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第62話 奥様は


「オリビアー!」


「はい!なんでしょうか?」


「オリビアの実家だけまだ挨拶に行ってないから行こうと思うんだけど」


「良いのですか?大賢者様が来訪したらうちの家族はぶっ飛びますけど」


「大賢者はウィリアムがくれたものだし、立場なんてなんでも旦那は旦那じゃん。ただの梳李の訪問だよ」


「オリビアの家に行くなら私も一度帰ろうかな」アリアナ


「2人の家は繋がりはあるのか?」


「オリビアの父親が私の家の執事ですよ」


「2人は幼なじみなのか?」


「はい!子供の頃はお嬢さんと呼んでいました。お転婆で手に負えませんでしたし、なんど巻き添えをくって怒られたことか」


「なんとなく想像できるから不思議だな」


「オリビアも負けず劣らずでしたよ」


「やっぱ子供の時から…いやその話はいいや」


「大きかったですよ」アリアナ


「人の心を読むんじゃなーい!」


「最近星詠みのできるボルドーにたまに教わっているのですよ」アリアナ


「ボルドーは星詠みができるのか…魔王城の星詠み部隊には志願しなかったのか?」


「採用試験は受けましたが次点でした」ボルドー


「優秀なんだな。ルシフェルも星詠みの事はとても信頼していた。報告が来てない事を、裏切られたと激怒するほどに」


「ギガントでそんな事があったのですか」ボルドー


「結局ルシフェルが悪かったんだけどな」


「そういえば緊急で式典が開催されると、本国から緊急連絡があったと、冒険者組合のノアさんが大騒ぎしていましたが、なんの式典があったのですか?」ボルドー


「ああそれなあ、原初の魔王サタンの遺言に則った式典だったぞ」


「それってもしかして原初の魔王の称号ですか、建国以来受賞者はいないけど、受賞できるような英雄になろうって、全国民がそうやって育てられるのですけど…選考基準は時の魔王にしか閲覧できない、サタン様の遺言があると伝えられています」


「ん、んん…それだったな」


「おめでとうございます!原初の魔王様!生命ある限り忠誠を誓います!」


「わ、わかった…それより星詠みに長けた者は魔に飲まれる事も多いらしいから、忠誠心を自分に対する戒めとしてくれよ」


「はい!心得ました!」


「なぁに?今度は魔人国家ギガントでやらかしてきたの?」アリアナ


「やらかした訳じゃないんだけど、黒竜王の守護もギガントがやっているらしくてな、巡り巡ってそういう事になった」


「ロドリゲスとギガントから特別称号を受賞して、エルフの国でも名誉族長だから…クラフトやズーダンも何かしらの称号を作るかもしれないね」アリアナ


「そういうの疲れるんだけどな」


「梳李はそうかもしれないけど、ここの仲間はファミリーの一員として、梳李が賞賛される事が誉れなのだから、めんどくさい事ばかりじゃないと思うよ」アリアナ


「そうかもしれないな。人が自分をどう評価するかを、気にする性格は持ち合わせていないけど、誰からも認められるような人であろうとする事で、常識的な振る舞いを心がけたり、強くありたいと願う向上心にはなってきた。みんなの抱く誉れって物が自分自身に向いて、努力や向上心に繋がるならいい事だな」


「私もメイドの世界大会があれば優勝を目指すのですけどね」オリビア


「面白そうだな…やるかメイドの世界大会」


「本気で言っているのですか?」オリビア


「ああ本気も本気、本気しかないぞ」


「冗談と受け流してくれて良いのですけど」オリビア


「セブンスターズのオーディションでもあれだけ盛り上がったんだ。メイドの世界大会はもっと盛り上がるだろう。執事部門もやればいいじゃないか、あと庭師や修繕大工部門も作って、普段は屋敷の中の縁の下の力持ちとなっている者に光を当てれば、地位の向上にも繋がるし、どんな仕事でもプライドを持てるじゃないか。とても良い催しだと思うんだがな」


「やるのなら狙うは初代女王一択ですけどね」オリビア


「大食い選手権や、彫刻家の大会、鍛冶師の大会や音楽の大会があってもいいな。良し!セントラル議会に専門のセクションを作ろう!腕を競い合う事で技術の向上に繋がるし、娯楽が少ないから、お祭りはたくさんあってもいいじゃないか」


「また得意の思いつきですか?」アリアナ


「楽しそうな事をみつけると相変わらず目が輝いて来ますね」フェアリー


「楽しそうってのは間違いないんだけど、類まれなる才能があったとしても、日の目を見ずに埋もれて消えてしまうケースは少なくない。今のところセントラル議会が発信しなければ、各国からは自由な発想は生まれてこないし…セントラル議会の専門チームが企画立案をして、各国に発信した上で、国内で予選大会を開催してもらい、世界大会をセントラルで開催すれば、人材の発掘に繋がったり、特殊な技能が日の目をみるきっかけになったり、何かしらの新たな流れが出来ていくだろう」


