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第73話 観光宿場街サメハダ


セントラル議会大会議室


「ぼちぼちなにかしらのイベントは開催出来そうかな」


「現在様々な案をまとめて現実可能なものから形にしていってますよ」フェアリー


「大会企画室も結局フェアリーがやっているのか」


「第1回の最有力候補は音楽の祭典ですね。意外と各国に独自の路線があって面白そうですよ」フェアリー


「いいじゃないかあ!近々サメハダの街の温泉に各国首脳を招待しようと思っているから、あそこの演奏場でランダムに披露してもらおうか」


「いいですね、運営する際の参考になります。是非計画しましょう」フェアリー


「それなら日程調整や参加者も含んで決定事項を伝えてくれたら良いよ。俺は街の完成が間近だから、応援に行ってくるよ」


「あと、ヘカテーからは舞踊部隊の歌と踊りに合わせて、海人族が水の中から優雅に飛んだり跳ねたりするような共演を計画しよう。演奏場に大きなプールを作れるように改造しておくよ」


「わかりました、演技指導と併せて発注しておきます」


サメハダ領観光宿場街サメハダ


今回は工事の最終応援とセブンスターズや店舗スタッフ、メイドや執事の慰労も兼ねて全ファミリーで集って訪問に来ていた。フェアリーだけは激務の最中だったので後ほど合流する予定だ


「兄上!久しぶりですね!元気にしておられましたか?」アスコット


「いよいよ大詰めだよ、話で聞いただけでは想像もできなかったけど、ここに全国や世界から人が訪れると思うと胸が踊るんだよ。設計図通りに街が出来上がって来たら、梳李の構想通りだから少し感動している」ガブリエル


「ガブリエルは元気そうだな」


「梳李も久しぶりです、血が沸き肉躍るとはこの事です!具体的に形が見えて来たらここが観光地として、いかに優れているかがわかります。観光客の訪れと共に病院も開業出来るようになっています。温泉旅館は先に完成させたので、街の作業員にも使わせていますが、好評で仕事もはかどります」ガブリエル


「ここはガブリエルとアスコットの大切な街になるのだから、じっくり味わえばよいさ。あとな演奏会用の劇場を改造したいんだが良いか?最前列の真ん中付近の座席を収納出来るように改造して、プールを出せるようにする。海人族が水中で演技出来るようにしたいんだ」


「海人族とはなんですか?」ガブリエル


「ああ、ガブリエルは街道整備とこの街にかかりきりだったから知らないか…新たなヘカテー王国の住人だよ。こっちがポセでこっちがアンピ、俺が率いる新たなセブンスターズのメンバーなのだけど神様でな、海人族という眷族を持っているんだよ」


「ガブリエル殿と申すのかな、ポセと言いまして梳李の元で修行中です。よろしくお願いします」


「こちらこそよろしくお願いします。ファミリーのルールで敬称は付けないことになっていますので、ポセもこの街を楽しんでいってくださいね」


「ガブリエルとアスコットが揃ってる所でちょうど良かったよ。アスコットは俺の妻になったから少し関係なくなったけど、ガブリエルはアンダーソンに戻って家を継いでも構わないよ。マシューもいまやロドリゲスの貴族の憧れの的らしいしな。いまのガブリエルなら弟達の事も含んで上手くやれるだろ」


