1-10 街で買い物~始まりの街レイナーダで~
冒険者ギルドを出た僕はまずはおいしい料理を作るための材料を集めるために商業広場に向かった。
「まずはどこに調味料が売っているかを聞いてみるか。」
時間は多分まだ昼前だ。帰りはワープを使うとして、ゆっくりと聞いて回るとしよう。
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周りを行き交う人に聞いたところ、調味料を買うならインバという名前の店に行くといいと言われたので言われた店に来てみた。
防具屋と同じように広場を囲むようにして建っている家の一つにインバという名前のついた看板があるのを見つけてその店に入ってみた。
!?
「いらっしゃい。・・・ここは調味料のお店、インバだよ。・・・・何を買いに来たんだね?」
・・・究極に怪しい魔女みたいな婆さんがいた。どうやら店長のようだ。
「あ、あぁ。今日買いに来たのは調味料全般だよ。料理をするのに必要だからね。見せてもらってもいいかな?」
「・・あぁ。好きに見てっておくれ・・。」
そう言うと婆さんはカウンターの向こうで何か作業を始めていた・・・・調味料を見るとするか。
調味料といっても異世界だからかあまりめぼしいものはなかった。欲しい物を量を指定して袋に詰めてもらい、お金を払って受け取りそして店を出た。
買ったのは、岩塩5kg(長さは単位が違うくせに重さは単位が変わんなかった)と、砂糖1kg、赤唐辛子100g、黒胡椒500gを買った。ちなみに5000カインほどの値段になった。やっぱ高いな。多分この世界は調味料の大量生産がまだ出来ていないのだろう。
さて次は・・・おや?あそこにいるのはあの美味い肉を売っていたおっちゃんじゃないか?・・・行ってみよう。
「おっちゃん!今日は何を売っているんだい?」
そう声をかけるとおっちゃんは僕のことを覚えていたようで笑顔で声を返してくれた。
「おう!こないだの鍋ごと買ってくれた女の子じゃねえか!今日も肉を買っていくかい?今日は前にお嬢ちゃんが買っていったのよりもランクが高くて美味い魔獣の肉が手に入ったんだ!」
「ほう。それはなんていう名前の魔獣の肉なんだい?」
「おう!その魔獣の名はギガントバッファローって言う名の魔獣でな牛のような姿の魔獣なんだがかなり凶暴で常に群れで行動する魔獣でな、魔獣の肉は大体がランクが上がると美味くなるんだがこいつの肉はな、Dランクの魔獣ながらBランクに匹敵するとまで言われているんだよ。そいつを運良く丸々1頭分の肉を手に入れることができてな。今日の鍋の中身はその牛?をこないだとは違う味付けをして煮込んだものが入っているんだよ。前の鳥はEランクだったから今回の方が美味いことを保証するぜ!」
・・じゅるり。・・その話を聞いている間に漂ってくる鍋からする美味そうで食欲を誘う匂いがしていたために、ついヨダレが出てしまった。
「はははっ!どうやら食べてみたいらしいな!嬢ちゃんだけ特別だぞ?」
そう言っておっちゃんは僕に小さな骨付き肉を差し出してきた・・・・
「おっちゃん、食べていいの?」
「おう!前回あんなに買ってくれたからな。サービスだよ。まぁ食べてみろって。」
おっちゃんがそう言ったので僕はその肉にかじりついた。
がぶり! ムシャムシャ ごくん・・・・・
「おっちゃん!おっちゃん!」
「なんだ?」
こっこれは・・・
「この肉めっちゃ美味いな!この柔らかい肉と、いくらでも食べたくなるような絶妙な塩加減で作られたこのスープで煮込んであるからか、味が染み込んでいて最高だよ!おっちゃんはいい腕をしているな!」
そう褒めたところ、
「そっそうか?そんなに喜んでもらえるとこちらも嬉しいな。」
「うん!おっちゃん!それも鍋で売ってくれないか!?お金はあるからさ!」
これはアウルも喜びそうだしな。お土産にちょうどいいな。
「ホントかい!?また鍋ごと買ってくれるのかい?そこまで気に入ってくれたのか~作った者としては嬉しい限りだな。じゃあ今回は前よりも高いぞ?2750カインだな。払えるかい?」
「うん。じゃあこれでいいよね?」
そう言ってお金を渡すと、
「おう、確かに頂いたぜ。じゃあ持って行きな!」
「うん。ありがとうね!アイテムボックスオープン!」
そうしてアイテムボックスに鍋ごと収納すると、
「今日もありがとうな。また美味い肉を仕入れといてやるからな。またこいよ!」
「わかったよおっちゃん!また買いに来るからね~。」
そうしてアウルへのお土産も買った僕は、次の目的地へと足を運んだ。
大体お昼ぐらいの時間になり、周りの人達に話を聞きながらやってきたのは、初めて街に来た時に僕に話しかけてきたマーゴット?とかいう腕っ節の強そうな豊満な体つきをしたおばちゃんが働いているという満腹レイマー亭という名の飯屋にやってきていた。
・・・ここなんだろうな。
やってきた場所は、広場の中心から見て右側の道に入ってすぐのところにある店だった。
だが、その店は昼間だっていうのに外にも聞こえるくらいに店の中から酔っ払いに怒鳴りつけている声が聞こえていた。
周りを歩いている人たちはいつものことだといっていたので大丈夫だとは思うのだが・・・・不安だ。
そう思いながらもフードをかぶってから店の扉を開けて中に入ると、
「「「満腹レイマー亭へようこそ!」」」
美人のおねえさんたちが5人ほど給仕の格好をして働いていた。そしてどうやら外まで聞こえた怒鳴り声はおねえさんたちに手を出そうとした昼間なのに酔っ払っている、おじさんや、おにいさん?たちがどうやらあのマーゴットとかいうおばちゃんに怒られている声だったらしい。
「君は一人だけかな?だったらカウンターの席に座ってね!注文が決まったら読んでくれればいいからね!」
そう言っておねえさんのうちの一人がフードをかぶったままの僕を怪しい奴を見る目で見ながらも、身長から見て子供だと思ったのかすぐに子供に接するような態度でカウンターの席に案内してくれた。
店の中を見てみると、いたって普通のゲームとかでよくあるような酒場だった。うん、酒場だね。食事処って感じではないな~。それも酔っぱらいがいるせいかな?
