4、昔の男
1、プチ・トリアノンの戸口から富士子を見送るサヤ
サヤ「午後も頑張ってね、あとで差し入れにゆくね」
富士子「あっ、今日は精密作業だから」
2、サヤ「関係者以外立ち入り禁止なのね、わかったー」
サヤのモノローグ・“偉そうにーーー”
3、富士子とすれ違う智人
4、サヤ「智人さん、来てくれたんだ。何か食べたい物ある?作るよ」
智人「朝食たべてないからすげー、腹減ってる」
サヤ「そうなの、奥さん具合悪いの?」
智人「低血圧らしくて・・、無理強いしたら人格疑われるだろう」
5、カウンターに座っている智人と調理しているサヤ
智人「俺、今、リビングのソファで寝てるんだ」
サヤ「えっ!そうなの!!何で?」
智人「俺の寝相が悪いからだって」
サヤ「確かに。智人、運動会するもんね。
お腹蹴られるかもって・・思ったのかな」
5A、唇を噛む智人
智人「・・・俺だって、わかってるから、ソファに寝てるんだ」
6、サヤ「家事はやってくれてんの?」
智人「お義母さんがたまに来てる、、、」
サヤ「そうか。お義母さんとは上手くいってるの?」
7、智人「デキ婚が気に入らなかったみたいで、俺には冷たいよ。娘は溺愛してるけど」
8、サヤ、フライパンでミンチを炒めてる。
サヤのモノローグ“我慢できずに避妊しないからだよ。バーカ“
9、智人「それにさ、お義母さん朋子と一回別れた時のいきさつ、知ってるみたいなんだ・・復讐されてる気がする」
10、サラダを智人の前に置きながら
サヤ「過去は、過去だよ。智人。
今、がんばんないと、また今みたいに後悔するよ」
11、智人「そうだけど、こんな話だれにもできないだろう。かっこ悪いじゃん、赤ん坊生まれるのに夫婦間が上手く行ってないって。昇進にも響くし」
サヤ「会社員って何かとプライベートで評価されたりするもんね。だから私ね、ここで見聞きしたことは誰にも話さないようにしてるの。憩いの場でありたいから。あっ、チーズ切らしてた。倉庫に行ってくるね」
12、備蓄庫のサヤ
過去モノローグ(電車内)
サヤ「私に会っても平気なのかな、朋子さんって元カノでしょ」
智人「朋子がサヤにプレゼントしたいって言い出したんだよ」
サヤ「矯正下着をねー」
智人「矯正下着って言っても、ボンテージみたいでそそるデザインなんだよ」
サヤ「元カノさんの見たの?」
智人「えっ…と」
13、サヤ「智人って、そういうとこデリカシーないよね」
智人「ごめん。高級下着をタダで貰えるからいいかなって思って」
サヤ「智人は同級生で元カノだから何ともないだろうけど、女の子はそういうの意識しちゃうんだよ」
14、智人「サヤが嫌なら帰ろう」
サヤ「タダでもらえるなら…、行く」
15、顔を赤らめたサヤ「だって…、そそるって言われたら着てるとこ見てほしいし」
智人「可愛いな、サヤ」
16、サヤモノローグ(文字のみ)
“あの頃の私はウブだった“
17、街並みを歩くサヤと智人
18、立ち止まった二人、繁華街の一等地に建つビルをに上げている。
智人「ここの13階にオフィス構えてんだ」
サヤ「すごいねーー、私とは大違い」
智人「そんなこと気するやつじゃないよ。いい友達になれると思うよ」
19、受付
智人「11時に社長と約束してる、佐伯です」
受付嬢「申し訳ありません。急な商談が入りまして、佐伯さまお一人を社長室にご案内するよう申しつかっております」
20、サヤを気にする智人
サヤ「ここで待ってるから、行って来て」と笑顔
21、智人「ごめん」と手を合わせる
時間経過
22、受付前
サヤ「あの、お化粧室はどちらになりますか」
23、立ち上がった受付嬢、
丁寧な手付きで指し「廊下を右に曲がった左手にあります」
24、廊下を歩いていくサヤの後ろ姿
