分かる」
「来年は嫌でも忙しくなる。だから、今の内に行っとけ。それに、あんまりぐずぐずしてると他の奴に取られるぜ?」
「分かった、分かった。誘ってみるよ」
身体測定が終わり、帰ろうとすると校門の前に響がいた。
「一緒にかえろ」
「ああ、帰ろうか。・・・・ありがとな」
「えっ?」
「待っててくれたんだろ?」
響はクスクスと笑って
「別に良いよ」
と言ってくれた。
帰る道中、
「響、あのさ」
「なに?」
「あ~・・・・やっぱり何でもない」
「な~に? 気にせず言ってよ」
「そうだな。夏休み、開けといてくれ」
「夏休み?」
「ああ、その時になったら言うよ」
「うん、それじゃあ楽しみにしてる」
「その前にテストがあるけどな」
「そうだね。将来の為にも気合い入れないと!」
「だな」
そんな会話をしながら二人あるいた。
それは、普通の日常でしかない。けれど、確かな幸せだ。
俺は、響の家の前まで響と一緒に歩いた。
「別に良かったのに」
「いや、ほら、最近不審者とか多いだろ?」
「・・・・カズ君、ありがとう」
そう言うと、響は家の中に入っていった。
俺は気づけば、心臓の鼓動が早くなっていた。
ニックネームで呼ばれるのは慣れているが、笑顔で感謝されるのは幾らされても慣れない。
「やっぱり、感謝されるのは嬉しいものだな」
心臓の鼓動が響き渡るのを感じながら、家に帰った。
「ただいま~」
「カズ君、お帰りなさい」
「ただいま、菜々子さん」
「カズ君、“お母さん”」
「ただいま、母さん」
「はい、お帰りなさい。ご飯出来てるから、手洗いうがい、してきなさい」
母さんは優しい声音でそういった。真剣な時以外は母さんは何時もそうだ。
「はい」
俺は鞄を玄関に置き、ジャージに着替えた後に手洗い場へ向かった。
俺は、俺が小さい時に実の両親が離婚。祖父母には苦労をかけたくなかったらしく、母が姉に俺のことを頼んだそうだ。
俺はそのことに対して不幸だと思ったことはない。
母さんも父さんも優しくて良い人だし、寧ろ幸せだと思っている。
俺をここまで育ててくれた母さんと父さんには頭が上がらない。
だから、感謝の意を込めて将来恩返ししたいと思っている。
「お昼ご飯は、チャーハン。私もまだ食べてないから、一緒に食べましょう」
「はい、ありがとうございます」
「カズ君、敬語」
「・・・・ありがとう、母さん」
菜々子さんは本当の親子の様に振る舞いたいと、一番最初に言ったのをまだ覚えている。
それでも、本当に感謝してるので未だ敬語が抜けない。
「さあ、食べよ。いただきます」
「いただきます」
「どう? おいしい?」
「すごい、おいしい」
「良かった。晩御飯は何がいい?」
「ボルシチが食べたいです」
「分かったわ、ボルシチね」
昼御飯を食べ終わり、
「ごちそうさまでした」
食べ終わった皿をシンクに持って行く。
「カズ君、洗い物はまとめてするから、そのままにしておいて」
「ありがとう、母さん」
そう言った後、鞄を玄関に置きっぱなしだったことを思い出し、鞄を持って二階に上がる。
自室として使っている部屋の扉を開けた。
「その部屋は余っていて使わないから、気がいなく使ってくれていい」
と父さんから言われている。だからといって、本当に気がいなく使っている訳ではない。
なるべく余計なものは置かないようにしているし、掃除もこまめにしている。
しかし、それはごく当たり前なことだが、せめてもの気持ちだ。
俺は制服をクローゼットの中にあるハンガーを手に取り、制服をかけた。
何をしようかと考えていると外から声が聞こえた。
「カズく~ん!」
