第82話 再戦!ポセイドン
「トライデントがあればもう梳李にも遅れをとらんぞー!」
「ポセ忘れたのか?俺にはリュウグウノツカイが残したスキルがあるんだぞ。いっちょもんでやろうか?」
「こんなに挑発的な梳李は見た事がないな。乗らぬは無粋と言うものよの!」
「やるか!」
海上に出るなり模擬戦がはじまった
開幕速攻、テレポートでポセの背後から回し蹴りで吹き飛ばす、勢いよく飛ばされたポセが海面を小石のようにバウンドしていく
「もう一本お願いします!」
今度は海面から空中の俺に目掛けてトライデントが超高速に投げられた、間一髪交わした矢先、今度は背後からトライデントがポセの手に戻るように俺に襲いかかる、バク転をしてトライデントに乗り込む、ポセ目掛けて戻るトライデントの上から顔面に膝蹴りを入れる
「まだまだー!」
以前と比べると数倍早くなった槍術を繰り出してくる。堪らず俺も赤と青で応戦する、撃ち合う戟と大剣は様々な閃光を放ちながら火花を散らす
カン!カン!キン!ギー!カン!
海を持ち上げ、波を立てて打ち合いは長く続いた。リュウグウノツカイはとても便利だった、大剣で受け止められない攻撃には海が盾になってくれた、踏ん張りの効く足場が欲しいと思ったら、海面を固めて足元にはり付いた
カン!カン!ザザ!
「どうしたポセ!こんなもんか?」
「まだまだー!」
「俺も本気で行くぞ!」
左手に持った赤がポセの足場の海面を粉砕する、間髪入れず右手の青の斬撃が閃光を放ちながらポセの腹部に炸裂する
「いやーーー!」
数100m飛んで行く
「ホームラン!」アンピ
「おおー!」海岸の奥様連中
「いやー!酷い目にあった、梳李は強すぎるんじゃないかの?」
「多分自力はポセの方が上だと思うよ、ただ神としてもともと持った力に頼りすぎていて、戦闘と鍛錬で培った、俺の剣技や柔軟な技に着いて来れないだけだ」
「例えば大剣でも一刀両断から横閃光斬り、斜めに振り下ろした大剣を返してはね上げ斬り、二刀流でも縦平行斬りから横平行斬り、クロス斬りから返しのクロス斬り、色んな場合を想定して縦横無尽に剣を繰り出せるように鍛錬を積んだんだよ。ポセも人の身体のままに槍術をもっと鍛錬すれば、俺の速さにも充分に着いて来れるようになるさ」
「はーい!その辺でいいですか?みなさんお待ちかねです」アンピ
「私達は平気ですよ、梳李の剣技を見てるだけでもずーっと退屈しない」アリアナ
「素敵ですー!」ファニー
「こんなに旦那様の戦闘は美しく光り輝いているのですね」レオット
「梳李♡相変わらずかっこいいね」ミーティア
「ミーティア!抱きつくのはずるいー」サラ
「まあまあ、また見る機会もあるさ、ポセは毎日鍛錬を欠かさないようにな、こうして防具を外して服も脱いで、どこの筋肉が必要かを感じながら感覚を研ぎ澄ませて、振り抜く!そして振り抜く!合わせ技を繰り出す!そして繰り出す!何回も何十回も何百回も繰り返すのみだ」
「なれて来たらイメージの中に強敵を住まわせてそれを斬る、必ずかわされるから返し技を繰り出す、またかわされる…イメージの中の強敵はとても強い、攻撃が当たらないんだ、だから速くなる、目で追えない程に」
「わかったぞ!また稽古を付けてくれ!」
「ああ!いつでもいいぞ」
「梳李!今度は少しで良いから私の攻撃を大剣で受けて!」アスコット
「みんな待たせてるから少しならいいよ」
アスコットは猛スピードで襲いかかってきた、剣撃を大剣で受け止めたりいなしたりかわしたり、アスコットも成長しているな、トロルキングに囲まれていた時とは大違いだ、汗をかき何度かわされても向かってくるアスコットが急に可愛くてたまらなくなった、最後の突きをかわして抱きしめた
「強くなったな、アスコット♡」
「裸の梳李にそんなに強く抱きしめられたらおかしくなりそうだよ」
