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サヤ  作者: 國生さゆり
2/20

2、罪悪感の引き出し方



1、プチ・トリアノン店先

富士子「今日もごちそうさま」

サヤ「良かった完食してもらえて、今日は出かける予定あるの?」

富士子「う〜ん、どうなるかなー、連絡待ちなの」



2、サヤ「えっ、そうなの、ちょっとヤキモチ。私の知らない人からの連絡待ちだなんて」



3、富士子「やだっ、違うわよ。粘菌の学者さんにご教示頂こうと思ってるの。その方からの連絡待ち」

サヤ「富士子が出掛けるの?それともその人がここにくるの?」

富士子「それも、成り行き次第かな」



4、サヤ「そうか。心を寄せる人ができたのかと思った」

 富士子「いないわよ、そんな人」

 サヤ「即答するなんて、宗弥が可哀想だよ」



5、富士子「宗弥は」



6、俯くサヤ「ごめん、余計なことだった。おせっかいよね、私」



7、富士子「5歳からの幼馴染だから」



8、サヤ「わかってる。ちょっと羨ましかっただけ」

  富士子「それ以上なんて考えられない、、今は」

  サヤ「それはさ富士子、ずるいよ。ちゃんと宗弥に今の気持ちを言ってあげた方がいいと思う」

  

奥のテーブルから石橋「サヤちゃん、コーヒーのおかわりもらえるかなー」

  サヤ「はーい」、「行かなきゃ、LINEするね。出掛ける時は連絡ちょうだい」



9、考えている富士子、その手前にポットを手にして歩くサヤ

  そんな二人を見ている石橋の俯瞰の絵

 

 サヤのモノローグ

 “宗弥の気持ちを踏みにじり続けられるって、どこまで上からなのよ“

 “私からLINEしなきゃ返信ないくせに。あっ、ごめんとか言って忙しかったのとか言い訳するんでしょ、下々で働く私たちの方があんたの1000倍忙しいのよ“



時間経過


10、席をカウンター席に移した石橋

生姜をすりおろしながらサヤ「それでね、粘菌とやらにご執心らしいわ」

石橋「なんで、宗弥の話をした?」


11、下ろし金で指を痛めるサヤ

サヤ「っ!!」



12、石橋に顔を向けたサヤ「なんで知ってんの!」



13、石橋の視線に気づいたサヤ、時計を外しながら「これに盗聴器っていうの仕掛けたのね!プレゼントって私を監視するため!!私の事を信用できないなら!」



14、時計を石橋に投げつけるサヤ

サヤ「こうしてやる!!」



15、避ける石橋



16、石橋「すまなかった、サヤ。私が悪かった。宗弥のことを知ってるだけに、お前の心にまだ宗弥への思いが住んでるんじゃないかと、、嫉妬したんだ」

サヤ「馬鹿馬鹿しい、昔のことよ!!いい⁈二度と私を疑わないで!!」




17、3人の客が店内に入ってくる

笑顔のサヤ「常盤さんに、倉西さんに、西条さん。いらっしゃい。今日も来てくれたんですね、好きなところに座ってください」



18、カウンターから出ようとするサヤ

  立ちはだかる石橋「すまなかった、サヤ」

  サヤ「邪魔だわ、どいて」と囁く



19、カウンター席に戻りつつの石橋

石橋のモノローグ「富士子か宗弥の名を口にして、サヤの怒りを燻らせる」

「毎日、少しずつ、火に油を注ぐようにしてサヤの憎しみをあおる」

「そのうちサヤは怪物になる」




20、サヤ、メニューを手渡している

サヤ「今日のランチは0000です」

常盤「時間過ぎてるのにいいの?」

サヤ「いいんですよ、ここは会社の食堂みたいなもんですから。それに富士子の会社の皆さんは私にとっても家族です」

西条「優しいな、サヤちゃんは」

サヤ「富士子のこと、これからもよろしくお願いします」

倉西「サヤちゃんの気持ちはありがたいけど、あの人は高嶺の花だから」



21、常盤「俺らのことなんて知りもしないし」

  サヤ「そうかもしれないけど、、、富士子は私のためにここを作ってくれました。いい子なんです」

  西条「健気だなー、サヤちゃんは。惚れてしまう」



サヤのモノローグ

 “富士子は高嶺の花で、私は気さくに話せる女扱い、、クソッタレどもが“




22、サヤ「ダメです、私好きな人いるんです」

3人の客「うっ、やられた」、「そうなのー!」、「ショック」



23、カウンターで伝票を書き込んでいるサヤ



23A、顔を上げ、チラリと石橋を見る。

サヤのモノローグ“裏庭に蛇を飼えば、隣人だけを噛むわけではないとあなたは言った“、


“ドラマの受け売りの台詞だった“



“それでも・・“




24、サヤの回想・ドラマを見ている石橋とサヤ

サヤ「かっこいいよね、この主人公」

石橋「実際はもっと残酷なもんだよ」

サヤ「なんで知ってるの?」



25、サヤの回想

俯く石橋「何も言っちゃいけないんだ」

サヤ「もしかして・・」


26、サヤの回想

石橋「俺はこの国のスパイなんだ」

サヤ「スパイ!!」

 