そんなことを考えながら店の壁に書かているメニューを見ていると、怒るのをやめたのか、マーゴットさんが僕の方に怪しい奴を見るような変な奴を見るような目つきでこちらに近づいてきた。
「あんた、子供だろうけどこんな店の中でまでフードをかぶっていないで顔を見せたらどうだい?その様子だとどっからどう見ても怪しい変質者だよ。」
ありゃりゃ。注意されちゃった。しょうがないか。
「すみませんね。余りにも店の中が騒がしそうだったので、変な人がいて顔でも覚えられると大変だと思いましてね。」
そう言ってフードを外して顔を出すと、
「あんたは・・たしか街の外からやってきたとか言っていた子じゃないかい?」
「はい。お久しぶりですね。あなたに言われたとおりにここにご飯を食べに来ましたよ。」
「あぁ。なるほどね。そう言えばあの時そんなことも言っていたかもしれないね?ふむ。それで何かもう注文はしたのかい?」
おぉ。おぼえていてくれたらしいな。
「いえ。まだ注文が決まっていなくて。なにかおすすめでもありますか?あったらそれでお願いします。」
「今日はシチューと黒パンのセットがおすすめだね。シチューのいい材料が手に入ったからね。それと飲み物は果実水でいいかい?」
うんまあ定番だよね・・・
「はい。それでお願いします。」
「あいよ。すぐ持ってくるからね。あと、酔っ払いには気をつけなよ。」
そうして厨房の方にマーゴットさんは消えてしまった。そうしたらいきなりおねえさんたちが僕の周りに集まってきた。
「君、一人できたの?女の子が一人でこんなところに来たら危ないよ?」
と16歳くらいの可愛い系で出るとこが出ているおねえさんが、
「そうだぞ君みたいに可愛い子はすぐに酔っ払いに絡まれるしな。」
と19歳くらいのつり目美人のぺったんこなおねえさんが、
「そうそう~。それに女の子なのに一人ってどういうこと?街の外から来たんでしょ?」
と15歳くらいの、のほほ~んとした雰囲気のおねえさんが、
「うんうん。マーゴットさんとの会話を聞くとそうなるね。商隊にでも付いてきたのかな?」
と17歳くらいの眼鏡美人って感じのおねえさんが、
「えっ!?でも来たのって警鐘がなった時でしょ?もう避難する必要がないって教えてくれたのがこの子らしいしね?なにかあるんじゃないの?」
と16歳くらいのちょっとバカっぽい雰囲気をまとった、アホ毛のおねえさん?が、話しかけてきた。
・・・・いきなり5人で話しかけられても・・・
「僕は冒険者なんですよ。だから警鐘がなっている時に1人で街に入ってきたんですよ。」
「「「「「!?」」」」」
ん?なんか変なこと言ったかな?驚いちゃってるぞ?ついでに周りで僕らの会話に聞き耳をたてていたお客さんたちも驚いてなのか静まり返っていた。
「どうしたんですか?僕何か変なこと言いましたっけ?」
そう聞くと恐る恐るといった感じでアホ毛のおねえさんが話しかけてきた。
「え~っと。君みたいな可愛い子が冒険者なの?ぼっ冒険者って命懸けのお仕事でしょ?君みたいな子にできるとは思わないんだけど?」
・・・説明しなきゃダメな雰囲気だよな。マーゴットさんもこっそり聞きに来てるし。話さないとご飯が食べれなそうだしね。
「僕はこう見えても技能をいくつも持っているんですよ。それに魔法も使うことができますしね。『アイテムボックスオープン!』・・ほらね?」
僕がアイテムボックスを開くと、店の中はまた静まり返ってしまった。