俺は一階に降りて玄関の扉を開けた。
「響、何か用があるんだったら電話で呼べって言ってるだろ?」
「湧き上がる衝動を抑えきれなかった」
「要約すると?」
「文房具買いに行かない?」
「分かった。着替えてくるから上がって待っててくれ」
俺は、着替える為に部屋に戻った。
「響ちゃん、いらっしゃい」
「こんにちは、菜々子さん」
私とカズ君が幼なじみなのは何も家が近いだけじゃない。
お互いの親同士の仲が良いからだ。
だから、互いに優しくして貰っている。
「今からデート?」
「ち、ち、違います!! そんなのじゃなくて、その」
菜々子さんはクスクスと笑いながら
「はいはい」
といった。
私がカズ君の家に上がるとかなりの頻度でこうやって菜々子さんにからかわれる。
私が毎度のことテンパるのでそれが可笑しいのだろう。
けれど、質問自体は真剣に訊いてきているので何とも言えない。
すると、間もなくカズ君が降りてきた。
「すまん、待ったか?」
「ううん、全然待ってないよ。行こっかカズ君」
「あ、ああ。・・・・夕方ぐらいには戻ります」
俺は響に腕を引っ張られながらそう言った。
俺が車道側を歩き、響が歩道側を歩く。
俺は横目で響を確認しながら同じ歩幅で歩く。いつもの癖だ。
「響、服装似合ってるな。かわいいよ」
と、唐突に、思ったことを言った。
「えっ!? ああ。ありが、とう」
恥ずかしかったのか少し俯いてしまった。
しばらくすると、ショッピングセンターに着いた。
ショッピングセンター内の文房具店に向かい、必要なものを手に取っていく。
買う物は決まっていたので、早くも目的が無くなってしまった。
「響、のんびり散歩にでも行かないか?」
「散歩? どうして?」
「知ってる奴に会いたくない、というのが一つ。もう一つは時間を気にせずまったりしたい」
「確かに、陽気な天気だし散歩もいいかな」
「じゃあ、一旦荷物置きに帰ってからまた来るか」
俺達は途中寄り道しながらゆっくりと家に帰った。
買った文房具を自分の部屋の机に置く。
菜々子さんにもう帰ってきたの? と訪ねられたが荷物を置きに来たでけです、といった。
続いて、響の家に行き、玄関前で待っていると一分も経たず戻ってきた。
「さ、行こっか」
「ああ、行こう」
「まずはどこに行く?」
「そうだな、どうせなら普段行かない場所とかに行きたいよな」
「それならさ、夕日が綺麗に見える丘に行こうよ」
「うん、今からぶらぶらしながら歩いたらちょうど良いかもな」
「それじゃあ決定だね」
俺たちはそういう会話をしながら小高い丘に向かった。
まったりと歩きながら目的地に着いた。
「夕日、綺麗だね」
「ああ、綺麗だ」
数分沈みゆく夕日を見た後、
「帰るか」
「そうだね、帰ろっか」
俺は響を送った後、家に帰った。
「ただいま」
「おかえりなさい」
俺は手洗いうがいをした後、風呂を洗いその後洗濯物を畳んだ。
「ありがとう、カズ君。助かったわ」
「いえいえ」
「お父さんはまだ帰ってこないし、お風呂溜めて入って」
俺は二つ返事で風呂を沸かす。
大体十五分ぐらいで沸くのだが、その間はニュースや明日の天気などを見る。
風呂から上がった後は授業の予習復習とかするのだが、明日は入学式。
特に何もする必要性がないので、リビングのソファーに座った。
「あともう少しでお父さん帰ってくるみたいだから、テーブル拭いてくれない?」
俺は、いつも皆でご飯を食べているテーブルの上を台拭きで拭いていく。
「ありがとう」
すると、間もなく
「ただいま」
の声がした。
「お帰りなさい、ご飯できてるから皆でご飯食べましょ」