「新婚旅行だしいいじゃん、可愛いよアスコット♡」
「むぐっ、と、とろけちゃうよ♡」
「それは反則ー!」他の奥様
「次は私ー!」イザベラ
「ヴィーナスは相変わらず、空いている背中をキープするのな」
「はい♡」ヴィーナス
セントラル会議から緊急招集がかかった、各国に情報収集にもどっていた役員達が戻ってきたのだ。おおよその見当をつけた上で巨大工場にしろ、スタジアムにしろ建設して、間もなく完成するのだが、希望人員を確認したところ、想定を倍する人数だった。国内が過疎化するのは不味いと言う事もあり、若干の修正を加えて完成間近の工場と社宅を増築した、スタジアムに関しては開催日を3日間とる事で決議した
本大会をトーナメント形式にして、初日半分、2日目半分そして最終ラウンドという風に3日間に分ける事となった。各国の予選大会では本戦出場の16グループを選び、入場料も初日と2日目は少し安くして、最終日は少し高く設定した。誰でもセントラルに観光がてら世界大会を観戦できるようにする為だ、それだけでは最終日が特権階級のステイタスシンボルとなってしまうので、同時観戦ができるように開発中のテレビモニターの完成が急務となった
「バッシュ、選りすぐりの精霊術士をもっと借りる事はできないか?」
「どうした?梳李からお願い事とは珍しいな」
「世界大会にともなって現在開発中のモニターを大至急完成させたいんだ」
「わかったすぐに向かわせる」
「私も精霊術には長けているのですよ」ミーティア
「そうだったのか?それならミーティアも頼む」
「本国からこちらに来る人員に加えて、今のうちに父や母も迎えに行きましょう、私の先祖は精霊術の始祖なのですよ」ミーティア
「あんな残念な一族が!」
「ちょっとまって梳李、心に思った事が漏れているけど」ミーティア
「え?声に出していたか…」
「残念な事と精霊術には連動性はないから安心して、ふふふっ♡」ミーティア
そしてモニターは完成した、はじめは世界大会の観戦用に世界中の街にある公園に試験的に設置する事になった。微精霊が繋がって映像や音を同時に運ぶ事が出来るらしい。詳しい仕組みはわからないが、フェアリーやミーティアの話では、感覚共有のようなもので、精霊同士はは伝えられた事をそのまま伝達できるようだ
この技術を使えば通信面も画期的に飛躍する、問題は大量生産のタイミングをいつにするかという事になった
「便利な事はいい事だけど、便利すぎるのはどうかと思うんだよなー」
「梳李が思うようにタイミングを測ればいいじゃない」ミーティア
「そうですよ梳李、技術だけ完成させておいて、世の中の動向を見ながら発表すれば良いのですよ。国王相手のホットラインにしておいて、試験を繰り返しておけば良いのです」フェアリー
「それならどの商品も最新式を売り出した時には旧式もアップグレード出来るようにしてくれるかな、地球のメーカーってやつは持った技術を小出しにして、後から後から新商品を出すから、少し待ってたら良かったって事が多かったんだよ。買った事を後悔させないように配慮しておいてくれるかな」
「ふふふっ、わかりましたよ」フェアリー
「ところで世界の共同工場の製品はなんという名前にするのですか?」フェアリー
「製品名は冷蔵庫や洗濯機やテレビモニターで良いとして、メーカー名はワールドでいいんじゃないか?世界という意味だよ」
「ヴィーナス、エンジェル、フェアリーの時にも思いましたがいつも安直だな」フェアリー
「フェアリーさん?心の声が漏れてますけど!」
そうやって大量の魔力を提供しながらワールドは巨大工場を完成させ、6カ国の共同事業ははじまった。大会本部も音楽の祭典を発信して、予選大会の日程が決められていった
確かにいつも安直なのよなー_(┐「ε:)_ズコー
第83話に続く




