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サヤ  作者: 國生さゆり
7/20

7、腐臭



0、バックにファミレスが見える駐車場、救急アルミックシートに身を包んだ7〜8人が1箇所集められている。


1、規制線の前に立っているサヤと石橋・二人とも目深に帽子をかぶっている。

サヤ「生臭い匂いがする」

石橋「強化された細菌が、融解して腐ってゆく匂いだ」

サヤ「そうなんだ・・・腐るとこんな匂いがするんだね」



1A、顔をしかめるサヤ



2、石橋「どうした?」

 サヤ「心が腐ってる人もこうゆう匂いがすると、わかりやすいのになぁーて」

 石橋「人は腐ると無臭になる。心を無くすからだ。だが人は、なぜだかそういう奴を高貴だと判断する。人間は愚かだと思わないか、サヤ」



3、サヤ「我思う、ゆえに我ありか」

  石橋「俺、それ初めて知った時、正直、何言ってんだ馬鹿野郎って思ったよ」

  


4、サヤ「確かにそうよね、結局は我のことしか考えてないし、我にしか興味ないってことだもんね。究極のナルシスト気質」

  石橋「哲学なんて所詮、金持ちの戯言で、暇つぶしの落書きでしかない」



5、規制線内に白い車が停車する。


6、降り立つ男


7、それを見た石橋

 石橋「ははぁーん」


8、サヤ「どうしたの?」


9、石橋「あの車から降りた男は特戦群所属だ」

  サヤ「あなたが昔いた自衛隊の?」

  石橋「そう、この国の最高峰特殊部隊。あいつはベータチームのチーム長、通称サラマンダー」

  サヤ「サラマンダー?」



10、石橋「コードネームだ。中世錬金術における4大妖精で、

     手に乗るほど小さいドラゴンだが火を司る」

  サヤ「妖精⁈馬鹿馬鹿しい。いるわけないじゃん」

  石橋「そうだ、そんなもんはいない。だが、サラマンダーは善なる火を燃え上がらせ悪なる火を消し去る正義の象徴とされてる」



11、石橋「そんな言い伝えを信じて、コードネームにする奴だから厄介なんだ」

  


12サヤ「曲芸でも出来んの、火を吹くとか」バカにした顔つきで火を吹くマネをする。



13、サヤに目を止めるサラマンダー



14、石橋「目立つマネするな。あいつは鰻みたいに掴みどころがない奴で、キレる脳みそを持ってる。任務のためなら味方すら裏切りかねない」

  サヤ「ふ〜ん、そうなんだ。あんな魚顔してるのに頭良いいんだね」



15、サヤ「そのサラマンダーに話しかけてるあのイケメンは誰⁈」

  石橋「新入りだ。確かカンマルとかいう」

  サヤ「ああいう顔好き♡」



16、石橋「特戦が出張ってくるとは」

  サヤ「ダメなの??」



17、石橋「生物兵器ではないかと疑ってるってことだ」

  サヤ「えっ!そうだったの⁈」

  石橋「な訳ないだろう。培養濃度を上げただけだ。行こうか」

  サヤ「もういいの?」

  石橋「ああ。大体の察しはついた」



18、踵を返す二人



19、サヤ、人垣の中に宗弥を見つける。

  サヤ「先に行って」と石橋に小声で囁く。



20、サヤ「宗弥ーー!帰って来てたんだ!!」

   宗弥「おお!サヤ。富士子は元気か?」

  サヤ「宗弥。会った途端に富士子は元気かって、私に失礼でしょ!まずは変わりないかとか、いつぶりだっけとか聞くものよ」



21、宗弥「わりー。サヤさんとお会いするのはいつぶりでしたっけ?」

  サヤ「去年の4月以来よ、新宿御苑に富士子と3人で桜見に行ったでしょ」

  宗弥「そ」



22、サヤ「黙れ!富士子は元気。研究室に篭りっぱなしよ」



23、宗弥「め」

  サヤ「相変わらず、食には興味ないけど、私がちゃんと管理してる。ありがたく思え、宗弥くん」

  


24、苦笑の宗弥

  宗弥「本当、お前には敵わないな」



25、頭を下げる宗弥「ありがとうございます、サヤさん」

  ふんずりかえるサヤ「いえいえ、どういたしまして」



26、サヤ「ところで、宗弥。ここで何してんの?」

  宗弥「ここのファミレスで食中毒が発生して、二人亡くなったってYahooに上がってたから」



27、サヤ「えっ!!」


28、宗弥「どうした?顔色変えて」



29、サヤ「私、お友達とここで会う約束してたの。よかった…、その友達にドタキャンされて。そうじゃなかったら、私も感染してたかも・・・」

  


