2、罪悪感の引き出し方
1、プチ・トリアノン店先
富士子「今日もごちそうさま」
サヤ「良かった完食してもらえて、今日は出かける予定あるの?」
富士子「う〜ん、どうなるかなー、連絡待ちなの」
2、サヤ「えっ、そうなの、ちょっとヤキモチ。私の知らない人からの連絡待ちだなんて」
3、富士子「やだっ、違うわよ。粘菌の学者さんにご教示頂こうと思ってるの。その方からの連絡待ち」
サヤ「富士子が出掛けるの?それともその人がここにくるの?」
富士子「それも、成り行き次第かな」
4、サヤ「そうか。心を寄せる人ができたのかと思った」
富士子「いないわよ、そんな人」
サヤ「即答するなんて、宗弥が可哀想だよ」
5、富士子「宗弥は」
6、俯くサヤ「ごめん、余計なことだった。おせっかいよね、私」
7、富士子「5歳からの幼馴染だから」
8、サヤ「わかってる。ちょっと羨ましかっただけ」
富士子「それ以上なんて考えられない、、今は」
サヤ「それはさ富士子、ずるいよ。ちゃんと宗弥に今の気持ちを言ってあげた方がいいと思う」
奥のテーブルから石橋「サヤちゃん、コーヒーのおかわりもらえるかなー」
サヤ「はーい」、「行かなきゃ、LINEするね。出掛ける時は連絡ちょうだい」
9、考えている富士子、その手前にポットを手にして歩くサヤ
そんな二人を見ている石橋の俯瞰の絵
サヤのモノローグ
“宗弥の気持ちを踏みにじり続けられるって、どこまで上からなのよ“
“私からLINEしなきゃ返信ないくせに。あっ、ごめんとか言って忙しかったのとか言い訳するんでしょ、下々で働く私たちの方があんたの1000倍忙しいのよ“
時間経過
10、席をカウンター席に移した石橋
生姜をすりおろしながらサヤ「それでね、粘菌とやらにご執心らしいわ」
石橋「なんで、宗弥の話をした?」
11、下ろし金で指を痛めるサヤ
サヤ「っ!!」
12、石橋に顔を向けたサヤ「なんで知ってんの!」
13、石橋の視線に気づいたサヤ、時計を外しながら「これに盗聴器っていうの仕掛けたのね!プレゼントって私を監視するため!!私の事を信用できないなら!」
14、時計を石橋に投げつけるサヤ
サヤ「こうしてやる!!」
15、避ける石橋
16、石橋「すまなかった、サヤ。私が悪かった。宗弥のことを知ってるだけに、お前の心にまだ宗弥への思いが住んでるんじゃないかと、、嫉妬したんだ」
サヤ「馬鹿馬鹿しい、昔のことよ!!いい⁈二度と私を疑わないで!!」
17、3人の客が店内に入ってくる
笑顔のサヤ「常盤さんに、倉西さんに、西条さん。いらっしゃい。今日も来てくれたんですね、好きなところに座ってください」
18、カウンターから出ようとするサヤ
立ちはだかる石橋「すまなかった、サヤ」
サヤ「邪魔だわ、どいて」と囁く
19、カウンター席に戻りつつの石橋
石橋のモノローグ「富士子か宗弥の名を口にして、サヤの怒りを燻らせる」
「毎日、少しずつ、火に油を注ぐようにしてサヤの憎しみをあおる」
「そのうちサヤは怪物になる」
20、サヤ、メニューを手渡している
サヤ「今日のランチは0000です」
常盤「時間過ぎてるのにいいの?」
サヤ「いいんですよ、ここは会社の食堂みたいなもんですから。それに富士子の会社の皆さんは私にとっても家族です」
西条「優しいな、サヤちゃんは」
サヤ「富士子のこと、これからもよろしくお願いします」
倉西「サヤちゃんの気持ちはありがたいけど、あの人は高嶺の花だから」
21、常盤「俺らのことなんて知りもしないし」
サヤ「そうかもしれないけど、、、富士子は私のためにここを作ってくれました。いい子なんです」
西条「健気だなー、サヤちゃんは。惚れてしまう」
サヤのモノローグ
“富士子は高嶺の花で、私は気さくに話せる女扱い、、クソッタレどもが“
22、サヤ「ダメです、私好きな人いるんです」
3人の客「うっ、やられた」、「そうなのー!」、「ショック」
23、カウンターで伝票を書き込んでいるサヤ
23A、顔を上げ、チラリと石橋を見る。
サヤのモノローグ“裏庭に蛇を飼えば、隣人だけを噛むわけではないとあなたは言った“、
“ドラマの受け売りの台詞だった“
“それでも・・“
24、サヤの回想・ドラマを見ている石橋とサヤ
サヤ「かっこいいよね、この主人公」
石橋「実際はもっと残酷なもんだよ」
