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第54話 セントラル議会


オアシスでのんびりと心身をリフレッシュした梳李はホームに帰っていた


他の奥さんからの苦情はなかったが、今度は連れて行って欲しいと要望があった


「他の奥様方も梳李のストレス発散には喜んで付き合ってくれると思うよ」ヘカテー


「念話にしてくれ!そうじゃないんだよ。そこで付き合わない様な人を、奥さんにしたつもりはないから、そんな心配は無いのだけど…愛される事で俺の力になりたいと思って貰えたり、俺の安らぎになりたいと思って貰える事が、相手の望むリアクションにして返さなきゃいけないと思って、たまにプレッシャーになるんだよ」


「人の心だから、それが愛情である事も理解しているし、そういう気持ちが全くなくて恋愛は成立しない事もわかっているし、俺にもある感情だしな。それに俺もみんなが好きだから、ミーティアの所に行った時も、アン達の所でやった事も、充実感も喜びもあるんだよ。だから逃げたいとか、好きな女の子の為に何かをする事が嫌な訳でもなくてさ…たまたま色んな事が重なってストレスになっただけなんだよ」


「そうなる事はわかっていたから結婚はしないっていたんだけどな。ファミリーを持てば結局は同じだから、求めてくれるなら良いかなって思ったから結婚したんだけどさ」


「梳李は相手を思いすぎるんだね。優しすぎるのかもしれないね。女神の愛情をもってしても、その深さが計り知れない時がある」


「なんにしても心配しなくて大丈夫だよ。多分…共に過ごす時間が少しづつ隙間を埋めてくれると思うし、心底悩んでるわけでも、本気で重たいわけでもないから。また昨日みたいな時に付き合ってくれたらそれだけで良いよ」


「あと爆睡してるからって、人をおもちゃにするのはやめてね」


「ん、んん…なんの話かな、い、いつでも付き合うけどね」


「はははっ!ありがとうな」


次の日セントラルで合同対策本部を開く時に使われる、合同大会議室から招集がかかった


呼ばれた時間に行ってみると、錚々(そうそう)たるメンバーが机を囲んでいた。各国から王様かそれに類する人、次世代の跡取り予定の王子、冒険者組合代表全員、商業組合代表全員、ウィリアムも来ていた


「今日はどうしたのですか?私が呼ばれる場所としては、釣り合わないと思うのですが」


「実は数日前から各国の首脳が集まってサミットを開催していたのだよ。わたくしウィリアムから梳李にお伝えします」


「各国首脳会議は満場一致でこのセントラルにて合同議会を設立し、初代議長に梳李を任命する事に決定した。まことに勝手ではあったが、ヘカテー王国の事も話をさせて頂いた。梳李はヘカテー王国の国王としてその責務を全うして欲しい」


みなが盛大に拍手をする


「初代議長おめでとうございます」


「梳李がいまのセントラルにある種族同士の連携をつくったと言っても過言ではない。セブンスターズが混成のパーティになり、エルフの国に特産物を提供したり、様々な所で種族間にあった垣根を、梳李が壊してくれたのだ。いまや産業でも商業組合が主導し、各国が業務提携をする事で、新たな商品開発を可能とした。冒険者組合でも以前は自国の利益をあげるために、躍起になっていたのが、セブンスターズが各国の連携を強めた事で、自国内のダンジョンを他国の冒険者にも解放する事になった。様々な所に功績を残してくれた結果なのだ。その波は世界をひとつにしようとしている」


「決定した事を突然通知する事になってしまったが…快く引き受けてもらいたい」


「お集まりの皆様は、はじめてお会いする方もいて、私の様な若輩者を選ばれた根拠については、私自身が少し戸惑う内容ではありますが、私が議長を引き受ける事で、各国が手に手を取って、いままでにない拡がりを見せるのなら、喜んで引き受けさせて頂きます。どうかよろしくお願いします!」


タイミングを見ていたヘカテー王国のセントラル進出が、ウィリアムの提案によって各国の了承を得ていた。ヘカテー王国の技術を、各国に輸出する事が出来れば、さらに拡がりをみせると確信している


席上魔族国王からも獣人国王からも丁寧な挨拶があり、是非ヘカテー王国との国交を樹立したいとの申し出があった。まだ通過点に過ぎないがセントラルに上京した時から目標にしていた、種族間交流は達成された


ドワーフ国王からもブラックスミスの一件の御礼を述べられ、アルフ工房の設立の事も併せて感謝を述べられた、ドワーフ族としても世界へ技術を輸出する決意を話してくれていた


正直初代議長など身の丈にあわないのだが、この話の流れで断れるはずもなかった。決まった事を気持ちよく受け入れて、今後も世界の為に頑張るのみである


「いつかこうなるとは思っていたけど、意外と早かったね」ヘカテー


「そうなんだよな、じわじわと水面下でそういう流れが出来つつある事は、認識していたけど突然だったな」


「女神も顔を出したからね。種族にこだわる事がばかばかしくなったんじゃない?セブンスターズのオーディションを境にして、サミットの開催が決定したらしいから」


「そうなんだね、そういう意味では大成功だったということか!」


「そうだよ。私の挨拶も歴史に残りそうだね」


「良かったねへっかちゃん!やぱ折れないのがさすがだったな」


「どうだ!凄いだろ!」


「まあな」


ホームに帰ってファミリーのみんなに報告すると、みんなは冒険者組合や商業組合から、ある程度の話は入っていたらしく、さほど驚く様子もなくただおめでとうと祝ってくれた


ゴルゴーン対策もしやすくなった事だし、まずは一段落だな



第55話に続く


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