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第93話 奥様パーティ


大森林のダンジョン攻略の日がやってきた、アスコットを初めオリビアや非戦闘員のミーティアまでが防具に身を包みやる気満々である


フェアリーにダンジョンの状況を聞いたみんなは少しでも戦えるようにと、それぞれの思いの中で準備をしたようだ


盾にサラとアン、アンはこの日の為にサラから特訓を受けて仕上がっているらしい、前衛剣士にアスコットとイザベラとレオット、攻撃魔法士にファニーとオリビア、オリビアは炎のティーポットをフェアリーから更に改良してもらって、中遠距離タイプに変更したらしい、弓士としてアリアナとピーシス、付与補助魔法士としてミーティアという10人のパーティが編成されていた


「気合い入りすぎてないか?」


「実は非戦闘員の私達も梳李やエンジェルが暴れるのを見ていて、血は騒いでいたのです」ミーティア


「そうなのかい?気負い過ぎてはダメだよ。戦闘で一番大事な事は平常心だからな」


「私も今日までアリアナに稽古を付けてもらいましたからバッチリですよ」ピーシス


「アンは冒険者の経験があると言っても最前線で盾は無理してるんじゃないか?大丈夫なのかい?」


「はい!任せてください!」アン


「心配しなくても大丈夫ですよ。お姉ちゃんはお姉ちゃんでそれなりにやれますから」サラ


「いざとなったら俺達もいるから大丈夫だとは思うけどさ」


「ポセとアンピはツキジに行っています。最近は海人族をとても大切にしていますよ」フェアリー


「それはいい事だな」


「梳李は心配性だから言っておきますけど、みんなちゃんと戦えますよ。毎日鍛錬も欠かさずやって来ました。それは今回のダンジョン攻略を計画する前からです。戦いに参加する事がなかったとしても、梳李の妻として最低限の戦闘力は身につけたいといって、みんな努力をしてきました。それにダンジョンに入れば斥候は私とヴィーナスが務めますから、なんの問題もありません」フェアリー


「そうだったのか、なんとなくはわかっていたけど…本気でやっていたのなら俺も一緒に訓練すれば良かったな。アドバイスも出来ただろうし、相手もしてあげられたのに」


「今後も続けるでしょうから、たまに見てあげてください」フェアリー


ファニーと話していた時にも感じたけど、みんなもそれぞれの思いがあって、妻として自分の成すべき事を見つけたいのだろうけど、そう思って仕事や責任を与えると一緒に居る時間がなくなるという理由で、複雑な気持ちを抱えながらもできる努力を一生懸命にしている。そんなみんなを見ている俺は、その事にかける言葉もなく、何もしてあげられない事が、どうしようもなくジレンマになってしまう


とても良好な夫婦であると自負はしているし、特にそういう事がストレスな訳じゃないし、もちろん不満がある訳では無い、ただ妻を持ってみて初めてわかった事だけど、相手を想えば想うほど、自分の無力さを感じる事になるようだ


「みんなにわがまま言ってもいいかな、俺さあ客観的にみてこのパーティがまあまあやれると思っているけど、俺はみんなの事が好きで好きで仕方がないから、戦闘中はハラハラドキドキして気が気じゃないと思うんだよ。みんなの戦闘力を理解してないわけでも、信頼してないわけでもないんだけど、思わず参戦しちゃっても怒らないでね」


「ほんとに梳李は心配性なんだから」アスコット


「だけどさあ、俺はこの前アリアナが風邪ひいて熱出した時でも、つらそうだなあって思ったら、いてもたってもいられなくなって、こっそりエクストラヒールをばんばんかけちゃったしさ、みんなが苦労をしている姿をみるくらいなら、自分が苦労したくなるんだよ」


「やっぱりあの時は梳李が回復してくれたのですか、一瞬横になっただけなのに、いつもより元気になったからおかしいなあと思ったんですよ」アリアナ


「あのね…アスコットがツキジで汗を流しながら一生懸命に剣を向けて来た時もそうだったけど、一生懸命な姿を見てるだけで、大袈裟に言うと感動しちゃって少し涙腺が緩くなるんだよね」