サヤ「なんで知ってるの?」
25、サヤの回想
俯く石橋「何も言っちゃいけないんだ」
サヤ「もしかして・・」
26、サヤの回想
石橋「俺はこの国のスパイなんだ」
サヤ「スパイ!!」
27、サヤの回想
サヤの肩に腕を抱く石橋
石橋「好きなんだ、君が。いけないとわかっているのに君に惹かれてる。スパイは誰とも恋なんてしちゃいけないのに」
28、時間軸・現代
調理しているサヤ、
モノローグ「あの頃のあなたはたくましかった」
29、出来上がった料理を客3人が座るテーブルに置くサヤ
30、サヤの内線スマホが鳴る。
31、電話に出るサヤ
石橋「頼むから、俺の前で男どもと仲良くしないでくれ。見てると殺したくなる」
サヤ「誰を?」
石橋「お前を。殺しながら抱きたくなる」
32、石橋に振り返るサヤ
サヤ「フフフ」
石橋「愛してるよ、サヤ」
サヤ「今のあなたじゃ、もの足りないわ」
33、デリバリーにに出ているサヤ、手にピクニックバスケットを下げている。従業員エレベーターに乗っている。
34、ドアが開く
一人の男が立っていた。
サヤ「智人さん」
男「ヤァ・・」
サヤ「私もう怒ってないわ、気にせず乗って」
35、エレベーター内
智人「元気だった?」
サヤ「そうでもない。あなたが結婚してから、合っちゃいけないと思えば思うほど、電話して声を聞きたくなっちゃって、、、」
36、智人「サヤ・・」
37、サヤ「寂しいの」、「諦めきれなくて」
智人「妻が、、妊娠さえしなかったら、、、僕は今も君と。あの時、同窓会なんか行くんじゃなかった」
38、サヤ「私も、、あの時、やめてって、元カノ参加するの聞いてたのに、正直に行かないでって言えば良かったって・・後悔してる」
智人「ごめんよ、サヤ。良かったら、新しくした連絡先教えてもらえないかな?」
39、エレベーターの扉が開く。どっと人が乗り込んでくる(同じ会議室に参加していた人々、手には同じファイルを持っている)
40、エレベーター奥に押し込まれたサヤと智人
41、サヤ、智人の手を握る(手元アップ)
42、驚き顔の智人、サヤを見る。
43、サヤ、智人の耳元で
サヤ「プチトリアノンにまた遊びに来て」
人目を気にして頷く智人
44、サヤ「すみませーん、この階で降ります」
人をかき分けながら出てゆくサヤ
45、エレベーターホールで扉が閉まるまで頭を下げているサヤ
46、エレベーター内、
「あの子、富士子さんの親友だろう」、「感じいい子だよね」、「プチ・トリアノンの料理も美味くて」
47、智人、やるせない顔
(失ってから惜しくなる)
48、廊下を歩くサヤ
「フフフ、壊してやる」悪い顔
サヤのモノローグ”丁度いい練習になるわ“
49、富士子のオフィス
ドアを開けるサヤ「ミッディティーをお持ちしました」
富士子「わぁー、サヤ。ありがとう」
サヤ「一緒に休憩にしょう、富士子」
B「ご一緒していいかな」
サヤ「富士子に相談事があって・・ごめんね、Bさん」
時間経過
50、デスクを挟んで、向かい合わせに座っているサヤと富士子
富士子「相談事って何?私で役に立つかしら・・」
サヤ「追い払いたくてそう言っただけ。あの人のこと苦手でしょ」
富士子「付きまとういうか、監視されてるみたいに感じるの、だから」
サヤ「わかるわ、なんだかあの人胡散臭いもんね」
51、富士子「大学生の頃からお世話になってるから、子供扱いしてるのかも・・」
52、サヤ「距離感がおかしな人いるよね。ところで、粘菌についての本貸してもらえないかな。富士子の話を聞いたら興味が湧いちゃって」
富士子「ちょっと待ってて」
53、本棚から本を取り出す富士子
54、手渡す富士子、受け取るサヤ
サヤ「久しぶりに知識欲がワクワクしちゃって」
富士子「でしょ!さすがの理系女子!」
サヤ「富士子と研究したかったな」
富士子「サヤ、どうして研究者の道を」
サヤ「あーー、ごめん、ごめん。私が富士子のお誘い断ったんだった」
55、サヤ本を開いて眺めてる
サヤ「両親のお店潰したくなかったのよ。かーさんの夢だったんだ、喫茶店」
富士子「立派な選択よ、サヤ」
56、サヤ「ねえ、この本、付箋ついてるけど、借りしていいの?」
富士子「気にしないで。もう資料にまとめてあるから」
57、ニッコリと笑うサヤ「ありがとう、富士子」