27、サヤの回想

サヤの肩に腕を抱く石橋

石橋「好きなんだ、君が。いけないとわかっているのに君に惹かれてる。スパイは誰とも恋なんてしちゃいけないのに」



28、時間軸・現代

調理しているサヤ、

モノローグ「あの頃のあなたはたくましかった」



29、出来上がった料理を客3人が座るテーブルに置くサヤ


30、サヤの内線スマホが鳴る。


31、電話に出るサヤ

石橋「頼むから、俺の前で男どもと仲良くしないでくれ。見てると殺したくなる」

サヤ「誰を?」

石橋「お前を。殺しながら抱きたくなる」



32、石橋に振り返るサヤ

サヤ「フフフ」

石橋「愛してるよ、サヤ」

サヤ「今のあなたじゃ、もの足りないわ」



33、デリバリーにに出ているサヤ、手にピクニックバスケットを下げている。従業員エレベーターに乗っている。



34、ドアが開く

一人の男が立っていた。

サヤ「智人さん」

男「ヤァ・・」

サヤ「私もう怒ってないわ、気にせず乗って」



35、エレベーター内

智人「元気だった?」

サヤ「そうでもない。あなたが結婚してから、合っちゃいけないと思えば思うほど、電話して声を聞きたくなっちゃって、、、」



36、智人「サヤ・・」



37、サヤ「寂しいの」、「諦めきれなくて」

 智人「妻が、、妊娠さえしなかったら、、、僕は今も君と。あの時、同窓会なんか行くんじゃなかった」



38、サヤ「私も、、あの時、やめてって、元カノ参加するの聞いてたのに、正直に行かないでって言えば良かったって・・後悔してる」

智人「ごめんよ、サヤ。良かったら、新しくした連絡先教えてもらえないかな?」



39、エレベーターの扉が開く。どっと人が乗り込んでくる(同じ会議室に参加していた人々、手には同じファイルを持っている)



40、エレベーター奥に押し込まれたサヤと智人



41、サヤ、智人の手を握る(手元アップ)



42、驚き顔の智人、サヤを見る。



43、サヤ、智人の耳元で

サヤ「プチトリアノンにまた遊びに来て」

人目を気にして頷く智人



44、サヤ「すみませーん、この階で降ります」

人をかき分けながら出てゆくサヤ



45、エレベーターホールで扉が閉まるまで頭を下げているサヤ



46、エレベーター内、

「あの子、富士子さんの親友だろう」、「感じいい子だよね」、「プチ・トリアノンの料理も美味くて」



47、智人、やるせない顔

(失ってから惜しくなる)



48、廊下を歩くサヤ

「フフフ、壊してやる」悪い顔



サヤのモノローグ”丁度いい練習になるわ“



49、富士子のオフィス

ドアを開けるサヤ「ミッディティーをお持ちしました」

富士子「わぁー、サヤ。ありがとう」

サヤ「一緒に休憩にしょう、富士子」

B「ご一緒していいかな」

サヤ「富士子に相談事があって・・ごめんね、Bさん」



時間経過


50、デスクを挟んで、向かい合わせに座っているサヤと富士子

富士子「相談事って何?私で役に立つかしら・・」

サヤ「追い払いたくてそう言っただけ。あの人のこと苦手でしょ」

富士子「付きまとういうか、監視されてるみたいに感じるの、だから」

サヤ「わかるわ、なんだかあの人胡散臭いもんね」



51、富士子「大学生の頃からお世話になってるから、子供扱いしてるのかも・・」



52、サヤ「距離感がおかしな人いるよね。ところで、粘菌についての本貸してもらえないかな。富士子の話を聞いたら興味が湧いちゃって」

富士子「ちょっと待ってて」



53、本棚から本を取り出す富士子



54、手渡す富士子、受け取るサヤ

サヤ「久しぶりに知識欲がワクワクしちゃって」

富士子「でしょ!さすがの理系女子!」

サヤ「富士子と研究したかったな」

富士子「サヤ、どうして研究者の道を」

サヤ「あーー、ごめん、ごめん。私が富士子のお誘い断ったんだった」



55、サヤ本を開いて眺めてる

サヤ「両親のお店潰したくなかったのよ。かーさんの夢だったんだ、喫茶店」

富士子「立派な選択よ、サヤ」



56、サヤ「ねえ、この本、付箋ついてるけど、借りしていいの?」

  富士子「気にしないで。もう資料にまとめてあるから」

 


57、ニッコリと笑うサヤ「ありがとう、富士子」




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