「その話の前に紹介したい者がいます。エリウスをこちらに」


「梳李様はじめましてエリウス・エドワーズと申します。エドワーズ家は取り壊しになりましたので、いまはエリウスと名乗っています」


「エドワーズ家の娘さんですか、俺の事は恨んでいないのですか?」


「とんでもない、悪いのは父上です。欲を出して暴走した挙句、罪の無い民を巻き込んでまで争いを起こしたのですから当然の報いです」


「それで梳李、エリウスとは事後処理の時に王家を挟んで知り合ったのだけど、妻に迎えようと思っているんだよ」ガブリエル


「おお!めでたいじゃないか?」


「エドワーズ家と聞いて反対しないのか?」


「そんな事まで俺がとやかく言う筋合いもないし、ガブリエルが気に入った人なら、良い娘さんなんだろ?おめでたいじゃないか」


「ありがとう!」


「それなら俺からウエディングドレスとタキシードを贈るから、結婚式をセントラルの神殿でやってくれないか。いま巨大な神殿を建設中でな、創造神ゼウスと女神ヘカテーと大地と海の神ポセイドンと海の女王アンピトリテの神殿だ。祝福の鐘もあるからさ、セントラルでは新しく結婚する2人を神が祝福するというように、新らしい結婚の形を作りたかったんだよ。セントラルも冒険者を中心に国際結婚も珍しく無いようになってきてな。どっちのしきたりを優先するかというめんどくさい話が多くてな、いっそセントラル流の結婚式をと考えていたんだ」


「なんかすごそうな話だね」


「きらびやかになるぞー!一生の思い出に残る結婚式がセントラルの当たり前になる日がすぐに来る」


「私達にもウエディングドレス着させてね」イザベラ


「もちろんだよ!俺は同時に11人の花嫁がそれぞれのウエディングドレスを来て執り行う事になるけど、それも派手でいいじゃないか」


「うん!夢があるね、女の子は子供の時から憧れると思うよ」ヘッカ


「梳李は結局11人を奥さんにしたの?」


「そうなんだよ」


「なんとも豪快だなあ、正妻は誰なんだ」


「全員が正妻だよ、寝る時もみんな一緒だし」


「みなさんヤキモチは妬かれないのですか?」エリウス


「妬かないよ、とても大切にされてる実感はいつもあるから」アスコット


「はい」アリアナ


「さっきのアンダーソン家の話ですが、私はあくまでもサメハダとして生きたいと思います。弟達が力及ばずアンダーソン家に領地が与えられなかったとしても、それも父上の願いでもあるのです」


「それなら良いけど、ガブリエルももう自分で判断する時も来ている。相談には乗るけど独立しても良いんだからな」


「わかっています!私自身の心のままにケズリファミリーとして、今後も頑張りたいと思います」


その後、障害物の撤去や街道整備の困難な場所、ルイーダ達が手を焼いてる場所に走り回った。フェアリーが合流してからは演奏場を改造し、建設中の建物を大幅に進めたり魔法力を駆使しながら、改善と改造をしまくった


「完成したら世界中から来賓がきて、街を案内するからな、世界各国から演者も集ってお祭り騒ぎになるから準備しておいてくれよ」


「凄い催しですね、サメハダ領が一気に世界のスタンダードですか?」


「観光については既に各国も力を入れているからな、世界外環連絡路はその為にあると言っても過言ではないし、製品開発や文化交流の甲斐もあって、世界中が好景気に沸いているからな」


「ヘカテー王国に繋がる連絡路には大自然の景観を見る所があるんだよ。落差100mの巨大な滝や、魔物が生息する巨大な湖とかな、観光客用のダンジョンの疑似体験というアトラクションもある」


「世界中にそんな楽しそうな場所を作っていたんですか」ガブリエル


「魔人の国ギガントからは、ズーダンに向かっても、クラフトに向かっても、ワイバーンが群生する巨大な谷もあるんだよ」


「セントラル議会では観光しやすいように、祝日という長期休暇の制度も可決された。大きな変革のうねりの中に俺達は居ると言う事さ」


「サメハダの街も負けていられませんね」


俺達は温泉旅館を堪能し満足なサメハダ見学になった。温泉が一緒に入れないと奥様方は少し文句も言っていたが、システムを説明すると納得してくれたようで、満足そうに温泉を味わっていた。宴会場で食事を取りながら、地球で若い頃にかじったギターで、弾き語りのような漫談のような物をした。それなりに笑って楽しんでファミリーのみんなも気分転換はできたようだった



第74話に続く


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