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第95話 ゴルゴーン


「ここまで来てもこの先の気配はないか?」


「はい、正確には生きた魔物の気配はありません」フェアリー


「みんなは少し休憩していたらいいよ、そんなになっていたら動けないだろ」


「お言葉に甘えますー」レオット


俺とヘッカ、フェアリーとヴィーナスでダンジョンの探索を進め、エンジェルは一応防衛に置いていった


「やけに空気が淀んでいるな」


「そうですね、漆黒が捕らわれていた瘴気溜り程ではないですが瘴気ですね」フェアリー


「女神の慈愛ではらえるか?」


「やってみます」ヴィーナス


「この先の魔物はこの瘴気に充てられて自然に滅んだのかな」


「いまのところ思い当たる原因はそれしかないですね」フェアリー


「とりあえずダンジョンコアまでたどり着こうか」


ダンジョン最深層20階層コアのルーム


「ここは瘴気もひどいな、俺が吸おうか?」


「大丈夫ですはらえます」ヴィーナス


「無理するなよ」


「頑張ったら10階までお姫様抱っこで戻ってください」ヴィーナス


「いつもは乗せたがるのに珍しいな」


「大した理由ではないのですが、先程本能のままの奥様パーティを見ていたので少し羨ましくなってしまいました」ヴィーナス


「なるほどな、頑張らなくてもお姫様抱っこくらいいつでもするから、無理はしないでね」


女神の慈愛によりコアルームはなんとか瘴気が晴れて平常の状態になった


「女神ヘカテー!調子に乗るなよ!」ゴルゴーン


「なんだ?」


「貴様!ゴルゴーンか!なぜ思念を飛ばせる!」ヘッカ


「お前のような弱い女神の防御を突破する事など、わらわにかかれば容易いわ!」ゴルゴーン


「ポセイドンやアンピトリテも仲間にして思い上がっているようだが、そんな平穏はいつまでも続かないぞ!」ゴルゴーン


「いつでも相手になってやるよ!」ヘッカ


「笑わせるな!そこの転生者さえいなければ、お前の星に攻め込む事など造作もない。そやつの寿命を待つのも良いが、それでは面白くないのでな、ヘカテーもお前も楽しみにしているがいい」ゴルゴーン


「余計なちょっかいを出してくるならこちらから行くぞ!」


「それも面白いじゃないか…なら転生者よ、わらわの夫にしてやっても良いぞ」ゴルゴーン


「断る!お前が醜いのは姿じゃない、その嫉妬深い心にある、それも神の性なのだろうが、争う事よりも調和する心を持て!」


「ヘカテーには随分と甘やかされているようだな、転生者と言えども人間ごときが神に意見するなど、片腹痛いわ!」ゴルゴーン


「ヘッカに害をなすつもりなら滅びが待っていると思っておけ!」


「まあいい…今度は実体で会えるかもしれんしな、楽しみにしておけ!」ゴルゴーン


「行ったか…なんでゴルゴーンは言葉を届けられたんだ、この世界に崇拝者を得たのか?」


「このダンジョンの瘴気に、ゴルゴーンの思念…確かに嫌な感じがするな」ヘッカ


「このダンジョンにゴルゴーンに関係する気配は感じませんでしたが」フェアリー


「おそらくポセイドンの絡みだな、あやつは脇が甘いからな」ヘッカ


「ポセイドンは問い詰めるとして、崇拝者をどこから得て、どこから攻撃してくるか予測して対処しないといけないな」


「このダンジョンコアは解析しますので預かりますね」フェアリー


「フェアリーも無理はするなよ、そういう何かの根源になっている物を扱う時は、管理者と言えども何があるかわからない、細心の注意を払ってくれ」


「了解しました」フェアリー


コアを回収したダンジョンは時間をかけて階層を消滅させていった


ヴィーナスを抱えて10階に戻ると、みんなはぐっすり寝ていた


「寝顔はみんな子供のようだな」


「心が梳李に抱きしめられて安心しているのですよ」ヴィーナス


ダンジョンの消滅が近付いて来るまで休ませておいた


「とりあえずセントラルのダンジョンは神殿もあるしゼウスも居るから安全だろ?」


「油断はできないけど大丈夫だと思う」ヘッカ


「有力な所はどこだ?」


「ここに瘴気を貯めはじめていた事と、思念で接触してきた事を考えたら、知能のある魔物を餌にしてるかもしれない。ゴブリンキングも手下だったのかもしれない」ヘッカ


「さっきの口ぶりだと、既に足がかりがあるようだったな」


「私もそれが気になったんだよね」ヘッカ


「エンジェルと漆黒とスピリットで捜索させるか」


「そうだねそれしかないかな」ヘッカ


「少しいいですか?コアは大きな魔石と考えて頂いてよさそうです。魔物を産むシステムは記憶されています。ゴルゴーンはおそらくそのシステムを何らかの方法で外部から書き換えたようですね。ゴブリンキングも手下と言うよりは、知らない間に手下になっていたと考える方が自然です」フェアリー


「それならさ、その何らかの方法を逆手にとってこっちから仕掛ける事はできないのか?」


「もう少し時間をかけて解析すると、居場所の特定くらいはできるかもしれませんね」フェアリー


「だがそれは危険だぞ梳李」ヘッカ


「どこに攻めて来るかわからない、広い大地に警戒を張り巡らせる事よりも、こっちから行った方が早くないか?それにその方が被害も少なく済むだろ、ゴブリンキングは討伐対象と言えどもさ、この星の生命をゴルゴーンに触れさせる事は何か許せないんだよな」


「ゼウスにも相談してみようか、ポセイドンとゼウスの娘アテナとゴルゴーンには少なからず因縁がある。それにゴルゴーンを討伐するには、アイギス同様ヘファイストスが作った新月刀ハルパーが必要だ、あと石にしてくるから魔力を反射する鏡のように相手を映す盾が要る、それはアテナの持ち物だ」ヘッカ


「青や赤では無理なのか…盾も作ったらダメなのか?」


「そういう所は神の真理の話でさ、それでしか倒せないという条件に縛られているんだよ」ヘッカ


「ちっ!めんどくせぇな」


「ゼウスと仲良くなっていて良かったよ、直接手を貸してくれる事はないと思うけど、梳李が行くと言えば環境くらいは整えてくれるだろ。ポセイドンとも合流して対策を立てる必要がありそうだ」


「それならゼウスに会いに行こうか」


「みんな起きろよー!ぼちぼち移動しないとダンジョンの飲まれるぞー!」



第96話に続く


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