「そうだね、いいと思います」フェアリー


「私は大会委員長として挨拶すればいいのかな」ヘカテー


「へっかちゃんはもう使えないよ」


「なんでさー!」


「あのさあ、あなた女神なのだから、笑いが取れたことにそこまで満足しなくてもいいんじゃないの?」


「まあそれもあるのだが、翼で大空を舞い女神が降臨すると、観衆が一斉にひざまずき手を組んで、大いなる尊敬の眼差しで見つめてくれるのだよ…」


「癖になったと?」


「は、はい…」


「そっか!それなら大会委員長はヘカテーにお願いしよう。大会の各賞の受賞者も女神の祝福を受けたようで、大きな誇りを持つことができるだろうしな」


「ほんとか!梳李ー!大好きだよー!」ヘカテー


「ホームで話をする女神様と梳李を見ていると、どっちが神様かわかりませんね」エル


「そういうの気にしたらキリがないよ」アン、サラ


「ところでデイビスに行ったらダンジョンの点検もしたいから、アリアナもオリビアも一緒にダンジョンに行こうな」


「私もですか?私は戦う(すべ)を持ちませんよ」オリビア


「俺もアリアナも居るからどうにでもなるよ。ダンジョンを観光のひとつにして、冒険者の疑似体験が出来ないかと考えていたんだ。一般人の感想を聞きたいから協力してくれると助かる。どうしても怖かったら無理をさせるような事ではないのだけど、フェアリーが最高のメイドスタイルの防護服を作ってくれるし危険はないよ。一応武器も持つか?」


「武器を扱った事はないのですよね」オリビア


「火を噴くティーポットとか、雷撃を放つカチューシャとか、なんでも作ってあげるけど」


「強固なメイド服に身を包み、火を噴くティーポットを操る冒険者って伝説になりそうですね」アリアナ


「おまかせします。私でお役に立てるのなら、この生命は梳李のものです、お好きに使い捨てください。万が一の時の最後の瞬間は、強く激しく抱いてください」オリビア


「俺が守るから危険はないし、そんなに大袈裟なクエストじゃないよ、あとなオリビア…なんとなく生々しいよ」


「失礼しました、身の危険を想像すると心残りになりそうな事を、生々しく懇願してしまいました」オリビア


「そうか…それは俺の責任だな、申し訳ない。アスコットにもアリアナにも、ミーティアにアンとサラにも同じ思いをさせているのだろうな」


「それはもう破裂しそうな程にね」


全員寄ってきてニコニコしている


「お前達…怖いよお」


「それに子供を作る事を含めて考えるにしても、俺が結婚しないと言っていた理由のひとつに跡取り争いがある。そういう可能性を残したくないんだよな。だから子供を作るとなると、ケズリファミリーは俺で終わりにして、みんなは分家して各々で子育てする事になると思うんだよ。ばらばらに暮らすとなると、俺も子供とどれだけ触れ合えるのかわからなくなるし」


「その心配は不要ですよ」フェアリー


「なんでだ?」


「梳李のレベル、スキル、星に与えられた使命、そういった諸々を考えた時に、産まれてくる子供よりも梳李の方が長生きするからです」フェアリー


「え?そんなに長生きする予定なのか?」


「予定と言うよりも…梳李がもしも早死にするような事態が訪れたとしたら、他の人類はもはや生存する事は出来ません。必ず最後の一人に梳李がなるでしょう」フェアリー


「家族の全員を俺が見送る必要があるのか…それはそれで嫌だなあ」


「仕方ありません。長命のミーティアよりも遥かな時を生きるでしょう。寿命でいえばヴィーナスが唯一同じくらいになるかと」フェアリー


「それなら亡き後の事は決めておく、ヘカテー王国の俺の跡は永遠にヘカテーが女王となって治めてくれ、ケズリファミリーはエンジェルと漆黒、スピリットが共同で跡を取り、サメハダ商会の運営と併せて頼む。互いに協力しあってこの星を繁栄させて欲しい」


「了解しましたよ」


「他のみんなもそれでいいな」


「良いも悪いもその時に生きていないなら、反論する理由もありませんよ。生きていたとしても異論を唱える気もないですけど」アスコット


「もちろんです!」アン、サラ


「私は梳李の傍にいれるだけでいい、あとのことは取るに足らない事なのですよ」アリアナ


「私もです」オリビア


「今更ですよ」ミーティア


「わかった…いつもごめんな」


「ところで6人で泊まれる宿はデイビスにあるのかな?前回はアリアナの家に泊めて貰ったからな」


「心配しなくて大丈夫ですよ。スコット家が大賢者様が来てくれた時の為に、敷地内に専用の離れを造ってくれています。大きな風呂と洗面とトイレに、大きなベットが置いてある広いベットルームが1部屋の離れですけど」


「なんだか俺の仕様になってるな」


「はい!結婚した時に手紙を書きましたから、その時に離れの事も伝えてあります」


「相変わらずアリアナは、気が利いているのだな。それならお言葉に甘えるよ。それについでみたいで申し訳ないが、アイザックにもちゃんと結婚の報告をさせてもらうよ」


そしてデイビスに向かって俺たちは飛んだ


さて、梳李達一行はこの度のデイビス旅行で進展はあるのでしょうか?



第63話に続く


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