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第56話 各国首脳陣招待


ヘカテー王国に来ていた、来週から始まる各国首脳陣の受け入れ準備と、街中でエリア移動に使っている、転移門の使用の取りやめに関する打ち合わせの為である


現在ヘカテー族は一般国民と狩猟部隊に別れているが、新たに舞踊部隊を作った。歌や踊りに長けていて、首脳陣を接待出来るように艶やかな部隊が欲しかったからだ。メイドや守備兵も増員し、専門部隊に昇格させた


転移門の廃止は街の作り替えを許可した事で、街の中に自治体をたくさん作り、集落のように運営する事にするそうだ。メインの工房などは街の中心に移し、どの集落からも通えるようにすると族長のシモンズは意欲を見せていた


「やっぱりヘカテーの眷族である事と管理者フェアリーが生み出した種族であるからだろうか、どの部隊もとても優秀だよな」


「その二つが大きな理由ではあるけれど、梳李の進化に伴う事も大きな要因だよ」ヘカテー


「そうかのか、俺の成長にも呼応してくれるならもっと頑張らなきゃな」


「もういいんじゃないの?あんまり頑張ると、いつかおかしくなっちゃうよ」ヘカテー


「それはこまるな。だけど苦手な事はあらかた片付いたから、あとは未開拓地域の探索がメインだけどな」


「その前にロドリゲス以外の国から来賓を呼ばなきゃダメなんですよ」ヘカテー


「それがめんどくさいなあ、転移門を封印して、エンジェルで運んで、おもてなしして…ああめんどくさい!」


「平和の架け橋だからね。あと少し頑張ってね」ヘカテー


「わかってるけどさあ」


各国首脳陣のヘカテー王国訪問は視察も兼ねている為、接待だけすれば良いと言うものでもなく、訪問してくる方も真剣である。お土産を何にしようか考えていた


「魔族はもしかすると、ヘカテーよりも魔法制御は上手いかな」


「個人差はあるだろうけど、全般的には上手い人が多いんじゃないでしょうか」フェアリー


「それなら冷蔵庫は箱をロドリゲス、魔石は魔人族にしようか、馬車の室内の温度調節もできるようになれば、さらに高級感が上がるしな。まとめて魔人族の産業にしてもらおうか」


「ですが、それだとヘカテーのやる事がなくなりますよ」フェアリー


「そうなのだけど、中途半端にあっちやこっちでするよりも、いいんじゃないかな。ヘカテーには他にも色々あるし、これからも新しい事はどんどんするし」


「いつも面白い発想ですよね。普通は自社の利益を確保する為に、そういう特殊な部署は切り離さないんですけどね」フェアリー


「与えれば形を変えて戻って来る事もあるでしょ。神殿でも魔法付与を至る所に頼む必要があるしさ。そういうのもフェアリーと俺でやればいいんじゃんって考えたら寂しいでしょ」


「私は良いと思いますよ」フェアリー


「それにさあ、実際の所ストレージにあるお金を使い切れないからさ。貯めておくのももったいないじゃん。ヘカテー王国は産業が無くなった所で、豊富な資源も食料もあるのだし」


「確かにそうなのですよね」


「あとのんびり過ごして気がついたけど、妊婦さん率が高くないか?」


「ヘカテー族は繁殖力も強いようですね。梳李に呼応してるはずなので、いかに自粛してるのかがわかりますね」フェアリー


「なんか含みのある発言だなあ」


「特に裏はないですよ」フェアリー


「まて!私にはあーる!」 ヘカテー


「気合い入れて出てきたって、あなたは神様でしょうが…他の奥さんが言うならわからなくもないけど、なんでそんなに気合い入ってるの」


「女神も万能じゃない事は以前伝えたが、神様は退屈だから俗世間の様々な事を味わってみたいのだ」


「一応確認するけど、2人のマテリアルボディに生殖機能はないよね?」


「さすがに子供は出来ないが…その、行為というか、あの、なんだ、出来なくはないんだよ」


「途中で恥ずかしいなら初めからいうな!こっちが赤面するわ!まあ興味があるのはわかったよ。俺が我慢してる事も事実だし、そのうち心の準備が出来たらな」


「私はいつでもいいんだよ」


「もう少し笑いのセンスがアップしてからな」


「関係あるのか?人の夜の営みには」


「あるわけねぇだろ!照れ隠しだよ!残念女神!」


実際他の奥様方には子供が欲しいと言われている。フェアリーの話では、ハーフエルフやハーフドワーフはできるらしい…そう言われてもさあ!ヘタレーなんだよ!


もうひとつは真面目な話をすると、夫婦は自分が決めてなった物だから、誰に何を言われても気にする必要もないのだが、子供がどういう目でみられるのか、わからないうちは自粛しようと決めているのである。種族を超えた冒険者パーティがたくさんできて、仲間内で種族を超えた夫婦もたくさんできて、ハーフの子供もできるようになって来たら考えようと思っている。子供は産まれてくる場所を選べないからな


「そういえば、あとフェアリーにもうひとつお願いがあったんだ。ヘカテー王国に医者と病院を配置しなきゃ。お産も清潔な所でした方がいいだろうし、これだけ人口も増えて来たら、病院と学校は必要になるだろうから」


「そうですね。シモンズとも話をして、回復魔法の得意な者を人選しておきます。病院もついでに頼んでおきますね」フェアリー


「それでいいよ。お願いね」


バタバタと準備をした各国の来訪だった。迎えに行きエンジェルで飛んだ。それだけでもインパクト充分だったのだが、深淵の大森林の真ん中にあり、見た事もない種族が高い技術力を持ち生活している。首脳陣の度肝を抜くには充分だった


結局冷蔵庫やエアコン代わりに使う魔石は組み込む魔法式を魔人の国ギガントに提供した。魔王ルシフェルも満足していた。冷蔵庫は家庭用の木製の物をロドリゲスで、鉄製の業務用をアルフ工房を中心にドワーフの国で制作する事になった


現在アルフ工房で作っている馬車の本体については獣人国ズーダンで制作する事にした。国王ライオネルも体制を整えると喜んでいた


砂漠で暴れた時に入手したアルミのように軽い素材を家庭用の扇風機にして、それも併せて動力用と冷却用にわけた魔石を発注した


サメハダ商会で制作中の木製の冷蔵庫も一部ズーダンの工場で作る事になった


ロドリゲスはセントラルへの街道の整備事業で好景気を維持し、魔石事業でギガントは息を吹き返した。ドワーフ国家クラフトもアルフ工房から派生した事業により、GNP比200%まであげている。ズーダンでも建設に頼っていた雇用を馬車制作、冷蔵庫制作に当てたことで雇用の拡大と賃金のアップを果たした、エルフの国では、間もなく収穫を迎える米の注文が、世界中から殺到していて、サメハダ商会も対応に追われている。そうして一連の共存の流れは完全に軌道に乗り、世界中を未曾有の好景気に導いた


「この流れがずーっと続く訳じゃないけど、初代議長としての仕事は、とりあえず果たしたでしょ」


「私からも感謝を伝えねばならないね」


「ヘカテーは水くさいよ。礼とかいいから腕を磨いて」


「なんで残念な方に話を持っていくんだー!」


「お約束だからな」



第57話に続く


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