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3話 日本語を正しく発音することのできない若者が増えたことに私は悲しんでいます

―現在―


 

 「ほら、はよ起き。はよせんと、置いていくで」

 

 「おい、でくのぼう。お前一生そこで寝てたいのか?」

 

 「少年、早く起きたほうがいいよ。怒られるよ」



  穿さん・・・・。蓮・・・・。文美さん・・・・。


 

 「君は即身仏にでもなるつもりかい。君が仏教を信仰していたとは驚いた」


  アルミ・・・・・。


  

 僕は夢を見ているらしい。みんな今はここにいるはずがないから。

 あのころは充実していたと思う。楽しくはなくとも。

 ・・・・あれ?

 ・・・・夢。ということは寝てるんだよな、僕。

 記憶が確かなのは掃除が終わった後、つまり帰りの学活の前まで。

 ・・・もしかして。

 学活の途中で寝てるんじゃないか、僕は。


 「キキョー!!!!起きろーーー!!!!」


 うわぁっ・・・!!!!

 僕は勢いで椅子を蹴り倒して直立不動の姿勢になるまで一秒もかからなかったと思う。

「きゃあっ!!」

 そんな僕にびっくりしてルカが尻もちをついている。

 ・・・あれ?ルカと山岩さん以外そこにはいなかった。

 「麒姜くん・・・?もう学活終わってみんな帰っちゃったよ?酔狂先生が寝かしとけって」

 茫然としている僕に向かって、この学校において僕のことを麒姜と呼んでくれる数少ないうちの一人である山岩さんは言った。

 あのじじ――酔狂先生は本当に先生っぽくない。どこの世界に学活中に寝ている生徒を起こそうとするでもなくあきらめて無視するでもなく寝かしとけなんていうやつがいるのだろう。

 話はかなり変わるけれど。

 あの人は、何か大切なことを忘れていない人間の一人なんだろうか。おじいちゃんは言っていた。


 この世にはいくつになっても大切なことを忘れていないやつがいる。俺の友達は大体そうだった。みんないいもん持っていやがるんだ。うらやましい限りだぜ。俺にはねえけどな。 


 おじいちゃんはいつもそう言っていたけど僕はその「大切なもの」をおじいちゃんは持っている気がした。

 

 「キキョーくん!!ほら行くよ!!多分新入部員もうそろそろいるんじゃない!?」

 回想モードに入っていた僕に、麒姜と正しく発音できない―いや、する気のないルカは叫んだ。

 

 ――そう、僕たちはこれから新入部員の歓迎会に行かなくてはならない。

 果たして今年はいるのだろうか。去年は誰もいなかった。

 もともとあまり数が多いとは言えないこの学校の部活において、部員が集まらないことはまずない。

 ではなぜ去年は部員が集まらなかったのか。それはこの探偵部という部活の特殊さにあるだろう。いや、名前からして特殊ではあるんだけど。

 そもそもこの部活はとある引きこもりが脅迫に尽力してくれたおかげで教師陣に無理やり認可させている部活だ。生徒たちのほとんどは探偵部の存在さえ知らないのだ。幽霊部員ならぬ、幽霊部なのだ(あまり例えがうまくはないけれど)。一部例外はいるが、教師はその名前を口に出来ないから表面に浮かびあがらないのだ。・・・引きこもりのせいで。ご愁傷様です。

 まあとにかく、徹底的に極秘にしていては部員が集まらない。だから部長である穿さんは考えた。

 一日ぐらいは秘密どころかぱーっとみんなに探偵部を知ってもらおう。ただし「メッセージに気づくことができた」みんなということだけれど、と。

 ということで毎年あるとても短い期間、あるメッセージを流す。それに気づいた人だけが、探偵部に入部出来るかもしれないというだけだ。そこから穿さんはひとひねりしたけれど。

 去年はそれに誰も気づかなかったのか、もしくは気づいても馬鹿らしいと思ったのか。そのどちらかだろう。

 ところで、普通は歓迎会というのは入部が決まった新入部員に対してするものだと思うが、この部活ではメッセージに示された場所にいるかもしれないあまり事情を知らないかわいそうな子ヒツジたちを歓迎しに行くことを歓迎会という。

 まったく嫌な部活だと思う。

受験終わりました!

無事公立に合格することができたのでようやく頑張っていけそうです。

相変らずこの作品を読んでくれる人を置いていく私ですがよろしくお願いします。

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