「はじめておつかいに行かせた子供をみてる訳じゃないんだから」サラ


「だけどさあ」


「はははははっ!梳李らしいね」ヘッカ


「私達もそういう気持ちを知っているから、大切にされてるなあとか、愛されてるなあと実感する事も事実だし、我慢できなかった時は仕方ないですね」ミーティア


「特にアンとサラはかなり大きめの安全マージンを取ってね」


「はーい♡わかってますよ」アン


「ぼちぼち到着しますよ、軍師は私が務めますし、このダンジョンはダンジョンでありながらも、長い年月をかけてゴブリンの巣になったようなので、最下層のゴブリンキングがダンジョンマスターです。体長は5m以上ありますが奥様パーティで踏破できないダンジョンではありません。梳李も強い心でみんなを見守ってあげてください」フェアリー


「そうだな…それしかないよな…それなら出陣の挨拶だ!骨が軋む手前まで抱きしめる!」


「ふふふっ!ありがと♡」


はじめにゴブリンの見張り部隊と早速戦闘が始まった、サラのターゲットはパワーアップしていて発動すると、知らせに戻りたいゴブリンまでを引き付けた、アスコット、イザベラ、レオットの波状攻撃もしっかり連携が取れていて、盾役のアンとサラに接触する暇も与えずに斬ってのけた。形勢が不利だと認識し本能的に逃げる数体のゴブリンに対しては、ファニーとオリビアが火を放ち、アリアナとピーシスの弓が確実に仕留めて撤退を許す事もなかった


「見事なお点前でした!」


「ダンジョン内でのゴブリンは通路を上手く利用して来ますし、隠し通路からの攻撃も考えられます。狭い通路では剣が振れないため、前衛剣士は突きをメインに、対峙したゴブリンが多い時は中衛のファニーとオリビア、後衛のアリアナとピーシスに任せるように道を開けてください」フェアリー


確実な指示が飛びみんなもしっかりと呼吸を感じている、なにより通信機は優秀で円滑な伝達を無音でする事ができた


「通路はいませんね、一気に広間に行きましょう。囲まれるので右側をアン左側をサラ、アンに来るゴブリンはオリビアとアリアナで、サラに来るゴブリンはファニーとピーシスで、中央は剣士で一気に斬りこんで道を開けてください」フェアリー


見事な作戦と連携だった、アンが引き付けたゴブリンの群れ15体、落ち着いて対処するオリビアとアリアナ、アリアナの弓の技は速さ切れ共に以前よりも数段レベルアップしていた、オリビアのティーポットも連射可能になっていた


サラの方はファニーの制御力の高い広範囲魔法とピンポイントにピーシスの矢が飛んだ


アリアナ達は速い足を最大限に活かして駆け回り斬り伏せた、階層主のホブゴブリンがどの個体か認識できないような速度で両断していった


そのようにしてあっという間に地下1階~5階まで制圧した


「地下6階にはゴブリンメイジがいます。魔法攻撃があるのでプロテクションを張りますが、サラとアンはオールラウンドターゲットを発動して全フロアを釘付けにしてください。攻撃のメインはファニーの大魔法とアリアナの連射弓でいきますよ」フェアリー


6階に降りると早速ゴブリンが放つ火の玉が飛び交った、その程度の攻撃がフェアリーのプロテクションに危機を及ぼすはずもなく、サラとアンに集中させられたゴブリンメイジやホブゴブリンはあっさりとアリアナの弓に貫通され、ファニーのファイアウォールの前に全滅した


「ところでゴブリンキングがダンジョンマスターに間違いはないのですが、住処は地下10階層ですね、コアはおそらく地下20階層なのですが、その先の気配はまだ認識できません」フェアリー


「とりあえず奥様パーティでダンジョンマスターまでを仕留めたらいいんじゃないか?想像した遥かに上を行く戦闘力だったよ。みんな頑張って鍛錬を積んで連携の練習もしたんだね。帰ったらいっぱいみんなで甘えてね」


「過保護ですねぇ」イザベラ


「梳李に子供ができたら大変だよね」アリアナ


「俺はみんなの事もだけど、子供も束縛しないし人生は本人の自由だよ」


「それはそうだろうけど可愛がり方が大変だろうなと思って」アリアナ


「子供もそんなに愛されたら幸せだよ」オリビア


「早く欲しいね」ミーティア


「う、うん…さて、7階8階も今みたいな感じらしいから慎重に攻略しようか」


「ふふふっ♡」ミーティア


「ごまかしてないよ、俺も欲しいと思ってるよ」



第94話に続く


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