「ただいま。ありがとう、菜々子さん」
「お帰りなさい」
「ただいま」
家族三人で食卓を並び、
「「「いただきます」」」
と言って皆で晩御飯を食べる。
食べている時に今日何かあったかとか他愛も無い話をした。
ご飯を食べ終わり、ごちそう様でしたを言って、皿をシンクに持って行った。
その後はゲームやったり、一応去年のノートをパラパラと見たりした。
特にすることもなかったので歯磨きをして寝た。
-次の日の朝-
目覚ましが俺の部屋で鳴り響く。俺は目覚ましを止めて時間を確認する。
「もう七時半か」
布団から出て、大きなあくびをしながら体を伸ばす。
寝間着から制服に着替え、鞄を持って階段を下りていく。
鞄を玄関の端の方に置いた後、リビングの扉を開ける。
「おはようございます」
「おはよう、カズ君。朝ごはんは、ご飯とみそ汁で良い?」
「はい」
父さんは早く出発したらしくいない。
俺は朝ごはんを食べ終わるとテレビでニュースを見る。
俺は時間を見て、玄関の前に行き靴を履く。
鞄を持って、
「行ってきます」
「気を付けて行ってらっしゃい」
俺は玄関を出た。
もうそろそろ響がくるなと思っていると、案の定来た。
「一希、おはよう」
「おはよう、響」
そう言って俺たちは学校に向かって歩いた。
教室の扉を開けると、なんだかんだで注目される。
まあ、さほど気に留めはしない。
席に着くと、前から直樹が喋りかけてきた。
「おはよう、朝から見せつけてるな」
「おはよう、何を見せつけてるって言うんだよ?」
「仲の良さだろ、椎名さんはお前と付き合ってるって噂があるからな」
「実際付き合ってるだろ?」
「・・・・友人としてか?」
「ああ、幼馴染としてもだ」
「そういう意味じゃないんだがな」
チャイムが鳴り、直樹はやれやれというような顔をした後、前に向いた。
先生が入ってくると、今日の大まかなスケジュールを説明し、全員で並んで体育館に向かった。
パイプ椅子に座り、しばらくすると始業式が始まった。
始業式も寝てた。正直、することなんて限られてるし。
ようやく終わると、全体にやっと終わったか的な雰囲気になる。
この後一旦教室に戻り、配布物を受け取って終わりだった。
「一希、一緒に帰ろ」
「ああ、帰ろうか」
俺たちが帰ろうとしたその時だった。
「椎名さん、天野先輩が呼んでるよ」
「え、天野先輩が? 一体なんだろう? 一希、もしかしたら長くなるかもしれないから先に帰ってて良いよ」
「分かった」
天野先輩とは響が所属している卓球部の先輩だ。
俺はなんとなく嫌な予感がしたので気づかれないよう、響の後を追った。
「椎名」
「なんですか?」
ギリギリ聞こえる。小さい声とかは聞こえないだろうが、普通のボリュームであれば聞こえる筈だ。
「単刀直入に言わせてもらう。・・・・椎名、好きだ! 俺と付き合ってくれ!!」
衝撃的だった。俺はテニス部なので、響の卓球部のことは全く知らなかった。
そんなことは、どうでもいい。
響は、一体なんて返すんだ・・・・?
「ごめんなさい、私、好きな人がいるんです」
「・・・・そうか、そうか。何となくそんな気はしてた。ありがとう。言えてすっきりした」
「いえいえ」
俺は気づけばその場を走り去っていた。
響には好きな人がいる。
そんなのいても当たり前だろ、高校生なんだから。
じゃあ、俺は今なんで走ってるんだ?
分からない、分からない。
なんで、涙を流しているんだ?
「分かん、ねえよ・・・・!!」
更新頻度は一週間に一話は最低でも投稿したいと思っております。
不定期更新も可能性としてあり得ますのでご了承願います。