25、朋子の声が聞こえ、立ち止まるサヤ
女「だって、ここは私のオフィスよ。入れたくなかったの」
智人「彼女に失礼だろう。会いたいって言ったのはお前だぞ」
26、サヤのアップ
朋子の声「喫茶店の娘だなんて、あなたに相応しくない。同期はみんなそういってるわ。せっかくいい大学出たのに、なんのコネクションも、後ろ盾にもならない親の子を選ぶなんて」
27、顔を歪めるサヤ
時間経過
28、ロビー
智人「ごめん、待たせちゃって。仕事先の人を紹介してもらってた」
サヤ「よかったね」
29、サヤモノローグ
“嘘ついた!何で!何で嘘いったの⁈私が恥ずかしいから…“
30、街中を歩くふたり
智人「どしたー?無口じゃんか」
サヤ「お腹すいちゃって」
31、時間軸・現在・備蓄庫
サヤ・モノローグ
“こんな私でも純粋な気持ちはあった”
“世の中の仕組みは生まれが左右するのもわかってた“
“それでもあなたを信じてたのよ”
時間経過
32、ラザニアを食べてる智人「うまいなーー、やっぱり。このスパイス感がクセになるんだよな」
サヤ「智人スペシャルだもん」
33、サヤ「奥さん、こっちで産むの?」
智人「あの調子だと実家でじゃない」
サヤ「なんか、冷たくない⁈その言い方」
34、智人「たまにいるんだって、妊娠すると母性本能が強くなって、
パートーナーに心を開けなくなる人」
サヤ「何で知ってんの?」
智人「育児書、読まされた」
35、智人「だから、今はそっとしといてやって言われた」
サヤ「誰に?」
智人「わかるだろう。そんな高圧的なこと俺に言える人」
サヤ「お義母さん?」
智人「正解。俺んちより資産家だとやっぱ強いよなー。
何かと肩身狭いよ、俺」
36、サヤ「そうかーー」
37、サヤ「確か、飲食手広くやってる創業家だったよね」
智人「だね」
サヤ「ちょっと懲らしめてやろうよ、智人」
38、サヤ「思いついたの。智人の素晴らしさを見せつけてやるのよ」
39、サヤ「そしたら、疎かにしなくなるでしょう」
智人「・・・」
サヤ「怖がってちゃ、今のままだよ。子供が生まれる前にちゃんと立場作っとかなきゃ」
智人「・・確かに」
40、サヤ「子供に嫌われんの嫌でしょう。周りの人の態度って子供に伝わるもんだよ。それが子供の中でのランク付けに繋がるし」
41、智人「どういうこと?」(不安)
43、サヤ「子は親を見て育つって言うでしょう。このままだと、家族に相手にされてない父親だって認識して育つってこと」
智人「…、子は親を見て育つ。確かに育児書にもそう書いてあった」
サヤ「ほら」
44、サヤ「明日、また来て。相談しょう!」
智人「ありがとう、サヤ」
時間経過・
45、いつものテーブルに座っている石橋・向かいに座っているサヤ
サヤ「って訳なの、だから手伝って欲しいんだー」
石橋「偽装工作の訓練にもなるか・・」
サヤ「練習できて、復讐できるって最高だしょ」
石橋「ああ、こうゆう閃きは選ばれし者にしか降りてこない」
46、 石橋「道具の準備と住所は任せろ」
サヤ「私は智人との会話を録音しとくのよね?」
石橋「正解」
47、サヤ「優秀な弟子でしょう」
48、石橋「だが、サヤ、一線は超えてほしくない」
サヤ「わかってる」
石橋「あいつに抱かれてるお前を想像するだけで、気が狂いそうだ」
50、立ち上がって、石橋に手を差し伸べるサヤ
サヤ「そうならない為にも、手伝って欲しいのよ」
52、石橋の手を引いて歩くサヤ
53、備蓄庫の隣にある休憩室(和風・沖縄畳)
サヤ「15時まで休憩なの」
54、石橋を押し倒すサヤ
55、絡み合う二人
56、騎乗位のサヤ「いい、覚えといて。私は誰のものでもないから、私が私をあなたに与えてるだけ」