第35話 アンとサラ
「お待たせしましたー。もう少しだけ待ってね。店の店主と補佐も来るからね、オリビアさんもありがとうございました」
「いえ、梳李様に仕事を仰せつかって光栄でした。今後もなんなりと申し付けください」
「お待たせしましたー!」アリアナ
「先にお風呂を頂きました」ミーティア
「2人は夜ご飯食べるよね?好き嫌いはある?」
「よばれてもいいのですか?お昼やおやつもたくさん頂いたのに。あんまりしてもらうと、1週間でも待っていたくなっちゃいます」
「ははは!苦労してたんだな。やば女の子は肉か?ジャイアントバードの肉とジャイアントボアの肉とミノタウロスの肉ならどれが食べたい?」
「どれも食べた事がないです。今日まで酷い食生活でした。食べて見たいですー」
目が禍々しいひかりに包まれヨダレが…
「それなら俺が料理長に指示してくるわ、紹介だけ先にするね。このエルフのお姉さんが、店主のミーティア、そしてこっちが補佐のアリアナ。双子の2人は、お姉さんの方がアンさんで、妹さんがサラさん。とりあえず、一緒に働く予定の4人で、少し話をしてみてください」
とりあえず、俺の判断は最後にして2人に任せてみよう。それに夜ご飯もいつもの大皿は取りづらいだろうから、3種の肉の盛り合わせプレートを作ってあげようか、料理長とも相談して久しぶりに、シーズニングで調味料を出して。あ!バルの分も大量に必要だな
「ところで委員長」
「何用でしょうか?支配者様」
「もうそれいいからさぁ…あの妹さんの方は、魔力をまとい続けてるよね?」
「ふふっ!私は少しクセになってるんですけど…だめでしたか、よく気が付かれましたね、あの子は身体強化症ですね。身体強化の状態がずーっと続く為、常に睡眠を取るか食事を食べて、魔力を補充する必要があります」
「身体強化症?治るの?」
「身体強化症を治すのは難しいかもしれませんね。病気ではなくて、体質なので」
「身体強化症の人は常に筋肉を強化した状態にあるので、腕力や脚力は常に怪力なのですが、筋肉の弱い場所、特に眼球の裏にある筋肉が強化できないため、視力に慢性の問題をかかえている場合が多いですよ。そちらは治せます」
「ヒールで治る?頻度は?」
「そうですね、個人差はありますが…あの子は若いドワーフなので、3日に1回くらいでしょうか?」
「ん?あの子達はドワーフなの?」
「はい、身体が小さいだけで、ちゃんと成人してると思いますよ」
「そうなんだ、俺はドワーフと言えば、3頭身くらいのおっさんしか、見た事がなかったから」
「ふふっ、武器屋に行くとそういうドワーフがほとんどですね」
食堂に戻ると、ミーティア、アリアナ、バル、ガルーダ、ルイーダ、マール、セペト、全員揃っていた、アンとサラは少し緊張気味だ
「みんなお疲れ様ー!」
「梳李!なんか久しぶりだね」バル
「おかえりなさい」セペト
「おかえりなさいませ」ガルーダ、ルイーダ
「ガルーダとルイーダは無事に引っ越して来たんだな、奥さんと子供は来ないのか?」
「なんか申し訳かいかなあと」ガルーダ
「仲間の家族は仲間だから、飯は一緒に食べないとへんじゃないか」
「呼んできます!ありがとう」ガルーダ
「それで2人の入店希望者はどうだ?」
「私もアリアナも良いと思ってるんだけど」
「ミーティアとアリアナが良いなら、採用だな」
「ほんとですか?良いんですか?」アン、サラ
「ああ、構わない。今はどこに住んでるんだ?」
「一応、宿に暮らして冒険者をしてました。ですが合うパーティが無くて、2人では限界が来て、このままではキツいと思って…」アン
「それなら今日から寮に住んで良いからね」
「ところでなんでうちを選んだの?」
「ダンジョンでセブンスターズを見かけまして、色んな種族が混合で組んだパーティが珍しかったのと、とても楽しそうに見えたのです。それで組合で色々と教えてもらって、私は鍛治スキルを所持しているので、ミーティア弓道専門店に弟子入りしたいと思いました」アン
「サラは身体強化症だから、細かい作業は難しいんだよね?どうするつもりだったの?」
「ごめんなさい、アンがわからないように2人分働くから、一緒に行こうって」サラ
2人同時に立ち上がって大声で謝った
「黙っててごめんなさい」アン、サラ
「アンはミーティアとアリアナに色々教わって、鍛治や装飾と算術を学びながら、しっかり働いてもらうとして、サラはレベルいくつなんだ?」
「はい、レベルは30で盾を使います」
「ガルーダはレベルいくつなの?」
「わしはレベル120です」
「セペトは?」
「35です!梳李はいくつなんですか?」
「多分…聞かない方がいいと思うよ。あえて言うならたくさんだ!」
「一般的なレベル概念はそんな感じか…」
「それならサラはセブンスターズだな。それでいいかい?」
「黙って店に入ろうとしたのに良いんですか?」サラ
「2人の話の流れは、なんとなく理解できるからかまわないよ。今度からなんでも正直に言わなきゃダメだぞ」
「はい!隠し事もしません!嘘もつきません!」
「梳李!2人の話の流れってなんですか?」アリアナ
「ん?アリアナは気になるか?想像だけど…双子でずーっと一緒に育った2人は、冒険者になる為にセントラルに来たけど、ドワーフのパーティに入っても、アンが伸びなくて厄介者扱いされてたんじゃないか?それで今度はアンの得意な仕事に、2人で転職して生計を立てようとして、サラはお姉ちゃんに言われて、来てみたけどドキドキしながら、話を聞いてたって所だと思うけど」
