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第65話 月明かりの下で


しばらく歓談したあと離れに案内された。アリアナに聞いていた通りの作りで、アイザック父上にはしっかりお礼を言って自由に使わせて貰う事になった。広いお風呂にはお湯が張ってあったのでアゾプションを唱えてストレージにしまった


「今日は天気が良くて月も星も良く見えるから草原に散歩に行こう」


エンジェルに乗って街から離れていて人の来ない場所を選んで降りた。遠くにズーダンとの連絡路がある山肌も見えて、広がる草原に星が降り注ぎそうな夜だった


「なあ一緒にお風呂に入ろうよ」


「それでさっきお湯をストレージにしまったのですか」フェアリー


「そうなんだよ。同じくらいの大きさの穴を作るから少し手を貸してくれる?」


「かまいませんよ」フェアリー


フェアリーと共に作った穴は立派なお風呂になった。お湯を張りみんなで一緒に入った


「みんないつもありがとう、自由に世界を行き来できる事も、世界に貢献できる事もみんなのおかげだから…ほんとに感謝している」


「どうしたの?あらたまって」アリアナ


「今日みたいに家族で団欒してるとさ、自分の生活習慣がどれだけ異質なのかと思い知らされてさ、それに付き合わされて振り回されるみんなは、自分の意思よりも常に俺を優先してくれているから、大変だろうと思ってさ。家族で食事をしながらそれを考えていたら、みんなが無性に愛おしくなったんだ」


「女は確かに決断力には欠ける所があって、一般的には男の人に寄りかかって、依存して生きているように思われがちですが、個人差はあると思うけど、生存競争においては男の人の何倍も長けていると思いますよ。それを考えたら梳李が思うよりも、はるかに女はしたたかでたくましいのですよ。イザベラが見せた姿が普通だと思いますよ」アリアナ


「それもなんとなくわかるんだけどな、俺はみんなを愛しているから、守りたいと心の底から思うよね。弱い相手だから守りたいって気持ちじゃないんだよ。悲しんでる姿を見たくないとか、笑顔が絶えないように守りたいとか、そんな感じかな」


「梳李のそういった優しさはみんなが理解しています。そうじゃなかったら何人も妻の居る人と共に歩もうとは思わないでしょうし、また妻同士も嫉妬を超えた所で梳李を支える同志として団結しているのですよ」アリアナ


「ありがたい事だな、お互いの愛情が互いを思いやる感謝の気持ちで満たされた時に、はじめて夫婦になれるのだろうと思っていた。だから自信がなかったのだけど、愛情を超えた愛情で俺は包まれているのだな」


「それは私達も同じですよ」オリビア


「そうだよ女神が温もりで包まれる程の深い愛情で、梳李もまた私達を優しく守ってくれているんだよ。お互い様だよ」ヘカテー


「ひとりひとりじっくり見てもいいか」


月明かりに照らされるみんなの身体はとても美しく、独り占めするのは贅沢の極みだった。色々言った所で今まで我慢してきただけで、大好きなみんなの事はずーっと求めていた。込み上げてくる感情を抑えきれなくなった俺は、立ち上がってひとりづつ強く抱きしめていた


「嬉しい…そしてたくましい…」


「幸せです」


「ヴィーナスは大丈夫なのか?純潔を守る必要があるんじゃないか?」


「梳李だけに誓う忠誠もまた純潔です。それに何よりも進化した私は強く梳李を求めています。抱きしめられるだけで込み上げてきて、私は欲しいと願っています」


「ヴィーナス綺麗だよ。愛している」


「私達の事も好きにしていいのですよ」オリビア


「私達は2人ともはじめてだからコツがわからないけど…して欲しい事があったら言ってね」アリアナ


「みんな一緒でごめんな、多分2人きりになれる時はないと思う」


「それが私達の日常ならそれはそれでいいじゃないですか。誰が一緒だとしても思う存分愛してください」アリアナ


「その代わり私達も寝てる梳李にも遠慮なく色々しちゃいますね」エンジェル


「その遊びにはエンジェルも参加してたのか」


「私もドラゴンの知恵や風習やりも、人としての気持ちの方が強くなって、梳李を求めてしまうんだよ」エンジェル


「エンジェルだけは比較的淡白だと思っていたのに、確かに今日は情熱的だね」


「恥ずかしいよ。嬉しいけど」エンジェル


「アリアナ、月が綺麗ですね」


「幸せです、私が上になって唇を強く重ねてもいいですか」


「思うままに自由にすればいいよ」


「オリビア、ほら月が綺麗だね」


「ティーポット以上の火炎が吹き出しそうです」


「はははっ、それなら吹けばいいじゃん」


月明かりが照らす草原で俺達は自由気ままに愛し合った。俺も興奮してくると魔力をまとうらしく、その魔力は相手にも流れるようで、身体にはとても良いそうだ。それと疲れる事のない身体も味方して、いつまでも愛し合った。流れ星が祝福してくれるているようだった


生前の俺はこういう行為も含んで全ては女の子を満足させる為の仕事のように思っていた。定期的に食事をしたり、定期的にお出かけするのと同じで、彼氏である以上彼女の心を満たすために何事も努力するべきと考えていた


こんなにも自分の心に素直に人を好きになった事はなかった。自然に愛おしいと思えた事もなかった。ふとそんな事を思い返していたら、なぜか感動と幸福に包まれて涙が流れていた


地球に心残りがある訳ではないが、こんな風に愛してあげる事が出来ていたら、数人しかいなかった彼女たちも、もっと幸せだったかなと少しだけ申し訳ない気がした


「夜が明けちゃうな、みんな満足したなら帰ろうか」


離れにはとてもふかふかのベットが用意されていてみんなで身体を寄せあった。アスコット達も連れてくれば良かったと思った。くっついてくるみんなの寝顔を眺めながら、アスコットやミーティアをどこに連れていこうか考えている時間はとても幸せだった。いつの間にか寝ていた


早朝からやつが勢いよく登場するまでは



第66話に続く


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