30、宗弥「・・・えっ・・」



31、サヤ「何?黙っちゃって」

   宗弥「いや、お前が待ち合わせしてた友達って・・富士子じゃないよな」

   サヤ「な、わけないでしょう。富士子がファミレスなんかに来るわけないでしょ。馬鹿ね」



32、サヤモノローグ

 “しくじっった。富士子を連れて来ればよかった。智人と近しくなるのが嫌だったから、選択肢になかったけど失敗したわ”



33、宗弥のスマホ鳴る



34、電話に出る宗弥

  宗弥「わかった。合流する」



35、宗弥「サヤ、またな。俺行くよ」

  サヤ「相変わらず、忙しいのね。体に気をつけてね。たまには連絡ちょうだい」

  宗弥「富士子によろしく伝えてくれ」

  サヤ「いやです。自分で伝えなさい」



36、宗弥を見送るサヤ

 サヤのモノローグ1“ホントバカなんだから、会えば富士子、富士子って、中学生じゃあるまいし。私が告白したの忘れてんのかしら“


サヤモノローグ2“そのうち、あんたを私に泣いてすがらせてやる(文字のみ)



37、歩きながら、スマホをスクロールしているサヤ



38、画面

友永康代さん(67)と従業員・山本和子さん死亡



39、フラッシュ(6話21シーン)

友永に駆け寄った従業員

従業員「お客様!」(手を握っている)



40、サヤのスマホが鳴る。未登録番号

サヤ「もしもし」

女「あの、こんな時ばかりお電話してごめんなさい」

サヤ「どなたでしょうか?」



41、女「佐伯智人の妻で、以前お会いした事があると思いますが、

その節は大変失礼をいたしまして申し訳ありませんでした」

サヤ「ああー、朋子さん」



フラッシュ・私のオフィスに入れたくなかったの!!(4話・25シーン)



42、悪相のサヤ

サヤ「お元気ですか?私なんかに何のご用でしょう?」



43、朋子「折り入ってご相談させて頂きたい事がありまして」

  サヤ「相談?ああ、智人さんが勝手にランチを食べに来てるだけですよ」

  朋子「えっ・・」



45、サヤ「そうなんですよ。同じ会社だから顔を合わせることもありますが、お互いスルーしてました。なのに、ここ最近プチ・トリアノンに来店されるんですよね。私、聞いたんですよ、奥さまのお許しはでたのかって」



46、サヤに近づく石橋



47、サヤの肩を抱く石橋、その手を振り払うサヤ

サヤ「そのお叱りでしたら、ご検討違いです」

朋子「い、いえ、そうではなくて…、主人がご迷惑をお掛けしてしまって申し訳ありません」



48、サヤの携帯に耳を寄せて聞いている石橋

  朋子「あの、主人の弁護士からサヤさんにお会いできないかと連絡がありまして」

  サヤ「弁護士⁈私、智人さんとは何もないですよ!誤解です!!智人さんが勝手に」

  


48A、朋子「実は…、主人が、たまたまウチが経営しているファミレスに居合わせまして、病院まで倒れた方に付き添ったんです。責任感からだったと言ってます。いま主人、警察に事情を聞かれているんです」←このセリフのどこかでカット変えて、カメラ位置高めの朋子の後ろ姿とする。カット番号48のBとする。



49、サヤ「もしかして、食中毒だしたの朋子さんのご実家が経営さレてるファミレスですか⁈」

   朋子「…はい」



50、満足顔のサヤ・石橋笑ってる

  サヤ「そうだったんですね・・、でもどうして弁護士さんが私に会いたいんですか⁈なんか怖いんですけど・・私、何も関係ないし・・」

  朋子「主人がサヤさんを呼んでくれと言ってるみたいなのです」

  サヤ「奥さんの朋子さんじゃなくて、私を」



51サヤの耳元で何やら囁いている石橋

  サヤ「弁護士さんにお会いするのは、ちょっと…、無理です。仕事のこともありますし。どうでしょう、朋子さんが私と会いませんか?」




52サヤ「あっ、ごめんなさい。私なんかと会いたくないですよね」

  朋子の声「いえ…、そんなことは」

  サヤ「災難続きで大変ですね。お役に立てなくでごめんなさい。お体大切」

  


52A、朋子「わかりました。サヤさん、わたくし参ります」



53、サヤ「場所決まったらメッセージください。あの、今日はたまたまお休みだったんです。できれば今日中に済ませたいんですけど、わがまま言ってごめんなさい」



54、電話を切ったサヤ、ニンマリと笑う

  サヤのモノローグ“飛んで火に入る夏の虫“

  




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