1話 飛ぶ時間跳ぶ時間
―現在―
早いものでもう竜胆高校の入学式から十日が過ぎた。
最近は地球温暖化の影響なのか入学式の時期に桜が満開に咲いている画はあまり関東では見られなくなってしまった。既に竜胆高校の正門のそばに三本植えられているソメイヨシノは葉桜へと化している。
僕が通っている竜胆高校は、リュウタン、タツギモではなく、リンドウと読む。何んとも珍しい。しかも中高一貫校なのだ。なので、中学校で青春を過ごした仲間は高校生でもほとんどは一緒に青春を過ごすことになる。
この市には、竜胆高校含めて公立高校が二つしかない。あまり大きな市ではないのだ。したがって、その二つの高校の学力はあまり高くない。だがしかし、この市には田舎という言葉がぴったり当てはまるわけではない。同級生は早く卒業して、都会に行きたいという人も少なくはない。けれど、僕は少なくとも満足とは言えなくても不満は抱いていない。
そろそろ家を出なければいけない時間だ。
カギが閉まっているかを確認。さあいこう。
僕はいつも一旦学校とは反対方向に自転車を走らせる。ルカ――芝 海花を迎えに行くためだ。自転車で十五分。遠い・・・。しかも裏道ばかり通らなくてはいけない場所なので正直あまり通りたくない道なのだ。毎日はつらいよ、これ・・・。
ルカはいつも通り家の前で待っていた。
「今日は三十分も早く準備が終わったんだよ!」
はじける笑顔で言われるが、だったらたまには俺んちまで来い、と言いたくてもとある事情があって言えない。あの時はそれを言ったせいで本当に危なかったのだ。
ルカの家から僕の家まで自転車で十五分。僕の家から歩いて十分。中学生の時は歩いて学校に通っていた。・・・・なんだかなぁ。唯一高校生活の中で時々不満に思う。
ルカとたわいもない会話をしていたらすぐに高校についてしまった気がした。ここでいつも僕はまあいいかと思ってしまうのだ。・・・なんだかなぁ。
―二年前―
僕はついに今度こそ一人になってしまった。僕を長い間一人で育ててくれていた祖父が亡くなったのだ。なぜ祖父が僕を育てていたかというと、両親がすでにこの世にいないからだ。母は僕を出産したときに、父はその病院の帰りに車を運転していて信号無視の暴走車両に正面から衝突されて亡くなったのだそうだ。
同じ日に違う理由で死ぬなんて偶然なんて言葉で片付けられるものではないと思っている。本人たちの子供の僕が言うのもなんだが気味が悪い。
この世に生を受けてから一日もたたずに一人ぼっちになってしまったのだ。
そんな僕を引き取ってくれたのが、祖父だった。祖父は僕にいろんなことを教えてくれた。また僕が一人ぼっちになってもいいように。
僕は両親がいないことに悲しみが感じられなかった。なぜなら、そのぬくもりに触れてもいないから。おじいちゃんはいつも言っていた。おまえにはいつも両親がついている、と。だけど、それも僕にはあまり響かなかった。
僕は両親がいないという理由で涙を流したことがなかった。祖父はそのことをどう思っていたのだろうか。
その祖父にももうきけなくなってしまった。
僕はもう一人で生きていける。祖父がいろいろなものを僕に遺していってくれたから。
僕が一つ気がかりだったのは、この街を去らなければいけないということだ。祖父の知り合いの弁護士さんによると、祖父は自分が死んだあと、今僕が住んでいる土地を国に寄付するように遺言を残していたそうだ。そして、僕は祖父が遺してくれたM市にある一人で住むにはなんだか広い一軒家で新しい生活を始め、すぐ近くの竜胆高校付属中学に通うそうだ。最初僕はリュウタンと読んでしまったが弁護士さんによると、リンドウと読むらしい。なんとも珍しい。まあ、歩いて五分らしいのでどうでもいいけれど。
僕にはわからないことは全て弁護士さんがやってくれるらしい。そんなわけで、少し不本意ながら新しい生活が始まった。
1話投稿・・・ですがあまり展開がありません。申し訳ないです。
受験生ということもあり、なかなか時間がとれず、文章量的に問題が発生してしまいました。←じゃあなぜ始めたんだろうね?
とにかく、頑張っていきますので感想いただけたら嬉しいです。では。




