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第57話 観光スポット


各国の首脳陣のヘカテー王国の視察を終え、業務提携も確かな物になり、初代議長としての役目を、ひとまずは果たしたと手応えを感じていた。通信魔道具を渡した事により、緊急事態には連絡も取れるようになった。定期的にセントラル議会は開かれる物の、しばらくの間は流通を円滑にする事や、各国が取り決めた業務提携に基づいて、人をお互いが派遣する事などの、細かな実務の打ち合わせをする事が、議題の中心だった


「産業の方はひとまず形も整ったので、しばらくはこの体制で協力して行きたいと思います。追加でヘカテー王国までの街道整備と宿場街の建設、冒険者組合には深淵の大森林の開拓に伴う、魔物の討伐依頼を引き受けて頂きたい」


「深淵の大森林は凶悪な魔物がたくさんいると聞いています。どのランクの冒険者で対応可能なのでしょうか?」


「Aランク冒険者であれば危険がなく討伐できるように、魔物は選別しておきます。それと労働者も危険のないように、街道や宿場街の予定地には、魔物が流れ込まないように、長い長い城壁を建設し、安全を確保しておきます。工事関係の職人も冒険者も、未開の地に興味のある者を、各組合から募集して早速派遣をお願いします」


「そういう事なら本国内にも大々的に告知して、人を集めさせて頂きます」


俺達は久しぶりに延々と城壁を作った、馬車の移動距離を考え、250kmおきに宿場街の予定地、30kmおきに休憩所の予定地も確保した。海まで続く道のりは大森林が25000km、大森林の入口までは1500km、実に26500kmの道のりになった。途中で通過するヘカテー王国も、観光客の受け入れ体制を整える為、宿泊施設や土産物店、食堂や酒場の建設、劇場まで整えた。それらは舞踊部隊が出演から運営まで行う事で決定している。海まではセントラルから15日間の長旅になるが、新しい馬車の性能も幸いして、大型の旅客専用馬車を運行する事で、移動そのものも楽しめるようになっている


完成までは時間がかかるだろうが、その事業はセントラルの両組合が合同でプロジェクトにあたっている為、本国からセントラルへ向けた新しい人の流れもできている。またセントラル議会が発案して、長期休暇を取りやすいように、新たに祭日を導入する事も検討している


「もう壁つくるのやだ」


「さすがに飽きましたね」フェアリー


「この工事がすすんだらさあ、長旅でも所々で娯楽を楽しめるように、見学用のダンジョンを作って、一般人が冒険者の疑似体験をできるようにしたり、宿場街では食事をしながら歌や演劇を楽しめるような大浴場も作ろう。それとは別にもう少し観光の目玉が欲しいな。大森林の中に、見学するだけでも価値のあるような景色の所はないの?」


「何ヶ所かありますよ」


「それも馬車のルートに組み込むから、大幅に大森林の生態系を変えない範囲でフェアリーが選んでみてよ」


「そうですね。魔物にとっても大きく居場所を奪うのは良くないでしょうね。条件にあう所をピックアップするので見に行きましょう」


大森林には俺が全然しらない場所があり、東の断崖絶壁の岩場には、川に流れ込む巨大な滝があった、西の岩場の麓には湧き水が溜まった巨大な湖もあった。それらを自然の中にあるサファリパークのように、魔物の生態系をそのままに観光スポットにするように開発計画を立てた


「見学できるように頑丈な柵を作って、案内ガイドには念の為にシールドを張れる者をつければ危険も無さそうだな。海の安全はどうすれば確保できるんだ?」


「海の魔物は浅瀬にはきませんが、そうですね…念の為に海中にも景観を損なわないように、壁を施して、人に危害のあるような、大型の魚も浅瀬に来れないようにした方がいいですね。自然を破壊しないという観点からすれば、岩場を作るのが良いかもしれませんね」フェアリー


「城壁が終わったら岩場かあ、まだまだ俺の労働も終わらないって所か」


「はい、梳李の膨大な魔力が何度枯渇するでしょうね」フェアリー


「するのでしょうね」


「だけど大会議室で首脳陣と会議をしている時と比べたらとても楽しそうですよ」ヴィーナス


「夢があるからさ、大会議室で生産性を高める会議は義務と言うか、現実的すぎるんだけど、観光スポットを作るのは、なくても人の生活が困るわけじゃないから、非現実的な仕事でさ、来た人に感動を与えようと考えてる方が楽しいんだよ。それに魔力が尽きたらその場で寝るのは原点だからな」


「私も梳李が寝たらログアウトしてた時よりも、一緒に休める今の方が楽しくて懐かしくて、とても幸せですよ」


「岩をどんどん作るから、適当な所まではエンジェルと漆黒とスピリットに運んでもらおう」


「まかせてよ!」エンジェル


数ヶ月かけてある程度のスポットが整ってから組合長や国王を案内した。西の湖でたまたま巨大なアースドラゴンに出会った事もあり、参加者は全員が景色と併せて感動していた


「梳李はあのドラゴンも倒した事があるのですか?」ライオネル、ルシフェル、ホーガン、バッシュ、ウィリアム


全王様が質問してきた


「多分今ならあの状態のままでも両断できると思うけど…戦った時は分厚い甲羅に刃が通らなくてさ。ヴィーナスが注意を引き付けている間に、土魔法でひっくり返したんだよね。腹の甲羅は少し柔らかいから青竜王の剣で切れたよ。この剣も当時はオーバーロードって名付けていたんだけどな」


「なんとも規格外ですな、ドラゴンも梳李も」ライオネル


「だがヘカテー王国までの長い道のりを、こんなふうに観光スポットにするとは…発想も規格外ですね」バッシュ


「エルフの国の、稲が実った広大な田園風景も負けないくらい壮観な景色だと思うよ」


「国内に観光名所を作る事も考えなくてはなりませんな」ルシフェル


「きっと探せば各国にもあるよ。他にないような良い場所が、いままでの常識では敬遠していたような場所がさ」


「そういえば、ロドリゲスとズーダンの国境の山脈に火山があるのですが、一度見に行ってもらっても良いですかな」ウィリアム


「それは個人的な俺に対する依頼って事か?」


「それならば私からも是非お願いしたい」ライオネル


「わかった近々行くようにするよ」


「この大森林のように生態系を変えずに登山路に組み込めたり、ロドリゲスとズーダンを結ぶ連絡路に出来たらなお良いですな」ウィリアム


「まったくですな」ライオネル


「おい!2人で勝手に盛り上がるな、楽しそうだから依頼は受けるけど、棚ぼたは期待するなよ」


まあ火山の探索は楽しみだけどな。未開拓地域を探索するという俺達の目的にも合致しているし


そうだ!とても楽しみだな!



第58話に続く


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