「ほんとにごめんなさい!」アン、サラ
「良いんだよ。姉妹で支えあって生きていくことは悪くない。ガルーダとルイーダも良い兄弟だしな」
「サラ、気が付いてあげられなくてごめんね」アリアナ
「悪いのは私達の方ですから…」サラ
「まあいいじゃないか、サラの面倒はガルーダに頼むよ。それに俺はドワーフのメンバーが欲しかったから、ちょうど良かったんだよ」
「今日からセブンスターズの一員な。2人ともいままでの何倍も努力しないと、うちは厳しいぞ」
「はい!がんばります!」アン、サラ
「これで7人揃ったなあ、セブンスターズをギルドにするか」
「梳李、帰りに組合の受付が探してたよ。ランクアップと種族混合のパーティの事で少し話がしたいとか」バル
「わかった。あとみんなご飯を食べ終わったら、俺とバルの国を案内するから少し時間をくれ、ミーティアは行った事あると思うけど、族長に会わせるから、ボーガンの素材を矢の素材で加工させる件の打ち合わせは頼むよ」
「わかったよ」ミーティア
「ガルーダとルイーダの家族とアリアナ、アンとサラはびっくりしないようにな」
「久しぶりにみんなの顔を見ると、話をしなきゃいけない事がいっぱいあるな」
「ルイーダの建設会社とミーティア弓道専門店はサメハダ商会から独立させようと思ってるんだよ」
「どちらも単独の会社として、本国から認定を受けて、会社としての納税はそっちにしようかと思ってる。引き続き会計管理や売上管理は、サメハダ商会に人を増やしてするけど、有名になるとすぐに、本国からクレームがくるだろうから、後手にまわるのは好きじゃないしな」
「はい、わしの所は既に来ています。なんで人族の商会に入って本国から離れたんだと。わしの借金と経営能力が足りなかったからだと話はして、一応納得していますが」ルイーダ
「私の方はこちらから言わない限り、なにも言ってこないと思うけど…」ミーティア
「俺は、人族のロドリゲス王国から大賢者勲章って物をもらって、王家より上に格付けされたんだけど、立場はなにであったとしても、俺はみんなと行動を共にする限り、みんなの母国にも貢献するべきと思っているんだよ」
「少し落ち着いたら、2人とも本国に里帰りするのも良いじゃないか」
「私の里帰りには梳李も来てくれるの?」
「行くのは良いけど、アリアナの実家もそうだったけど、緊張するんだよな」
「え!アリアナの実家に行ったの?」
「王都からの帰りにな、のんびり宿泊させて貰うつもりが、ダンジョンブレイクが起こって、街に魔物が進軍して大変だったよ」
「梳李は1万の魔物の大軍を、街を守る為に、ひとりで戦って殲滅したんですよ。うっとりするほどかっこよかったですよ」アリアナ
「アリアナー!なんかずるい!」ミーティア
「ははは…ひとりは言い過ぎだけどな」
「その時にゴールドも大量に増えたから、店の運転資金が足りなかったら、ミーティアもルイーダも遠慮なく言うんだぞ。あと、ルイーダには大事な仕事があってさ、セントラルからサメハダ領までの500kmの街道の整備と、宿場街の建設2箇所をやる事になっているから…しかも街のひとつはガブリエルとアスコットの領地の観光宿場街だからな、忙しくなるぞー」
「人族の大工事をうちがやるのですか?」
「俺の関係する人間は梳李族だからな」
「ははははは!」全員
「確かにそうだね」ミーティア
「凄いです!」アン、サラ
「アンとサラも仲間になったんだから、梳李族のしきたりで、敬称をつける事も敬語もなしだ」
「わかりました!ファミリーに加えて頂きありがとうございます!」
食事が終わりヘカテー王国に案内した。ミーティアは族長と綿密な打ち合わせをして、ガルーダ達家族やアン達、アリアナは、開いた口が塞がらなかった。バルと雷風が大空を彩り、街が発展した事で、主の帰って来ない城なのに、改修工事がされていて、とんでもなく立派な城になっていた。女神ヘカテーはここ数日の活躍を、こころから感謝してくれた
「梳李!あの見た事もないような神殿と、美術館に飾ってある模型のような、お城はなんなのですか?」アリアナ
「ん?神殿はこの国のシンボル、さっき見せた女神の住処、城は俺とバルの家」
「規格外にも程がありますよ!」アン
「私の部屋はどこかな?」ミーティア
「私はメイドでもいいですよ」アリアナ
「ここに居る事はないけど、メイドさんも守備兵も居るから、たまには帰らなきゃ行けないんだけど、転移門ですぐに戻れるけど、その少しがめんどくさくてな」
「バルも向こうで一緒に住んでるし。ここにはおもに族長との打ち合わせと、女神のお供えをしに来るだけだな」
「ここで暮らす人達は何種族なのですか?」サラ
「ああ、それか…ヘカテー族と言うのだが、俺と管理者で新たに作った種族なんだよ」
「......」一同
「俺も仲間に隠し事出来ないから、見せてるけど…そんな感じだ」
そのあと、サラの目にヒールをかけて視力を回復した。サラの盾スキルを見たくて、クラッシュアーマーの盾を渡してガルーダに攻撃させたら、パリィと言うカウンタースキルを決めてガルーダは数10m吹っ飛んだ。その姿を見たセペトとマールは新人にまけられないと、気合いを入れたので、アリアナがマールに弓を教え、セペトには俺と委員長で魔法を教えた
新しい仲間も出来た、冒険者組合から呼ばれて居るのは、なんとなく内容が想像できるから、めんどくさいな
家で寝ると誰かが朝までに隣で寝てるから、今日は雷風とバルと一緒に、大地を寝床にしようかな
第36話に続く




