第36話 雷風とバルと委員長と
ヘカテー王国の見学会も終わり、アンとサラの引越しや、明日からのセブンスターズの事をガルーダとミーティアに頼んだあと、雷風とバルと3人で用事があるからとみんなと離れて、深淵の大森林の北側にある大草原に来ていた
ここも滅多に人は来ないので、親子水入らずならぬ、主従水入らずで、原点回帰するには3人でここに居るのは落ち着く。王都に到着してから激動の数日間だったからな
「バルは俺が留守の間どうだったんだ」
「うん、頑張ってたよ。毎日ダンジョンに行ってお肉を食べて、組合に寄ってお肉を食べて、家に帰ってお肉を食べて、梳李の代わりにみんなを守るため、しっかりお肉を食べたよ」
「バルが頑張って守ってくれてたのは、なんとなく感じるけど…肉しか残らんわ!」
「梳李はどうだったの?」
「それは雷風が話すよ」
「青竜王様、聞いてください。旅の途中で主が私に、確認だけどオスだよねって、質問してきたのです!」
「なんだって!梳李、それは乙女に向かって酷いなあ」
「いや、神話ではユニコーンは清らかな女性にしかなつかないからさ、オスしかいないものと思ってたんだよ」
「梳李は清らかな女性じゃないじゃん。それにいつも並んで寝る時に、幸せそうな乙女の顔をしてるじゃないか」
「それはバルにわかっても、俺にはわからないよ」
「まったく乙女心のわからん人でなしだな」
「そうです!人でなしです。私の事も強引に支配されました…グスッ」
「なんだって!管理者も支配したのか?」
「委員長、まだひっぱるの?」
「ふふっ!」
「ほんとは私はどのように認識されていても、共にある事が幸せなのでなんでも良いのです。留守中の主様は、大勢の民から神様のように崇められ、5000の軍隊を退け、1万の魔物を撃退されましたが、常におそばで共にあった事はとても幸せでした」
「今度は私に乗って移動してもいいよ」
「そういえば、雷風も委員長も敬称は省略しよう。青竜王様も無しでバルだ!」
「委員長も雷風も梳李でいい」
「支配者様の心のままに」
「こけるわ!」
「ふふっ!」
「すぐには慣れませんが、ゆっくりと」
「それでさあ、女の子なら雷風は無いと思うんだよな」
「私は初めからなんて名前をつける人なのだと思っていましたよ」
「委員長は気が付いていたならその時に言ってよ」
「ふふっ!」
「そうだよ!梳李!もう一度名付けをするならちょうど良さそうなタイミングだよ」
「そうですね、私もそのように思います」
「私はある…梳李が付けてくれるなら何度でも歓迎ですよ」
「そうか…タイミングの意味がわからないけど…それならヴィーナスとかどうかな、女神って意味でもあるし、地球から夜空を見た時に、一番明るい星の事でもあるんだよ。雷風はいつも俺に道を指してくれるからな」
「素敵な呼び名ですね」
「私もバルバロッソを返上しようかなあ。なんか?理由がかっこよくて羨ましいな」
「バルは元々の名前がバルバロッソじゃん」
「いやだー!ヴィーナスが羨ましいの!」
「駄々っ子かよ!」
「ですが梳李、バルバロッソ様に名付けをするのも良いタイミングと思いますよ」
「それならエンジェルはどうだ?俺の前世の天使で、神話では神の使いという意味だな。寝てる時のバルは天使のように可愛いからな」
「梳李ー!」
「どうした?抱きついて」
「恥ずかしいんだよ。顔を見られるのが、それとヴィーナスにやきもちを妬くから、私もこれからはどこにでもついて行く」
「わかったわかった、心強いよ。魔物の大軍と戦った時も、バルがいてくれたらって何度も思ったよ。ヴィーナスとアリアナで、しっかり代わりは務めてくれたけど」
「梳李が限界を感じる程の戦闘の時に、そばにいなかったのもショックだったんだよ」
「俺はみんなに愛されてて幸せだな」
「私も愛してますよ。忘れないでくださいね」
「委員長も自我があるの?それもいつものノリ?」
「いえノリではありません。支配される者になってから芽生えました」
「それなら委員長じゃ失礼だから変えようか?」
「私ももしかするといいタイミングかもしれません。是非」
「何度きいても、タイミングがよくわからないけど、それならフェアリーでどうだ?妖精って意味だな。神話などに出てくる妖精は色んな国に色んな言い伝えがあるけど、可愛い者とか、美しい者を例える事も多く、悪を滅する力を持つ、いつも俺を支えてくれて、なんでも教えてくれてくれる正義の光だからな」
「フェアリー!気に入りました」
「今日から3人は、フェアリーとエンジェルとヴィーナスだ!」
「これからもそばに居てくれな」
「そばにおいてくださいね」ヴィーナス
「私も離れない」エンジェル
「私は元々常に一緒です」フェアリー
女神と天使と妖精って少し安直な感じはしたけど、転生してからずーっと守ってくれて、俺にとっては、3人ともが女神で天使で妖精だったからな。みんな愛おしい、今日はヴィーナスもエンジェルも腕枕をして寝ようっと大草原で夜空を見上げた
やぱ原点回帰をするのも良いなあ。遠くに聞こえる魔物の咆哮と、小鳥や大型の鳥のさえずり、陽のひかりのかぐわしい匂いに…かぐわしい匂いに…
あれ?ヴィーナスが長い銀髪の、ほんとのヴィーナスみたいになって腕枕で寝ている、エンジェルは思春期の子供みたいだったのが、大人の女性になって腕枕で寝ている、上に乗っかってる美女はフェアリーか?ナビゲーターも人型になるのか?これは…どういう事か聞きに神殿に行かなきゃ始まらないな
それにしてもこの3人を従えて街を歩くのは大変だな、アスコットもミーティアもアリアナも綺麗で可愛いけど、人としてのそれだけど、この3人は神がかっているな、何故か全員全裸だが理性がどうこうと言う気持ちが、まったく起こらない程に美しく輝いている
「みんな起きろ!神殿に行くぞ!」
ヘカテー様!お助けをー!
第37話に続く




