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第58話 火山探索


「おーい!ガルーダとアスコットは相談があるから来てくれるか」


「久しぶりですね。新妻に寂しい思いをさせる梳李は罪な人です」


「す、すまん…てか寝る時は大抵一緒に居たじゃないか」


「いつも寝顔をみてただけだもん」


「ご、ごめん。毎日毎日魔力が無くなるまで働いてたから…なんかごめんな」


「フェアリーやエンジェルに聞いていたから知っていたし、少し意地悪を言ってみただけだよ。寝顔を見てるだけでも充分だった」


「そ、そうか…」


「お呼びでしょうか?」


「ガルーダはいつまでも敬語だけど…獣人はそういう取り決めがあるのか?ライオネルもそういう所があるけど」


「梳李は国王陛下とそんなに仲良くされているのですか?」


「ん?ああ…俺は一応セントラル議会の議長だからな。ヘカテー王国にも連れていったし、この前は、開発中の観光スポットの案内もしたぞ」


「今からする相談と言うのも、ウィリアムとライオネルからの共同依頼なんだよ」


「ロドリゲスとズーダンの国境の山脈にある火山の調査だ。どちらかのパーティがついて来るか?」


「正直に言うとまだ力不足ですが、行きたいのは行きたいですね」


「それは私の方も行きたいですよ」


「未開拓の地だし、フェアリーに聞いた所、サラマンダーやファイアバード、ロックゴーレムやロックワームと言った、炎の魔物か焼けた岩の魔物ばかりらしい。俺も狩った事は無いからついて来ても、危険なら見てるだけになるけどな」


「それでも久しぶりに梳李の戦闘が見られるなら、私は行きたいなあ。それにレベルが違い過ぎて参考にはならないけど、梳李を知らないパーティのメンバーにも経験の為に見せたい」


「それにサラは奥さんなのに、梳李の戦闘は見た事が無いよね?」


「そうですね、魔物と本気で戦っている所は見た事がないですね」サラ


「美しいよう!舞いを披露してるかのように、素早く軽く舞いながら魔物を切り刻んで行くんだよ。アリアナに聞いたら、今はそれに剣が魔物を切り裂く度に閃光が走るんだって」


「私も旦那様の事をもっと知りたいです」サラ


「それならわしらは今回は譲ります。次の機会があればこちらのチームをお願いします」


「サラちゃん良かったね。私と梳李が出会った時は、私がアリゲーターに囲まれていて、絶体絶命のピンチに梳李が突然あらわれてさ、素早く走り抜けたと思うと、通過した場所のアリゲーターは全て切り裂かれ、跳ねたと思ったら着地する時にはアリゲーターが切り刻まれていたのよ。そうやって私は助けられたんだけど…スピードには自信があった私の目にも止まらない速さだった、まさに大剣が勝手に踊っているようだったよ。それで一目惚れしちゃったんだ」


「こんなに美しい剣技があるのか…って思った事を昨日のように覚えているよ。そのあとさ、わがままを言って、当時は雷風と呼ばれていたヴィーナスの上で抱っこしてもらったんだ。夜空を見上げて散歩しながら、なんども時間が止まって欲しいと思ったよ」


「ブラックスミスに行く時にフェアリーが抱かれているのを見て羨ましかったです」サラ


「私も見たいです!」サラ


「ならアスコットチームにするとして、最終的な人選は2人に任せるから準備しておいてくれ、明日は予備日にして明後日出発する」


山脈を通り山道を抜けひと際高い火山についた。上空から着陸するよりも、連絡路が欲しいと要望もあったので外周を確認すると、1部火山に裂け目があったので、そこから中に入る事にした


「熱いなあ!お前達は大丈夫か?」


「すみません…無理です」


「だろうなあ…魔力を少し渡しておくからフェアリーはプロテクション、ヴィーナスは慈愛でプロテクションの中を少し冷やしてやってくれ」


「サラは少し来い!俺が包んで進むから少し行ったらこの盾を地面に突き刺して、ターゲットを発動してくれ。注目させたら下がる」


「わかりました!」


「ターゲットを覚えました」


「使った事の無い武器のスキルまで覚えるようになったんだな」


「そうみたいだね」フェアリー


サラの盾を使うわけにもいかなかったので、一般的な冒険者が使用している程度の鉄の盾を地面に突き立て、ターゲットでサラマンダーを誘き寄せた。サラマンダーはここのボスクラスなのだろうか、何体もいるせいもあってこのエリアの覇者といった感じだ


