13、あんた知ってたか
1、歩いて来る3人、石橋、サヤの父・太郎と母・典子
父・太郎「待ち合わせってどこで?」
母・典子「疲れちゃった、私」
石橋「すぐそこです。この辺、一方通行多いでしょ。道を間違えると厄介なので」
2、停まっている車
3、石橋「ああ、いました」
母「良かった。足がちぎれるかと思ったよ」
4、後部座席に乗る父と母
ドアを開けている石橋
5、走り出す車
父「で、どっち方面?」
助手席の石橋「横浜です」
6、車内
石橋「シェフ、申し訳ないけど、働きに出てもらいます」
父「なんだって?」聞こえていない。
7、後部座席
父「おい、なんて?」と母に聞く父。
母「あんた、働きに行くんだって」意地の悪い顔で言う。
8、後部座席から助手席へと身を乗り出した母
母「こんな人でも働けるところあるの?」
9、石橋「シェフさえその気になれば、いくらでもありますよ」
場面変わる
10、商店街を歩いているサヤ「何号室?」
智人の声「えっと、ちょっと待って。1212号室」
11、ベットに寝っ転がっている智人
智人「何食べたい?頼んでおくよ。えっ、朋子の弁護士が用意した部屋だから朋子もちだと思うよ」
サヤの声「だったら、一番高いやつがいいな」
智人「わかった。シャンパンに合うやつ頼んどく」
場面変わる・車内
12、父「どこ連れていく気だ!!!」
母「大きな声出さないで、頭に響く!!」
父「お前の金切りもな!!」
13、高速の路肩に止まった車
13A、母を引っ張り出している石橋
抵抗する母「私は!何もしてないよ!!」
石橋「いや、そうじゃなくて。助手席にと思いまして」
14、助手席の母ルンルン
父、ドアに体を寄せている
父「・・‥重労働は無理だよ」
父の隣に座った石橋「体は使いますが、シェフは何もしなくていいんですよ」
15、母「自由になれるーー」
時間経過
16、倉庫
車の後部ドア開いている。降りている石橋
石橋「ここです。この奥に現場がありまして。さっ、行きましょう。あっ、そうだ、生活費をお渡ししないとでした」
17、300万円がのる石橋の手のひら
17A、車から降りて、お金を受け取る父
18、助手席の窓から身を乗り出した母
母「100万ちょうだいよ」
父「うるせーー、バカ女」
19、石橋についてゆく父
20、ほの暗い倉庫の中を歩く二人
21、ビニールのカーテンを開ける石橋
22、大型フックがルイルイとつるされている。
23、石橋「ここの管理をですね、お願いしたくて」
父「そ、そうなの、かい」
24、次のビニールカーテンを開ける石橋
25、石橋「おおおーい」
出てくる男
26、男、いきなり父を拘束する。
27、父「ぎゃーーーーう!!」その見開いた目が見たものは
28、手術台
30、父「な、な、なんで!!」
31、手術台に手を縛り付けられる父
父「や!めて!!!て!!くれ!!」
32、石橋「あんたの甥っ子、当時サヤは小学4年生。その男を家庭教師に雇ったよな」
石橋「その男がサヤの右腕に赤ペンで“I love you“って書いたのあんた知ってたな」
33、石橋「あんた、寝小便する度にパンツ脱がしてサヤの尻を竹刀で叩いてたんだって?」
34、石橋「あんた、サヤが13歳になるまで一緒に風呂に入ってたんだってな?」
石橋「興奮したか⁈」
石橋「もう嫌だって言ったサヤに、見せてあげればいいじゃないってあんたの奥さん言ったんだってさ」
35、運転手にちょっかい出している母・典子
石橋の声「そうだ、あんたの奥さんの左手中指の第一関節、なんで曲がってるんだ?」
石橋の声「サヤと取っ組み合いの喧嘩した時、サヤがわざと手首を返してひねったからさ」
倉庫内
36、石橋「喧嘩の原因はサヤのお年玉貯金をあんたらが使い込んでいたから」
石橋「あんたたち鬼畜か!!」
石橋「今でもちょくちょく金せびりやがって!」
37、足をバタつかせている父「わ!わるか!った!!!」
男、その足を掴んで縛りつけようとしている
石橋「もう遅い。サヤはあんたらを捨てると決めた」
38、石橋「ダメ親に尽くす子供の心理をなんていうか知ってるか?」
場面変え・ホテル
39、シャワーを浴びているサヤ
倉庫内に戻る
40、石橋「優しさだ!!」
41、石橋「まだあるぞ、夫婦揃ってパチンコ行くのに、家じゃなくて車にサヤを放置してたんだって?」
42、石橋「おまえ、昔は毎日、朝トイレを一人じめしてて、我慢出来ずに漏らしたらサヤに、明日から庭でしろって言ったんだってな、お前何様だよ」
場面替え・ホテル
43、チャイムが鳴る。
裸でベットに寝っ転がっている智人、電話している。
智人「今、来た」
サリタリールームから身支度を整えて出て来たサヤ、
44、「助けて!」と叫びながら、洋服を引き裂くサヤ
場面変え・倉庫内
45、石橋「給食費を滞納させてたんだろう」
場面変え・ホテル
46、慌てた様子で部屋のドアを開ける、サヤ。
47、回想、中学生のサヤ
泣いているサヤ、サヤの荷造りをしている母
石橋のモノローグ“家出しろと迫った母親に、サヤがどうやって暮らしてゆくのって聞いたら、お前の妻はなんて言ったと思う?”
場面替え・倉庫内
48、石橋「売春すればいいじゃないのって言ったそうだ」
場面替え・ホテル廊下
49、朋子にすがるサヤ
場面替え・倉庫内
50、石橋「今じゃ本当にそういう女になったよ」
場面替え・ホテル
51、部屋に入ってくる朋子・裸の智人と対面
智人「違うんだ!!」
朋子「何がよ!!!!」
場面替え・倉庫内
52、石橋、男、手術着の男、父の4ショット
石橋「お前の妻はな、バスや電車に乗った時、サヤの運賃は払わなかったそうだ」
手術着を着た男、父のそばに立っている。
その男に父、「た、助けて!!くれ!!」
53、回想・耳元で囁いている母のアップ
場面替え・倉庫内
54、石橋「赤の他人について行けと!そうして改札を抜けろと言ったそうだ」
場面替え・ホテル
55、怒れる・イカれる・朋子「あなたって人は!!!」
場面替え・倉庫内
56、父「し、知らなかった!!ほ、本当だ!!」
手術着の男「準備できました」
石橋「肝臓以外はいけると思う。支払いはいつもの口座に」
男「終わったらLINEします」
57、歩き出した石橋
父「俺のもんだ!!サヤも典子も!!」
場面替え・ホテル
58、いくつかの汚れた皿、空いたワインボトル、水さし、ワイングラス等々がのるルームサービスされたテーブルから、ナイフを手に取る朋子
59、開け放たれたドア前に駆けつける弁護士
弁護士「朋子さん!!」
60、必死のサヤ「やめて!!朋子さん」