誘き寄せられたサラマンダーは威嚇程度の炎を吐いた。一瞬で溶ける盾


「凄い高熱の炎だな、鍛冶師工房の炉よりもはるかに高熱じゃないか」


「鉄の盾が一瞬で燃え尽きましたね」


「さすがにセブンスターズにここの魔物の討伐は無理だな。エンジェル行こうか…サンプル程度に少し倒して行く」


エンジェルがあたりをブレスで氷漬けにする。溶けるまでの時間数秒…その数秒間で神速とテレポートを併用した最速を飛ばす…1!2!3!4!4秒間…斬った魔物の数は約30…溶岩から顔を出したロックワーム、空中で氷漬けにされ地面に落ちたロックバードやファイアバードとフェニックス、襲いかかろうとしていたロックウルフの小隊とロックゴーレム


「エンジェルもう一度頼む、サラマンダーも減らしておく!」


サラマンダーの群れを冷やす、1!2!2秒間…細切れにしたサラマンダー14体、閃光の色も相性が良く久しぶりに青竜王の大剣1本で斬り伏せた。我ながら真っ赤に燃えさかる場所で、一瞬だけ氷漬けにした魔物を青い閃光を走らせて斬る。いい感じだった


ドロップアイテムが溶けないか心配したが、耐性があるのか…魔石もゴールドもドロップアイテムも全部残った。焼けた石が多かったが、これをアルフに渡して炉に入れたら、かなり効率が良さそうだ


そのほか、ランタンや火打ち石、鋳鉄などもドロップした


「とりあえずここを通路に出来ないことはよくわかったから、とりあえず外に出よう」


連れて来たザビエルにプラム、ライチとルシス、トロンも俺の戦闘は初めてみたのだが、予想を大きく上回ったようだ


「いまの僕たちには光が走ったようにしか見えませんでした」ルシス


「私は弓使いのスキルで目は良い方ですが…それでも追いかけるのが精一杯でした」ライチ


「また早くなったね」アスコット


「ご主人様…」サラ


「サラは何をしてるのかな?」


「抱きつかずには居られなくて」サラ


「デイビスのダンジョンブレイクを鎮圧した時に限界突破したのだろうな。1万体の足止めと殲滅はギリギリだったからな。数の脅威と戦い続けてかなり減らして、やっとあと少しって所に、キマイラやケルベロスの巨大なやつが登場したしな」


「デイビスのダンジョンブレイクを鎮圧した噂は、前々からセントラルでも伝説ですが、それほど大変だったのですか?」プラム


「そうだよ…途中で何度も諦めそうになった」


「アリアナからも話には聞いていましたが、それほどの事だったのですね」サラ


「だからサラは何をしているのかな」


「はい!奥様特権を発動しています」


「なんとなくサラからもヘカテー臭がするのは気のせいかな」


「僕がステージですぐ捕まったわけですね」トロン


「あれはテレポートだけど、ここでやったのはテレポートと神速移動の併用だ。普通の人の目には止まらない」


「僕も剣士としてそこまで成長出来るでしょうか?」ザビエル


「それは誰にもわからない…だけど俺は元からレベルも力もあったとは言え、初めからできた訳ではない。ザビエル自身がどう考えてどう鍛錬を積むかにかかっているだろうな」


「今度見てもらっても良いですか?」ザビエル


「ああ構わないよ。ただしアスコットが許可してからだ。俺に訓練を受ける前にまずはアスコットを納得させてみろ」


「はい!必ず!」ザビエル


「みんなは少し待っててくれ。ウィリアムとライオネルのリクエストは連絡路を通すと共に観光スポットにもしたいらしいんだ」


「さっきの裂け目を塞いでから中を覗き込めるように、所々覗き穴を開けていくからフェアリーは熱対策できる魔道具を全箇所に設置してくれ」


「それが終わったら火口からエンジェルと降りて警報器を設置してくるから、通信用の回路を簡易的に組み込んだ魔石もストレージに入れてくれないか」


「はーい、すぐにやりますね」フェアリー


「ここの魔物が暴れて地震が起きたら、デイビスの街は一溜りもないし、またあっちのダンジョンでもブレイクが起こるかもしれない。対策しておく方が良いだろ」


「わかっていた事だけど…梳李はこうやっていつも世界を守ってるんだね。寂しい時も沢山あるけど、梳李が奥さんにしてくれて、私の人生までが誇り高くなった気がするよ」アスコット


「パーティの新メンバーもセブンスターズに入隊した事を、誇りに感じていると思うよ」アスコット


「はい!もっと強くなります!」メンバー


「いよいよヘカテー臭がしてきたけど…サラさんは何をしているのかな」


「被せる事の大切さを体験しています」サラ


「ぎゃははは!」


みんなにはウケていた…


それでいいのか?セブンスターズ!



第59話に続く


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